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戻ってきた日常
憧れはしょせん憧れ
しおりを挟む「わぁぁぁぁ」
幼い頃の俺はおそらくはキラキラした目をしていたのだろ
綺麗なグラフィックの世界観に惹き込まれてしまったのだ
しかも実際に身体を動かし、触った感触や物を食べた際の味などもあるというのだから興味津々だ
幼い頃の俺には電子の世界で電気パルスによる生体反応うんちゃらかんちゃらと、原理はまったく分からなかったが夢の中で冒険できるようなことを聞かされて納得していた記憶がある
そこから俺は両親にそれは強請った
毎日、両親に強請り怒られぎゃん泣きし、それでも諦めずにいたら親が折れてくれた
「一郎がこんなに興味を示すのも初めてだし買ってやろう。でも勉強はしっかりやるんだぞ。あとゲームのやり過ぎもだめだ」
そう言う父親に
「うん」
と返事をしていた記憶はあるがそこからの記憶が暫くない
後から両親から聞いた話によると年齢制限によって使用できず店側から俺が使うと聞いて販売出来ないと言われてしまい、思考停止した俺は白目をむいて倒れたらしい
それから年齢制限である15歳になるまでは、だらだらと過ごしていたが、勉強だけは頑張って学年以上もの知識を得ていた
それはすべてゲームの為だ
VRゲームを手に入れば、俺は勉学を疎かにするだろう
自信があった
なのでVRゲームが手に入る迄に高校卒業出来る程度まで学力を高めることが出来ればゲーム三昧出来るのでは浅い考えのもと行動に移したのだが、それはあっさりと実現できてしまった
そもそも俺は要領が悪いわけではない
そういった人間がひたすらに何年も遊ばず勉強ばかりしていればこうも成ろうというものだ
なんせ友達もいないボッチだったものでね
しかし学力が上がった事で油断してはいけない
学力が上がったのでテストの点数は良い点がとれるようになった
そこで喜んだのは両親だ
「次も良い点がとれる」
「今より順位がとれる」
と言われ俺は気が付いた
両親には悪いが常に良い成績をとるよりも、程々の成績をキープした方がよいでのではないかと
期待され、それに応えていけば上へ上へとキリがない
そうなれば夢にまでみたゲーム三昧が出来なくなってしまう
後から気付いたことだが、適度な成績をキープしつつ学力を伸ばしていた俺には1つ誤算があったようだ
それは平均ぐらいの成績をした目立たない勉強ばかりしているボッチモブだったことだ
応援ありがとうございます!
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