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29 昨日の五時半
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『セイの家、遊びに行ってもいい?』
セイは、それを見て、固まっていた。
マネージャーの静かな熱量に押されつつ今後の方針の打ち合わせを終えたセイは、疲れるけれど、前ほど心は荒まないなと思いながら自宅に帰り、通知を受け取ったスマホを開き、脳が停止した。
『あんまり帰らないって言ってたけどさ、でもセイの家だしなって。どういうとこか、知りたいなって』
『あ、無理にって話じゃないからさ』
その下に、熊か猫か分からないキャラの、『気楽に行こうぜ!』というスタンプがあり。
「……」
相手がナツキであることを確かめ、ナツキが送り先を間違えていないか──けれど自分の、セイの家、とあるのだ──確かめ、文面を読み返す。それを、十回ほど、繰り返す。
「ど、どういう……」
どうもこうもない。分かっている。遊びに、と文字が語っている。
ただ、その、遊びに、というのが、セイを混乱させる。
料理を──何かしらの手助けのためと、言うのならまだ、ここまで混乱しないだろう。
期待をして、良いのだろうか。少しでも、心を開いてくれたのだと、自惚れて良いのだろうか。
だとして、どうして。
『そんな弱気でどうするのだ』
「…………」
守護霊たちの言葉を思い出し、彼らに間接的に励まされたことに、なんとも複雑な気分になりながら。
『はい。大丈夫です』
という言葉を、打っては消し打っては消し、五分ほどかけて完成させて。
震える指で、送信した。
「……はあ……」
違う意味で気力を使い果たした。と、しゃがみかけ、
「……」
ここが、玄関であることを思い出す。
玄関前に転移しなくてよかった。いや、玄関は奥にあるのだから、誰に見られもしないのだけど。
言い訳めいた言葉を脳内から追い出し、セイは靴を脱ぎ、玄関へ上がる。
そしてまた、立ち止まる。
「……ここに」
この、仕事道具や研究道具のための部屋以外、最低限の手入れしかしていない家に、ナツキが来るかもしれない。
「……ふー……」
セイはコツコツと壁を軽く叩き、家全体を軽く掃除する。庭や、細かい部分は一旦置こう。頭の中を整理しよう。
まずは、それからだ。
*
「お、オッケーくれた。良かった……た?」
スマホの通知を受け取り、確認して、呟く。
昨日、子猫たちのおかげかネックレスのおかげか、しっかり睡眠が取れた私は、ネックレスのチェーンや石が壊れてないか確認し、貰った日のことを思い出し、
「そいや、セイの家って結局どんなとこなんだろ」
という疑問を持ち、別に調べることでもないしなと、セイにそのまま伝えた。朝に。
今日は在宅の日である。朝はゆっくり出来るので、その通りにゆっくり支度を、していたら。
セイから返事が来た。
来たのは良い。家に行って良いという返事だし、それだって良かったと思う。
けど、君、セイくん?
