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44、騎士団幹部への暴露 2
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執務室のドアを開けると、もう既に騎士団の幹部の面々が揃っていた。
(うぅ、帰りたい)
今後の私を左右する大事な話なので、私が居なければいけないのだが…今すぐ回れ右をして部屋に閉じこもりたい気分だ。
「遅かったな。さ、さっさと席につけ」
団長さんに促され用意されていた椅子に座る。そろっと周りを見回すと全員私に注目していた。
(何だよ、そんなに見られたら穴が空いちゃうよ…見ないで、私を見ないで)
人間恐怖症になりそうだ。
「じゃあ、ナナキが何者なのか説明する……ナナキ、自分で言えるか?」
「ふぇっ?」
周りの視線ばかりを気にしていたせいか即座に反応することが出来ず返事がおかしくなった。恥ずかしい気持ちになるもののどうにか落ち着かせ、ゆっくりと立ちあがり皆に見えるようにステータスを提示した。
「「「「「「「「……」」」」」」」」
その場にいる私以外の全員の間に流れる沈黙。
……いや、何か言ってよ。映っていないのだろうかと見てみるが、おかしな所はない。
…ん?ンンン?あった、おかしな所あったよ。私の体力と魔力量の表示がおかしい。前回は500と5000だったのに今見ると5000と10000だ。どちらも大幅に増加している。レベルは…相変わらず1のまま。
(目がおかしくなったかな?)
思わず目を何度も擦る。数値には変化はみられない。…どうしよ?
団長さんを仰ぎみるが、団長さんは団長さんで非常に微妙な顔をしている…かと思ったら、頭を抱えだし私をギロりと睨んでくる。
いや、きっと本人には睨んでいる自覚はないのだろう。しかし、その顔はまさに鬼の形相。そして、それが物語っているのは「お前、何やってんの?」だ。
(チガウ、ワタシハワルクナイ)
そう、私が悪いわけではないのだ。無言でステータスウィンドウを閉じる。流れる沈黙。
「あー」
何を話すでもなくただ声を出しただけなのに集まる視線。
(ねぇ、本当に帰っちゃダメ?)
泣きそうだ。そして、そんな状況の私を救ったのはアズマだった。
『突然失礼する』
どこからともなく現れたアズマに全員の視線が向かった。
結果、私から視線は外れた。
(はー、よかったぁ)
緊張が少しとけ、私は詰めていた息を少しはいた。
『我はナナキに使える精霊王だ』
ゴクリと誰かが息を呑む音がする。それから、アズマは静かにゆっくりと私との出会いから契約完了までの話をした。
『…だから、どうかそのような目を幼子に向けるのだけはやめてもらいたい』
優しく、しかし力を込めて最後にそう言うアズマ。騎士団幹部の面々がそれぞれ下を向いたり横を向いたりしている。自分たちが少し恐ろしいものを見ている目をしていたのに気づいたのだろう。
団長さんも少し気まずげだ。
(分かるよ。だって普通に考えてステータスの数値が大人に近いなんて化け物だもん…レベル1だし。私だってそんな目で見るかもしれない)
重苦しい雰囲気が室内を包む。…はぁ、仕方ない。
「じゃあ、話すね?」
私は皆に聞こえる声で、自分の前世を語り出した。
(うぅ、帰りたい)
今後の私を左右する大事な話なので、私が居なければいけないのだが…今すぐ回れ右をして部屋に閉じこもりたい気分だ。
「遅かったな。さ、さっさと席につけ」
団長さんに促され用意されていた椅子に座る。そろっと周りを見回すと全員私に注目していた。
(何だよ、そんなに見られたら穴が空いちゃうよ…見ないで、私を見ないで)
人間恐怖症になりそうだ。
「じゃあ、ナナキが何者なのか説明する……ナナキ、自分で言えるか?」
「ふぇっ?」
周りの視線ばかりを気にしていたせいか即座に反応することが出来ず返事がおかしくなった。恥ずかしい気持ちになるもののどうにか落ち着かせ、ゆっくりと立ちあがり皆に見えるようにステータスを提示した。
「「「「「「「「……」」」」」」」」
その場にいる私以外の全員の間に流れる沈黙。
……いや、何か言ってよ。映っていないのだろうかと見てみるが、おかしな所はない。
…ん?ンンン?あった、おかしな所あったよ。私の体力と魔力量の表示がおかしい。前回は500と5000だったのに今見ると5000と10000だ。どちらも大幅に増加している。レベルは…相変わらず1のまま。
(目がおかしくなったかな?)
思わず目を何度も擦る。数値には変化はみられない。…どうしよ?
団長さんを仰ぎみるが、団長さんは団長さんで非常に微妙な顔をしている…かと思ったら、頭を抱えだし私をギロりと睨んでくる。
いや、きっと本人には睨んでいる自覚はないのだろう。しかし、その顔はまさに鬼の形相。そして、それが物語っているのは「お前、何やってんの?」だ。
(チガウ、ワタシハワルクナイ)
そう、私が悪いわけではないのだ。無言でステータスウィンドウを閉じる。流れる沈黙。
「あー」
何を話すでもなくただ声を出しただけなのに集まる視線。
(ねぇ、本当に帰っちゃダメ?)
泣きそうだ。そして、そんな状況の私を救ったのはアズマだった。
『突然失礼する』
どこからともなく現れたアズマに全員の視線が向かった。
結果、私から視線は外れた。
(はー、よかったぁ)
緊張が少しとけ、私は詰めていた息を少しはいた。
『我はナナキに使える精霊王だ』
ゴクリと誰かが息を呑む音がする。それから、アズマは静かにゆっくりと私との出会いから契約完了までの話をした。
『…だから、どうかそのような目を幼子に向けるのだけはやめてもらいたい』
優しく、しかし力を込めて最後にそう言うアズマ。騎士団幹部の面々がそれぞれ下を向いたり横を向いたりしている。自分たちが少し恐ろしいものを見ている目をしていたのに気づいたのだろう。
団長さんも少し気まずげだ。
(分かるよ。だって普通に考えてステータスの数値が大人に近いなんて化け物だもん…レベル1だし。私だってそんな目で見るかもしれない)
重苦しい雰囲気が室内を包む。…はぁ、仕方ない。
「じゃあ、話すね?」
私は皆に聞こえる声で、自分の前世を語り出した。
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