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13 夜の館
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という話になったと言ったら、
「え、ええ?! えええええ?!」
スタィヤさんが今までになく慌てふためいた。
「館にですか?!」
「はい」
「しかも夜?!」
「はい」
「うそでしょう?!」
どうしよう。混乱ここに極まれり。
「えっと、スタィヤさん。い、一旦家でお茶でも飲みましょう……?」
そしてズリズリと、引っ張って行きまして。
「……失礼、しました……」
一杯飲んだら、落ち着いてくれた……ように見える。
「いえ、私こそ……」
スタィヤさんは角を叩いて、首を振って目を瞑る。
「こんな、……こんな事、有り得ないと、思っていた……ので……」
そして声を落とし、聞き取れるかどうかの声で、言葉を零す。
「そ、……」
そうなんですかと、聞いていいのか迷ってしまった。けど、
「ああ、王は……お優しいのです……」
スタィヤさんは両手で顔を覆い、うつむきがちに頭を振る。ぽつぽつと落とされる、
「我らが『王』を…………あぁ、……王であるために、あの子供は……」
その声は、震えて。
「我らは、救おうと……いや、あれを救いだと……けれどそうしなければ、死んで……」
掠れて。
「いや! 言い訳だ! 現に苦しんで……! ……その苦しみを……ぶつけもせず……優しぃ……」
優しさが、苦しい。愚かさを、見せつけられる。
「何も、出来ず、出来ようが…………アルマ、さん」
指の間から零れる涙は、薄いオレンジ色に見えた。
「どうか、王……あの方が……!」
ヨウシアは。
「願われるならば………………っ、どうか…………!」
ここの皆に、助けられたんだ。
ギギィ……
館の門が、独りでに開く。横にいる鳥の像は動かない。
呼ばれたのは、私だけ。
『ですから、一人で門をくぐらねばなりません』
スタィヤさんの言葉を思い出しながら、一歩進み出る。
今夜は満天の星空。月に負けず劣らず、ここの星は明るい。
「……ヨウシア」
門をくぐる。歩いていくと、少し遠くに見えていた館が、見えて、来──
「…………でか……」
星明かりに照らされた、その大きさと荘厳さ。見上げる首が痛い。
「きらっきら……」
なんでだろ、きらきらしてる。何がきらきらしてるんだ?
「てかやっぱ、城だよ」
王様だもん、城だよ。なんか目がチカチカする。
「……ぉ、あ、落ち着こう。当初の目的がすっ飛びそう」
目の前の大きな扉。辺りはしんと静まり返って、他には誰も見あたらない。
「……開けろって?」
この、デカいのを?
「……え、軽」
金輪に手を掛けて引いたら、すんなり、それこそ呆気なく開いた。
「……」
その奥。館の中は闇に包まれて、何も見えない。
「外側とは大違い」
……ま、だから何だという話。
闇だろうがなんだろうが、ヨウシアが居るなら。
突き進むだけだ。
「え、ええ?! えええええ?!」
スタィヤさんが今までになく慌てふためいた。
「館にですか?!」
「はい」
「しかも夜?!」
「はい」
「うそでしょう?!」
どうしよう。混乱ここに極まれり。
「えっと、スタィヤさん。い、一旦家でお茶でも飲みましょう……?」
そしてズリズリと、引っ張って行きまして。
「……失礼、しました……」
一杯飲んだら、落ち着いてくれた……ように見える。
「いえ、私こそ……」
スタィヤさんは角を叩いて、首を振って目を瞑る。
「こんな、……こんな事、有り得ないと、思っていた……ので……」
そして声を落とし、聞き取れるかどうかの声で、言葉を零す。
「そ、……」
そうなんですかと、聞いていいのか迷ってしまった。けど、
「ああ、王は……お優しいのです……」
スタィヤさんは両手で顔を覆い、うつむきがちに頭を振る。ぽつぽつと落とされる、
「我らが『王』を…………あぁ、……王であるために、あの子供は……」
その声は、震えて。
「我らは、救おうと……いや、あれを救いだと……けれどそうしなければ、死んで……」
掠れて。
「いや! 言い訳だ! 現に苦しんで……! ……その苦しみを……ぶつけもせず……優しぃ……」
優しさが、苦しい。愚かさを、見せつけられる。
「何も、出来ず、出来ようが…………アルマ、さん」
指の間から零れる涙は、薄いオレンジ色に見えた。
「どうか、王……あの方が……!」
ヨウシアは。
「願われるならば………………っ、どうか…………!」
ここの皆に、助けられたんだ。
ギギィ……
館の門が、独りでに開く。横にいる鳥の像は動かない。
呼ばれたのは、私だけ。
『ですから、一人で門をくぐらねばなりません』
スタィヤさんの言葉を思い出しながら、一歩進み出る。
今夜は満天の星空。月に負けず劣らず、ここの星は明るい。
「……ヨウシア」
門をくぐる。歩いていくと、少し遠くに見えていた館が、見えて、来──
「…………でか……」
星明かりに照らされた、その大きさと荘厳さ。見上げる首が痛い。
「きらっきら……」
なんでだろ、きらきらしてる。何がきらきらしてるんだ?
「てかやっぱ、城だよ」
王様だもん、城だよ。なんか目がチカチカする。
「……ぉ、あ、落ち着こう。当初の目的がすっ飛びそう」
目の前の大きな扉。辺りはしんと静まり返って、他には誰も見あたらない。
「……開けろって?」
この、デカいのを?
「……え、軽」
金輪に手を掛けて引いたら、すんなり、それこそ呆気なく開いた。
「……」
その奥。館の中は闇に包まれて、何も見えない。
「外側とは大違い」
……ま、だから何だという話。
闇だろうがなんだろうが、ヨウシアが居るなら。
突き進むだけだ。
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