40 / 105
四章【何処かで】
4-7 気持ち
しおりを挟む
「では、お二人共、ご武運を。無事帰ってきたら、またお茶を淹れてお待ちしていますわ」
「ハナさん、行ってきます!」
屋敷の前で、ハナはそう言って頭を下げ、リオは彼女に大きく手を振った。
大会は城にあるコロシアムという場所で行われるらしい。
ハナに見送られ、リオとシェイアードは城へと向かった。
ーー城ではまた、大会参加者一人一人の確認が行われている。
見たところ、リオぐらいの年齢の者や女性は見当たらない。
明らかに体格の良い男が多かったーー強そうだ。
「そういえば、お前は本当に戦えるのか?」
思い出すようにシェイアードに聞かれて、
「多少は戦える、かな?」
リオは苦笑する。
(昨日、魔術が使えるか試したら、なんとか使えたしな。使えたと言うことは、不死鳥との契約は切れていない?なんで声が聞こえないんだ?)
ますます疑問を感じつつ、リオとシェイアードの参加確認も終わり、二人はコロシアムへと向かった。その途中で、
「あなたはーーリオ。それに、シェイアード様ではありませんか」
聞き覚えのある声だ。
腰の辺りまで伸びた空色の髪、高貴そうなドレスを身に纏った少女ーーこの国の女王、ルイナ・ファインライズ。
「これは女王様、お久しぶりですね」
シェイアードはそう言うが、隣に立っていたリオはぎょっと彼を見る。何か、いつもの彼とは違う雰囲気を感じたからだ。
「ええ。昔は‥‥あなたとはよく、パーティなどでお会いしましたものね」
ルイナは嬉しそうに微笑み、
「ああ‥‥でもあれはほとんど弟さんに無理に連れてこられていましたよね。弟さんがお亡くなりになってから、シェイアード様は全く城に赴いて下さらなくなりましたから‥‥」
「別に赴く必要などないと思いますが」
シェイアードは口調を崩さず、だが、先程よりも低い声で言う。
隣に立ったままのリオは、ハラハラと二人の様子を見ていた。
それからルイナはしばらく俯き、
「シェイアード様。昔から申し上げていますように、私は今も、あなたをお慕いしています」
ルイナが突然そう言ったので、シェイアードの隣で話を聞いていたリオは驚くしかない。
(私の存在は無視かっ!どっ、どうしよう、この雰囲気!?私、邪魔だよね?どっか行くべきだよね!?)
リオがそう思っている間にも、二人の話は進んでいき、
「あなたの気持ちなど私には関係のないことです。では、大会が始まるので」
シェイアードはそう言って、ルイナの隣を通り過ぎて行った。
そんな彼の対応に、リオはあまりにもルイナが可哀想に思えてしまって、彼女に声を掛けようとしたが、
「行くぞ」
「えっ!?あっ‥‥はっ、はい‥‥」
一喝するようにシェイアードに言われ、慌てて彼の後を追う。
「まさか‥‥シェイアード様も信じているのですか?私が、実の両親を殺したということを!」
背後で、ルイナがそう叫び、
「あれは私じゃない、私ではありません!」
だが、シェイアードは何も言葉を返さずに、振り返らずに、コロシアムへと足を進めた。
そんな彼の後ろを歩きながら、
「‥‥シェイアードさん。女王様、違うって、自分じゃないって言ってるよ。聞いてあげないの?」
リオは困ったように言うが、シェイアードからの返答はない。そんな、気まずさが漂う中、
「ここがコロシアムだ」
「‥‥!」
そこは、円形型の部屋だった。
観客席はすでに埋まり、何千もの人々が騒いでいる。
「こっ、こんな大勢の前で戦うの?」
リオが困ったように聞けば、
「ああ。国の者も悪趣味なのが多くてな。これを見に来るのを楽しみにしているらしい」
シェイアードは呆れながら言った。それを聞いたリオは数秒黙り込み、
「この大会って、いつからあるの?」
「女王と王が亡くなった翌年からだ」
「それって、ルイナ女王が始めたの?」
「ああ。女王自ら提案した」
ふーん、とリオはコロシアムを見渡し、
「シェイアードさんはルイナ女王のこと好きなの?女王はシェイアードさんのこと好きだって言ってたけど」
先程のルイナを見ていて、リオはなんだかもどかしい気持ちになっていた。
まるで、カシルに恋をしていたレイラを思い出してしまったから‥‥
「俺は違う。彼女を好きだったのは‥‥」
シェイアードは何か言おうとしたが、
リーンゴーン、リーンゴーン‥‥と、大きな鐘の音が響いた。
「なっ、何?」
「開幕の合図だ」