「送ってからまだ三十分もしてないんだけど……? 起きてた?」
起きてた、もしくは起きた、なら良いんだけど。
「……寝てないとか、ないよね……?」
ああうん、そうだ。食事もだけど。睡眠も取れてないんだよね? 君。改善されてるか、ちゃんと確認してないし。
「いや、んー、うーん……」
どういう言葉なら、それとなく聞けるか。
「……深く考えてもしょうがない」
私は、お礼と一緒に、ごめん、もしかして、起こした? と文字を打ち、送り、支度を再開した。
そしてトースト・目玉二つのハムエッグ・レンチンでのなんちゃって温野菜サラダと牛乳というメニューの朝ご飯を作り、
「いただきます」
言った瞬間にスマホが震えた。
「……」
見れば、セイからで。
『起きていたので、大丈夫です』
「……」
『早いね。何時に起きたの?』
すぐ既読になったけど、返事はなく。
私は一旦スマホを置いて、いただきますを言い直し、朝ご飯を食べ始める。
食べ終わり、そういえば、副島に返事してないなと思い出して。
『見たよ、フルのやつ。めっちゃ凄いわ、バズるのも分かる』
と、送り、うさぎのサンクススタンプを送ろうとして。
セイから何か来た。のを、一旦脇に置き、スタンプを送る。で、セイのを確認する。
『五時半です』
なんだ、じゃあまあ問題ないな。と思ったんだけど。
『あの、昨日の五時半です。すいません』
追加が来た。
「……はーああーあー」
ここにセイは居ないので、盛大にため息を吐く。
まあ、言ってくれただけ、有り難い。うん。
『そっか。じゃあ、これから寝るとこだった?』
送り、片付けに取り掛かる。スマホがヴヴッと言ったので、片付けを止め、確認する。
セイである。
『いえ、その』
『家の片付けを、しようかと』
「……」
『家、なんか、寝れないくらい壊れた? 緊急事態? それともセイ、……眠気が来ない?』
一度閉じ、時間を確認する。七時四十二分。まだ、時間はある。
と、セイから来た。
『壊れてはないです。大丈夫です』
壊れてはってなんだろな。そう思いながら椅子に座り、そのまま、ちょっと待つ。
『眠気はよく分からないです。ですけど動けるので、家の片付けをと』
うん、君ね。
私は即座に電話をかけた。少しして、セイが出る。
『は、はい』
声めっちゃ震えてる。
「おはよう、突然ごめんね。今、良いかな」
なるべくいつも通りに、喋りかける。
『あ、はい。大丈夫です』
うん。少し震えが消えたようだ。
「セイ、今、どこにいる?」
『え? あ、家、です』
「そっか。家の片付け、急ぎ?」
『え、や、急ぎでは、ない、です』
「今日の予定、聞いても良い?」
『え? や、今日は……一応、休みです』
一応。……今は深く聞かないでおこう。
「なら、ちょっと、聞いていいかな」
『え?』
「眠気が分かんないのは、一旦置いといて。横になったり、目を瞑ったりは、出来そう?」
『え、……え、と、どうでしょう……』
どうでしょうて。
「ん、そっか。じゃ、ちょっと、我が儘言うね」
返事がないけど、まあいいや。
「セイがそのまま家に居て、片付けとかが気になってかは、分かんないけど。休めそうにないならね。ウチ来るか『え?!』……ホテルとか、別の場所に行って、休む。休んでほしい。今日私、在宅だし、家に居られるから。どうかな」
さて、どう出るか。
『……その……』
「うん」
『ご、ご迷惑で、なければ……』
「ウチに来るのがってことかな。それなら全然迷惑じゃないよ。そもそもこっちが我が儘言ってるんだし。ちょっとでも行っていいかなって思ってくれてるなら、来て欲しい」
来て欲しいを、少し強めに言う。
『……では、その、……お邪魔させて、いただきます……』
「うん、分かった。何時に来れる? 出来れば早めに来てほしいけども」
『え、と、……では、三十分ほど、で、向かいます』
「了解。じゃ、待ってるね」
『は、はい……』
「切って大丈夫?」
『あ、はい。大丈夫です』
「じゃ、切るね。待ってるからね」
『はい』
通話終了。ちらちら時計を見てたけど、まだ、八時二十分。時間の余裕もある。仕事の準備して、片付けして──
『ミュアぅ』
『なァん』
『ニイぃ』
三匹が、ソファの座面に乗っていた。
「クロ、シロ、ミケ。これからセイが来るから、よろしくね」
子猫たちは、了解と言うように鳴いた。
*
「お邪魔します」
「はいどうぞどうぞ。……?」
