え?私、最強なんですか?~チートあるけど自由気ままに過ごしたい~

猫野 狗狼

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66、やはり国王は面倒

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「とりあえず、その女の子はナナキくんということは分かったよ。でも、何で隠してたんだい?」

 落ち着きを取り戻した王様は至極当然な質問を投げかけてくる。

「そりゃあ、クソじじいにバレたら何かと利用されると思ったからだ」
「何言ってるんだい。男でも女でも利用出来るものは利用するよ?」

(うわぁ、この人隠す気ないわー。自分で本人を前にして言っちゃってるよ)

 自分の国にとって利益になることならどんなことでもやるってことをここまで言いきれるのってカッコイイね。でも、正直最低だと思うわ。

 少し引き気味に冷たい目で見つめると、その視線に気がついたのか私の方を向く国王。その顔は、「しまった」という顔をしていた。慌てて口を抑えるがもう遅い。

「へぇー、国王様っていい性格をしていますね。私にはとてもじゃありませんが真似できませんよ。本人を前に堂々と利用する発言は」

 思っていたよりも冷淡な声が出たかもしれない。

「それは……」

 国王の顔は驚愕よりも苦虫を噛み潰したようななんとも言えない表情を浮かべている。

「別に言い訳なんていりませんよ?私も自分自身にとんでもなく利用価値があることに気がついているんで」
(だって、ねぇ?神様の加護や加護という名の神様、聖獣や精霊王、私自身に備わった馬鹿でかい力。あると分かれば利用しない手はないでしょ?)

 フッと上から見下すように笑うと、沈黙が落ちた。

(って、あ、あれっ?こんなはずじゃ…)

 逆上してくるのを予想していたのに、静かにこちらを見つめる国王。流石と言うべきかどうかは悩みどころだ。次のアクションを起こそうにも、今生意気な言葉を使っているためこれ以上の面倒が増えるのは遠慮したい。

 チラッと団長さんの方を見たら、よくやったと言いたげな表情を浮かべている。
 仕方がないと周りを見渡すがほとんどの人が唖然としている。
 本当にどうしたらいいのか、収集がつかなくて困っていると……

「君はそれを知った今、どうしようと思ってる?」
「え?」
「俺が、君を利用していると考えていることに対して君自身も理解しているということはわかった。でも、俺が気になるのはそのあと君がどう行動するかだ」

 別にどう行動するのか聞かれても困る。
 私がキレて国を滅ぼすのは簡単だろうが、騎士団の人達や街の人達のことを考えるとそれは出来ない。かと言って国王含めた王族の面々を抹殺したらしたで確実に捕まる。
 つまりは八方塞がりになるのである。

「しいていえば…」
「しいていえば…?」
「しいていえば…何もしません。大人しくします」

 ずこっと全員がコケた。

(いや、だってね。何しても面倒なら、何もしないしかないんじゃないかな?)

 胡乱げな目で私を見てくる団長さんに心の中で言い訳しながら見つめ返す。
 しばらく見つめあっていれば、ごほんと咳払いが聞こえた。そちらに目を向けたら、気持ちを落ち着けたのか対外向けの笑顔を浮かべた国王がいた。

「じゃあ、俺が何しても君は従うんだね。そういうことなら、ユリアと結婚よろしくねナナキくん」

 そしてその国王は爆弾をぶちかました。

「本当ですかっ、父様!」

 それにすごく嬉しそうに反応する第一王子。
 対して私は…

「うふふっ、そうですか。えぇ、勿論……国王様クソジジイ

 丁寧にハッキリとお断りをしたのだった。
 あとから聞いたがこの時言い切った私の顔は、たいそう晴れ晴れとしたいい笑顔だったらしい。
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