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やってきた憂鬱
日本人ならやっぱり刀だよね
しおりを挟む「ほらほら、この子の波紋、めちゃくちゃ綺麗だと思わない?」
少女はうっとりと刀を眺めている
絵面が完全にやばい人なんですけど
店は刀ばかりのようだ
大太刀、打刀、脇差し、短刀と色々あるが、この店大丈夫なんだろうか?
刀はたしかに格好いいとは思うけど、扱うとなればかなり難しい
攻撃力は高いが耐久性が低く、斬る、突くなどの判定が出ないとダメージが殆ど出ず、更に判定が出ないと耐久値を大幅に削られてしまう武器だ
逆にしっかりと判定が出ると、攻撃力に加え、クリティカル判定も必ず付与されるので浪漫武器と謂われている
俺も一度試しに使ったことがあるが3振りモンスターに斬りつけたところでロストしてしまった
なので刀という武器は人を選ぶので高レベル帯のプレイヤーであっても、なかなか使うプレイヤーは居なかった筈だ
初心者がいる町なら、粗悪品の刀を見た目だけで買って後悔するやつがいるかもだけど
「お兄さんは打刀ってとこかなー。あっ、なんでそう思ったのかって?そのローブから見える装備を見たら判るよ。軽金属系の胸当てに速さ重視の服、メインアタッカーでもタンクでもない、後方でもなさそうだからね」
ローブは着けてるけど、と少女はウインクをしながら俺を指差す
「タイプは回避優先で手数で攻撃するタイプかなー」
カウンターの上に何本か刀を出している少女を横目に
「とりあえず、この誰かで試し斬りでもって、ちょっと待ってよっ」
逃げられなかったか
少女がカウンター側を向いている隙に、店から出ようとしたんだが
「チッ、刀、いらなぃ」
「あー、舌打ちしたー。あまり喋らないのに、けっこう辛辣だよね。お兄さんって」
もぞもぞ
「オレ、のメイン武器は、片手剣、それぇに、かたなはつか、えない」
もぞもぞ
「そんなの今は使えるかもしれないじゃん。お兄さんの立ち方を見て、びびっときちゃったんだよね。この人ならわたしの子達を扱えるって」
もぞもぞ
「てか、お兄さんのその肩何なの?さっきから動いてるけど」
くそっ、少女と話してるうちにアスが肩に降りてきてしまった
ローブでアスの姿は見られていないようだが、膨らんで動くのは異様な光景だろう
「・・・」
「じとー」
さらばだっ
こういう時は逃げるに限る
俺はきびきを返し逃げようとするが
「ぐぅえっ」
少女がローブを掴む方が速かった
急激に引っ張られたためフード部分に引っ掛かった頭が後方に倒れ、そのまま、倒れてしまう
「えっ、モンスター?」
俺が倒れる前にローブから、アスが飛び出してしまった
アスを見て驚いたのか少女の手がローブから離れた
これだからプレイヤーは
インベントリから取り出した煙幕玉を床に叩きつける
「えっ、ちょっ」
俺はそのままアスを抱えて、店から脱出した
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