苦笑していたセイが、目を瞬いた。
「どした?」
予定時間より早く来てくれたので、まだ話せる余裕がある。ので、聞いてみる。
「セイ?」
セイの視線は、私の顔じゃなく、その下を見ているらしい。変な視線という感じじゃない。驚いてる、みたいな? なんか驚く要素あったっけ……
「あ、これ?」
チャリ、とネックレスのチェーンを持ってみる。家では今まで、付けてなかったしね。驚くというか、疑問に思うなら、これかな。
「──え、あ、え? な、なんで……?」
うん、ネックレスのことで正解らしい。
「付けてるとね、なんか安心感があってさ。だから付けてる」
「安心……」
「そ。で、セイ」
「あっはい」
「上がってもらっていいかな、そろそろ」
セイは、それを見て、固まっていた。
マネージャーの静かな熱量に押されつつ今後の方針の打ち合わせを終えたセイは、疲れるけれど、前ほど心は荒まないなと思いながら自宅に帰り、通知を受け取ったスマホを開き、脳が停止した。
『あんまり帰らないって言ってたけどさ、でもセイの家だしなって。どういうとこか、知りたいなって』
『あ、無理にって話じゃないからさ』
その下に、熊か猫か分からないキャラの、『気楽に行こうぜ!』というスタンプがあり。
「……」
相手がナツキであることを確かめ、ナツキが送り先を間違えていないか──けれど自分の、セイの家、とあるのだ──確かめ、文面を読み返す。それを、十回ほど、繰り返す。
「ど、どういう……」
どうもこうもない。分かっている。遊びに、と文字が語っている。
ただ、その、遊びに、というのが、セイを混乱させる。
料理を──何かしらの手助けのためと、言うのならまだ、ここまで混乱しないだろう。
期待をして、良いのだろうか。少しでも、心を開いてくれたのだと、自惚れて良いのだろうか。
だとして、どうして。
『そんな弱気でどうするのだ』
「…………」
守護霊たちの言葉を思い出し、彼らに間接的に励まされたことに、なんとも複雑な気分になりながら。
『はい。大丈夫です』
という言葉を、打っては消し打っては消し、五分ほどかけて完成させて。
震える指で、送信した。
「……はあ……」
違う意味で気力を使い果たした。と、しゃがみかけ、
「……」
ここが、玄関であることを思い出す。
玄関前に転移しなくてよかった。いや、玄関は奥にあるのだから、誰に見られもしないのだけど。
言い訳めいた言葉を脳内から追い出し、セイは靴を脱ぎ、玄関へ上がる。
そしてまた、立ち止まる。
「……ここに」
この、仕事道具や研究道具のための部屋以外、最低限の手入れしかしていない家に、ナツキが来るかもしれない。
「……ふー……」
セイはコツコツと壁を軽く叩き、家全体を軽く掃除する。庭や、細かい部分は一旦置こう。頭の中を整理しよう。
まずは、それからだ。
*
「お、オッケーくれた。良かった……た?」
スマホの通知を受け取り、確認して、呟く。
昨日、子猫たちのおかげかネックレスのおかげか、しっかり睡眠が取れた私は、ネックレスのチェーンや石が壊れてないか確認し、貰った日のことを思い出し、
「そいや、セイの家って結局どんなとこなんだろ」
という疑問を持ち、別に調べることでもないしなと、セイにそのまま伝えた。朝に。
今日は在宅の日である。朝はゆっくり出来るので、その通りにゆっくり支度を、していたら。
セイから返事が来た。
来たのは良い。家に行って良いという返事だし、それだって良かったと思う。
けど、君、セイくん?
「送ってからまだ三十分もしてないんだけど……? 起きてた?」
起きてた、もしくは起きた、なら良いんだけど。
「……寝てないとか、ないよね……?」
ああうん、そうだ。食事もだけど。睡眠も取れてないんだよね? 君。改善されてるか、ちゃんと確認してないし。
「いや、んー、うーん……」
どういう言葉なら、それとなく聞けるか。
「……深く考えてもしょうがない」
私は、お礼と一緒に、ごめん、もしかして、起こした? と文字を打ち、送り、支度を再開した。
そしてトースト・目玉二つのハムエッグ・レンチンでのなんちゃって温野菜サラダと牛乳というメニューの朝ご飯を作り、
「いただきます」
言った瞬間にスマホが震えた。
「……」
見れば、セイからで。
『起きていたので、大丈夫です』
「……」
『早いね。何時に起きたの?』
すぐ既読になったけど、返事はなく。
