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62、本音
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「で、お前は何やってるんだ?」
仁王立ちで腕を組み、私を見下ろす団長さん。
「てへ…☆」
「阿呆が!」
ゴツッ!
「痛ー!何するの団長さん!」
殴られて痛い頭を押さえながら睨みつける。
「やっていいことと悪いことがあるだろう!なんで魔力をぶちまけたんだ!」
「だって、お姫様たちがウザかったもん」
怒る団長さんに正直に答えた。
「だからってなぁ…はぁ…」
額を押え、空を仰ぐ彼に申し訳ない気持ちが大きくなる。
「ごめんね」
「いや、あのおっさんを止められなかった俺にも責任はある」
「今度から部屋の中に結界を張ってやるから」
「そういう問題じゃねぇよ!」
団長さんのキレのいいツッコミが炸裂している。うーん、じゃあ何がいけなかったのか。普通の街の人たちを下賎な民呼ばわりして、騎士団の人たちを捨て駒のように思ってるあんな子どもにキレたって仕方ない。
そう、仕方がないことなのだ。
「私にとって家族の人たちを貶されたらキレても仕方ないでしょう?」
こてんと首を傾げて団長さんを見やる。団長さんは何か言いたげな顔をしていたがそれ以上言うことはなく、私を連れて騎士団に戻ったのだった。
「ただいまー」
「「「「「「おかえりー!」」」」」」
訓練中だったのか外にいた騎士団の面々に迎えられながら帰宅した私は、すぐに自分の部屋に戻った。
ボフッ……
「んーっ、つっかれたぁー」
ベッドに飛び込みゴロゴロと転がる私。ヒライ達はそれぞれ自分のしたいようにしている。
「ねぇねぇ、ヒライちょっと来てー」
「あ?」
「獣姿プリーズ!私に癒しを!」
ベッドの上に座り、両手を伸ばしながら言った私に怪訝そうな顔をしながらも素直に従ってくれるヒライ。
《ほらよ》
「ありがとー」
ヒライのもふもふに飛びついた私は存分にそれを楽しんだ。それから十分くらいたってからだろうか、突然ゼウスに話しかけられた。
『なぁ、あん時キレて大丈夫だったのか?』
「んー、いや、多分ダメだった。でもね、私にとっては大切な人を貶されたんだよ?初めてこの世界に来て、右も左もわからなかった子どもだったけど、あの人達のおかげで今の私がある。無条件に愛情も与えてくれたんだよ?あんな子どもにあれだけ言われて、魔力の解放だけで済んで感謝してほしいくらい」
『だが、投獄されるかもしれないぞ?』
確かに。その可能性は有り得る。
でも…
「その時はその時、いざとなったら魔法で逃げてもいいかなー。皆でいろんな国を旅しよっか?」
悪戯っぽく笑って見せたが、ゼウスは寂しそうな顔をした。
『嘘を言うんじゃない。お前は逃げる気なんてないんだろ?』
「何言ってるの?流石の私も死にたくないよ?」
バカにするように笑ってみるが、彼の目は真剣だった。
『いいや、お前はそんなことしない。自分が逃げた後、騎士団に迷惑がかかるかもしれない可能性がある限り、例え死刑になったとしても逃げ出さないはずだ』
「っ、」
図星だった。私のしたことは下手をしたら王族を殺そうとしたと言われてもおかしくない。それなのに逃げ出したりしたら、私を守って、育ててきた騎士団の人達はどう見られるか…。
それを考えれば私に逃げ出すという選択肢はない。図星をつかれたことにより、今まで抑えられてきた気持ちのタガが外れた。
「ぅっ、確かに、まだ死にたくないよっ!でも、でもね、だからって逃げ出せない。私には、そんな勇気がないのっ!ゼウスの言った通りなのっ!死んで、生まれ変わって、やっと手に入れられた幸せ。家族に会えなくて、寂しくて、悲しくて…そんな私の心の支えがここの人達。ヒライや、アズマ、ゼウス、ハデス、アポロ、ヘファイストスもだよ!皆を守りたい、けどもう死にたくないっ!もっとたくさんの世界を知りたいのっ!」
ポロポロと溢れ出す涙と本音…そして、大量の魔力。
『あぁ、あぁ』
優しく頷いて、膨大な魔力とともに涙を流す私を背中から抱きしめ撫でてくれるゼウス。そして、周りにはハデス達が私を囲うように座っている。ヒライは私の腕の中で大人しくしているが、時折、私の涙を舐めとっている。
「私がもっと大人だったらよかったのにっ!」
そう叫んだ後、プッツリと私の意識は途切れた。あとに残されたのは静寂だった。
仁王立ちで腕を組み、私を見下ろす団長さん。
「てへ…☆」
「阿呆が!」
ゴツッ!