シェイアードが言えば、
「今からルール説明とトーナメント表を発表する」
と、コロシアム内に兵士の声が響く。
「そういえば」
シェイアードがぽつりと言い、
「俺とお前があたる可能性もあるな」
「あたる?」
「俺とお前が戦う可能性だってあるってことさ」
「あっ‥‥」
それを聞いたリオは確かにと思いつつ、
「そっ‥‥そんな!シェイアードさんと戦いたくないよ!なっ、仲間みたいなものだもん!」
リオは必死に首を横に振った。
「だがもし、俺もお前も勝ち残って行ったとすれば、いずれはそうなる。だが大丈夫だ。敗退は、三戦負けるか、死ぬかだからな。死ぬーーはともかくとして、三戦負けなければ先に進める」
「う、うーん?」
頭の中でまとめようとして、リオは腕を組む。
「だが、俺はお前と戦ってはみたいな」
シェイアードに言われ、
「ええっ?私は嫌だなぁ‥‥」
リオは困ったようにシェイアードの横顔を見た。彼はどこか、楽しそうな表情をしている。
◆◆◆◆◆
「ーー‥‥である。敗退条件は三戦負けるか、死んだ時点で参加資格がなくなる。殺した方にはなんのリスクもない。殺しても大丈夫というルールがあるからだ。試合途中のギブアップも可能だ。勿論ギブアップした方は負けに加算される」
兵士からの大会説明はまだ続いていた。
長い長い説明を聞きながら、物騒な内容にリオはため息を吐く。
(でも、ギブアップしていいんだ。それならもし、シェイアードさんとあたった時はギブアップしよう!三回負けたら駄目なだけだし‥‥一回ぐらい大丈夫だよね‥‥って、どこまで勝てるかわからないけど)
苦笑しつつ、リオは肩を竦めた。
「では次に諸君らの対戦表、トーナメント表を発表しよう」
ーー‥‥兵士がそう言ってから、数分は経っただろうか。続々と出場者達の名前が読み上げられる中、リオとシェイアードの名前はまだ呼ばれていない。
「次に、イリス・アルシータとナズリ・オーシャ。ナガとナル・マジカ。ゴズ・アマスとリオ‥‥」
「あっ!私の名前やっと呼ばれたー。ゴズって人と戦うのかー。シェイアードさんもそろそろかな?」
リオが言って、
「ーー‥‥次に、シェイアード・フライシルとイーセン・ニライト」
「シェイアードさんやっと呼ばれたねー」
「ああ‥‥」
リオは笑って言うが、シェイアードがなんだか不機嫌そうな顔をしていることに気づいた。
リオがそれを疑問に思い、辺りを見ると、何やら参加者達がシェイアードとリオを見てひそひそと話している。
気になって、それに耳を傾けると、
「あれって、フライシル家の‥‥だよな?」
「ああ。確か家族を何者かに虐殺されたとか」
「それ以来、誰に対しても心を閉ざしたと聞いたが?」
「じゃあ、あのガキはなんだ?」
「さあ?下僕か、貴族様に媚びでも売ってるんじゃあないのか?」
「あの人に近付くなんて、悪趣味だよな。貴族とはいえ、あんな無口で何を考えてるかわからん人に、恐くて近付こうとも思わねぇ」
ーー‥‥などといった、陰口みたいなものだった。
「なっ‥‥!あいつら、シェイアードさんのこと‥‥」
リオが顔を真っ赤にして怒ったように言うが、シェイアードはリオを見て無言で首を横に振る。
放っておけ、ということだろう。
それでもリオの怒りはおさまらず、
「でもっ、あいつらシェイアードさんのことあんな風に言って!何も知らないくせに!私のことはどうでもいいけど‥‥シェイアードさんは優しいのに!」
「リオ、もういい」
シェイアードが少しだけ声を張り上げたので、リオは彼の顔を静かに見た。
「俺のことはいい。気にするな。確かに、奴らの言う通りだ。俺は‥‥独りで生きてきたようなものだからな」
そう、少し微笑んで言って。だが、リオはまだ不服そうだ。
シェイアードはそんなリオの背中を軽く叩き、
「兵士が読み終えたようだ。そろそろ始まるぞ」
「うん‥‥」
怒りがおさまらない中、リオはある言葉を思い出していた。
『好きな人の悪口を言われたら、怒るようなものよ』
フィレアが言っていた言葉。
自分には関係ないと思っていたその言葉を思い出し、リオは顔を真っ赤に染め上げる。
「‥‥体調が悪いのか?」
様子のおかしいリオの顔をシェイアードが覗きこんできたので、
「ひゃっ!?なっ、なんでもない!!」
リオは慌てて彼と距離をとり、
(うっ、嘘だぁ?私が?私がレイラちゃんやフィレアさんみたいに、恋?嘘だぁーーーー!?)