私は一旦スマホを置いて、いただきますを言い直し、朝ご飯を食べ始める。
食べ終わり、そういえば、副島に返事してないなと思い出して。
『見たよ、フルのやつ。めっちゃ凄いわ、バズるのも分かる』
と、送り、うさぎのサンクススタンプを送ろうとして。
セイから何か来た。のを、一旦脇に置き、スタンプを送る。で、セイのを確認する。
『五時半です』
なんだ、じゃあまあ問題ないな。と思ったんだけど。
『あの、昨日の五時半です。すいません』
追加が来た。
「……はーああーあー」
ここにセイは居ないので、盛大にため息を吐く。
まあ、言ってくれただけ、有り難い。うん。
『そっか。じゃあ、これから寝るとこだった?』
送り、片付けに取り掛かる。スマホがヴヴッと言ったので、片付けを止め、確認する。
セイである。
『いえ、その』
『家の片付けを、しようかと』
「……」
『家、なんか、寝れないくらい壊れた? 緊急事態? それともセイ、……眠気が来ない?』
一度閉じ、時間を確認する。七時四十二分。まだ、時間はある。
と、セイから来た。
『壊れてはないです。大丈夫です』
壊れてはってなんだろな。そう思いながら椅子に座り、そのまま、ちょっと待つ。
『眠気はよく分からないです。ですけど動けるので、家の片付けをと』
うん、君ね。
私は即座に電話をかけた。少しして、セイが出る。
『は、はい』
声めっちゃ震えてる。
「おはよう、突然ごめんね。今、良いかな」
なるべくいつも通りに、喋りかける。
『あ、はい。大丈夫です』
うん。少し震えが消えたようだ。
「セイ、今、どこにいる?」
『え? あ、家、です』
「そっか。家の片付け、急ぎ?」
『え、や、急ぎでは、ない、です』
「今日の予定、聞いても良い?」
『え? や、今日は……一応、休みです』
一応。……今は深く聞かないでおこう。
「なら、ちょっと、聞いていいかな」
『え?』
「眠気が分かんないのは、一旦置いといて。横になったり、目を瞑ったりは、出来そう?」
『え、……え、と、どうでしょう……』
どうでしょうて。
「ん、そっか。じゃ、ちょっと、我が儘言うね」
返事がないけど、まあいいや。
「セイがそのまま家に居て、片付けとかが気になってかは、分かんないけど。休めそうにないならね。ウチ来るか『え?!』……ホテルとか、別の場所に行って、休む。休んでほしい。今日私、在宅だし、家に居られるから。どうかな」
さて、どう出るか。
『……その……』
「うん」
『ご、ご迷惑で、なければ……』
「ウチに来るのがってことかな。それなら全然迷惑じゃないよ。そもそもこっちが我が儘言ってるんだし。ちょっとでも行っていいかなって思ってくれてるなら、来て欲しい」
来て欲しいを、少し強めに言う。
『……では、その、……お邪魔させて、いただきます……』
「うん、分かった。何時に来れる? 出来れば早めに来てほしいけども」
『え、と、……では、三十分ほど、で、向かいます』
「了解。じゃ、待ってるね」
『は、はい……』
「切って大丈夫?」
『あ、はい。大丈夫です』
「じゃ、切るね。待ってるからね」
『はい』
通話終了。ちらちら時計を見てたけど、まだ、八時二十分。時間の余裕もある。仕事の準備して、片付けして──
『ミュアぅ』
『なァん』
『ニイぃ』
三匹が、ソファの座面に乗っていた。
「クロ、シロ、ミケ。これからセイが来るから、よろしくね」
子猫たちは、了解と言うように鳴いた。
*
「お邪魔します」
「はいどうぞどうぞ。……?」
苦笑していたセイが、目を瞬いた。
「どした?」
予定時間より早く来てくれたので、まだ話せる余裕がある。ので、聞いてみる。
「セイ?」
セイの視線は、私の顔じゃなく、その下を見ているらしい。変な視線という感じじゃない。驚いてる、みたいな? なんか驚く要素あったっけ……
「あ、これ?」
チャリ、とネックレスのチェーンを持ってみる。家では今まで、付けてなかったしね。驚くというか、疑問に思うなら、これかな。
「──え、あ、え? な、なんで……?」
うん、ネックレスのことで正解らしい。
「付けてるとね、なんか安心感があってさ。だから付けてる」
「安心……」
「そ。で、セイ」
「あっはい」
「上がってもらっていいかな、そろそろ」
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