「痛ー!何するの団長さん!」
殴られて痛い頭を押さえながら睨みつける。
「やっていいことと悪いことがあるだろう!なんで魔力をぶちまけたんだ!」
「だって、お姫様たちがウザかったもん」
怒る団長さんに正直に答えた。
「だからってなぁ…はぁ…」
額を押え、空を仰ぐ彼に申し訳ない気持ちが大きくなる。
「ごめんね」
「いや、あのおっさんを止められなかった俺にも責任はある」
「今度から部屋の中に結界を張ってやるから」
「そういう問題じゃねぇよ!」
団長さんのキレのいいツッコミが炸裂している。うーん、じゃあ何がいけなかったのか。普通の街の人たちを下賎な民呼ばわりして、騎士団の人たちを捨て駒のように思ってるあんな子どもにキレたって仕方ない。
そう、仕方がないことなのだ。
「私にとって家族の人たちを貶されたらキレても仕方ないでしょう?」
こてんと首を傾げて団長さんを見やる。団長さんは何か言いたげな顔をしていたがそれ以上言うことはなく、私を連れて騎士団に戻ったのだった。
「ただいまー」
「「「「「「おかえりー!」」」」」」
訓練中だったのか外にいた騎士団の面々に迎えられながら帰宅した私は、すぐに自分の部屋に戻った。
ボフッ……
「んーっ、つっかれたぁー」
ベッドに飛び込みゴロゴロと転がる私。ヒライ達はそれぞれ自分のしたいようにしている。
「ねぇねぇ、ヒライちょっと来てー」
「あ?」
「獣姿プリーズ!私に癒しを!」
ベッドの上に座り、両手を伸ばしながら言った私に怪訝そうな顔をしながらも素直に従ってくれるヒライ。
《ほらよ》
「ありがとー」
ヒライのもふもふに飛びついた私は存分にそれを楽しんだ。それから十分くらいたってからだろうか、突然ゼウスに話しかけられた。
『なぁ、あん時キレて大丈夫だったのか?』
「んー、いや、多分ダメだった。でもね、私にとっては大切な人を貶されたんだよ?初めてこの世界に来て、右も左もわからなかった子どもだったけど、あの人達のおかげで今の私がある。無条件に愛情も与えてくれたんだよ?あんな子どもにあれだけ言われて、魔力の解放だけで済んで感謝してほしいくらい」
『だが、投獄されるかもしれないぞ?』
確かに。その可能性は有り得る。
でも…
「その時はその時、いざとなったら魔法で逃げてもいいかなー。皆でいろんな国を旅しよっか?」
悪戯っぽく笑って見せたが、ゼウスは寂しそうな顔をした。
『嘘を言うんじゃない。お前は逃げる気なんてないんだろ?』
「何言ってるの?流石の私も死にたくないよ?」
バカにするように笑ってみるが、彼の目は真剣だった。
『いいや、お前はそんなことしない。自分が逃げた後、騎士団に迷惑がかかるかもしれない可能性がある限り、例え死刑になったとしても逃げ出さないはずだ』
「っ、」
図星だった。私のしたことは下手をしたら王族を殺そうとしたと言われてもおかしくない。それなのに逃げ出したりしたら、私を守って、育ててきた騎士団の人達はどう見られるか…。
それを考えれば私に逃げ出すという選択肢はない。図星をつかれたことにより、今まで抑えられてきた気持ちのタガが外れた。
「ぅっ、確かに、まだ死にたくないよっ!でも、でもね、だからって逃げ出せない。私には、そんな勇気がないのっ!ゼウスの言った通りなのっ!死んで、生まれ変わって、やっと手に入れられた幸せ。家族に会えなくて、寂しくて、悲しくて…そんな私の心の支えがここの人達。ヒライや、アズマ、ゼウス、ハデス、アポロ、ヘファイストスもだよ!皆を守りたい、けどもう死にたくないっ!もっとたくさんの世界を知りたいのっ!」
ポロポロと溢れ出す涙と本音…そして、大量の魔力。
『あぁ、あぁ』
優しく頷いて、膨大な魔力とともに涙を流す私を背中から抱きしめ撫でてくれるゼウス。そして、周りにはハデス達が私を囲うように座っている。ヒライは私の腕の中で大人しくしているが、時折、私の涙を舐めとっている。
「私がもっと大人だったらよかったのにっ!」
そう叫んだ後、プッツリと私の意識は途切れた。あとに残されたのは静寂だった。
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