こんな気持ちは認めたくないと、リオは必死に思考を大会に向けようとした。
「ハナさん、行ってきます!」
屋敷の前で、ハナはそう言って頭を下げ、リオは彼女に大きく手を振った。
大会は城にあるコロシアムという場所で行われるらしい。
ハナに見送られ、リオとシェイアードは城へと向かった。
ーー城ではまた、大会参加者一人一人の確認が行われている。
見たところ、リオぐらいの年齢の者や女性は見当たらない。
明らかに体格の良い男が多かったーー強そうだ。
「そういえば、お前は本当に戦えるのか?」
思い出すようにシェイアードに聞かれて、
「多少は戦える、かな?」
リオは苦笑する。
(昨日、魔術が使えるか試したら、なんとか使えたしな。使えたと言うことは、不死鳥との契約は切れていない?なんで声が聞こえないんだ?)
ますます疑問を感じつつ、リオとシェイアードの参加確認も終わり、二人はコロシアムへと向かった。その途中で、
「あなたはーーリオ。それに、シェイアード様ではありませんか」
聞き覚えのある声だ。
腰の辺りまで伸びた空色の髪、高貴そうなドレスを身に纏った少女ーーこの国の女王、ルイナ・ファインライズ。
「これは女王様、お久しぶりですね」
シェイアードはそう言うが、隣に立っていたリオはぎょっと彼を見る。何か、いつもの彼とは違う雰囲気を感じたからだ。
「ええ。昔は‥‥あなたとはよく、パーティなどでお会いしましたものね」
ルイナは嬉しそうに微笑み、
「ああ‥‥でもあれはほとんど弟さんに無理に連れてこられていましたよね。弟さんがお亡くなりになってから、シェイアード様は全く城に赴いて下さらなくなりましたから‥‥」
「別に赴く必要などないと思いますが」
シェイアードは口調を崩さず、だが、先程よりも低い声で言う。
隣に立ったままのリオは、ハラハラと二人の様子を見ていた。
それからルイナはしばらく俯き、
「シェイアード様。昔から申し上げていますように、私は今も、あなたをお慕いしています」
ルイナが突然そう言ったので、シェイアードの隣で話を聞いていたリオは驚くしかない。
(私の存在は無視かっ!どっ、どうしよう、この雰囲気!?私、邪魔だよね?どっか行くべきだよね!?)
リオがそう思っている間にも、二人の話は進んでいき、
「あなたの気持ちなど私には関係のないことです。では、大会が始まるので」
シェイアードはそう言って、ルイナの隣を通り過ぎて行った。
そんな彼の対応に、リオはあまりにもルイナが可哀想に思えてしまって、彼女に声を掛けようとしたが、
「行くぞ」
「えっ!?あっ‥‥はっ、はい‥‥」
一喝するようにシェイアードに言われ、慌てて彼の後を追う。
「まさか‥‥シェイアード様も信じているのですか?私が、実の両親を殺したということを!」
背後で、ルイナがそう叫び、
「あれは私じゃない、私ではありません!」
だが、シェイアードは何も言葉を返さずに、振り返らずに、コロシアムへと足を進めた。
そんな彼の後ろを歩きながら、
「‥‥シェイアードさん。女王様、違うって、自分じゃないって言ってるよ。聞いてあげないの?」
リオは困ったように言うが、シェイアードからの返答はない。そんな、気まずさが漂う中、
「ここがコロシアムだ」
「‥‥!」
そこは、円形型の部屋だった。
観客席はすでに埋まり、何千もの人々が騒いでいる。
「こっ、こんな大勢の前で戦うの?」
リオが困ったように聞けば、
「ああ。国の者も悪趣味なのが多くてな。これを見に来るのを楽しみにしているらしい」
シェイアードは呆れながら言った。それを聞いたリオは数秒黙り込み、
「この大会って、いつからあるの?」
「女王と王が亡くなった翌年からだ」
「それって、ルイナ女王が始めたの?」
「ああ。女王自ら提案した」
ふーん、とリオはコロシアムを見渡し、
「シェイアードさんはルイナ女王のこと好きなの?女王はシェイアードさんのこと好きだって言ってたけど」
先程のルイナを見ていて、リオはなんだかもどかしい気持ちになっていた。
まるで、カシルに恋をしていたレイラを思い出してしまったから‥‥
「俺は違う。彼女を好きだったのは‥‥」
シェイアードは何か言おうとしたが、
リーンゴーン、リーンゴーン‥‥と、大きな鐘の音が響いた。
「なっ、何?」
「開幕の合図だ」
シェイアードが言えば、
「今からルール説明とトーナメント表を発表する」
と、コロシアム内に兵士の声が響く。
「そういえば」
シェイアードがぽつりと言い、
「俺とお前があたる可能性もあるな」
「あたる?」
「俺とお前が戦う可能性だってあるってことさ」
「あっ‥‥」
それを聞いたリオは確かにと思いつつ、
「そっ‥‥そんな!シェイアードさんと戦いたくないよ!なっ、仲間みたいなものだもん!」
リオは必死に首を横に振った。
「だがもし、俺もお前も勝ち残って行ったとすれば、いずれはそうなる。だが大丈夫だ。敗退は、三戦負けるか、死ぬかだからな。死ぬーーはともかくとして、三戦負けなければ先に進める」
「う、うーん?」
頭の中でまとめようとして、リオは腕を組む。
「だが、俺はお前と戦ってはみたいな」
シェイアードに言われ、
「ええっ?私は嫌だなぁ‥‥」
リオは困ったようにシェイアードの横顔を見た。彼はどこか、楽しそうな表情をしている。
◆◆◆◆◆
「ーー‥‥である。敗退条件は三戦負けるか、死んだ時点で参加資格がなくなる。殺した方にはなんのリスクもない。殺しても大丈夫というルールがあるからだ。試合途中のギブアップも可能だ。勿論ギブアップした方は負けに加算される」
兵士からの大会説明はまだ続いていた。
長い長い説明を聞きながら、物騒な内容にリオはため息を吐く。
(でも、ギブアップしていいんだ。それならもし、シェイアードさんとあたった時はギブアップしよう!三回負けたら駄目なだけだし‥‥一回ぐらい大丈夫だよね‥‥って、どこまで勝てるかわからないけど)
苦笑しつつ、リオは肩を竦めた。
「では次に諸君らの対戦表、トーナメント表を発表しよう」
ーー‥‥兵士がそう言ってから、数分は経っただろうか。続々と出場者達の名前が読み上げられる中、リオとシェイアードの名前はまだ呼ばれていない。
「次に、イリス・アルシータとナズリ・オーシャ。ナガとナル・マジカ。ゴズ・アマスとリオ‥‥」
「あっ!私の名前やっと呼ばれたー。ゴズって人と戦うのかー。シェイアードさんもそろそろかな?」
リオが言って、
「ーー‥‥次に、シェイアード・フライシルとイーセン・ニライト」
「シェイアードさんやっと呼ばれたねー」
「ああ‥‥」
リオは笑って言うが、シェイアードがなんだか不機嫌そうな顔をしていることに気づいた。
リオがそれを疑問に思い、辺りを見ると、何やら参加者達がシェイアードとリオを見てひそひそと話している。
気になって、それに耳を傾けると、
「あれって、フライシル家の‥‥だよな?」
「ああ。確か家族を何者かに虐殺されたとか」
「それ以来、誰に対しても心を閉ざしたと聞いたが?」
「じゃあ、あのガキはなんだ?」
「さあ?下僕か、貴族様に媚びでも売ってるんじゃあないのか?」
「あの人に近付くなんて、悪趣味だよな。貴族とはいえ、あんな無口で何を考えてるかわからん人に、恐くて近付こうとも思わねぇ」
ーー‥‥などといった、陰口みたいなものだった。
「なっ‥‥!あいつら、シェイアードさんのこと‥‥」
リオが顔を真っ赤にして怒ったように言うが、シェイアードはリオを見て無言で首を横に振る。
放っておけ、ということだろう。
それでもリオの怒りはおさまらず、
「でもっ、あいつらシェイアードさんのことあんな風に言って!何も知らないくせに!私のことはどうでもいいけど‥‥シェイアードさんは優しいのに!」
「リオ、もういい」
シェイアードが少しだけ声を張り上げたので、リオは彼の顔を静かに見た。
「俺のことはいい。気にするな。確かに、奴らの言う通りだ。俺は‥‥独りで生きてきたようなものだからな」
そう、少し微笑んで言って。だが、リオはまだ不服そうだ。
シェイアードはそんなリオの背中を軽く叩き、
「兵士が読み終えたようだ。そろそろ始まるぞ」
「うん‥‥」
怒りがおさまらない中、リオはある言葉を思い出していた。
『好きな人の悪口を言われたら、怒るようなものよ』
フィレアが言っていた言葉。
自分には関係ないと思っていたその言葉を思い出し、リオは顔を真っ赤に染め上げる。
「‥‥体調が悪いのか?」
様子のおかしいリオの顔をシェイアードが覗きこんできたので、
「ひゃっ!?なっ、なんでもない!!」
リオは慌てて彼と距離をとり、
(うっ、嘘だぁ?私が?私がレイラちゃんやフィレアさんみたいに、恋?嘘だぁーーーー!?)
こんな気持ちは認めたくないと、リオは必死に思考を大会に向けようとした。
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる