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ある洋館にて
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「あなたが?」
私は思わずそう問いかけた。
対する彼は無表情のまま、ゆっくりと頷くだけでそれに応える。
部屋の大きな窓から斜めに陽光が差し込み、長く使われていないことを示すように埃がキラキラと舞っている。
私はこの洋館、らしき場所に、誘拐された。のだと思う。
思うというのは、未だに状況を掴めていないからと、私を誘拐する意味が分からないからだ。
私は駅前の公園に一月ほど前から居座っているホームレスだ。今日も朝から何をするでもなく、出来るでもなく、ただベンチに腰掛けていた。
それが不意に視界がぶれ、気づいたらこの洋館の玄関──それも中──に転がされていた。
ぼうっとする頭のまま起きあがると、横にメモが落ちていた。
『起きたら そのまま進んで 最上階の突き当たりの部屋に 入れ』
…………。私は何に巻き込まれたのだろう。そう思いながらも書かれたとおりに進む。他のドアも窓も何故か開かなかったから。
そして、その部屋に着いたら。
灰色。自身全てがグレー一色で出来た人が佇んでいた。
私は思わずそう問いかけた。
対する彼は無表情のまま、ゆっくりと頷くだけでそれに応える。
部屋の大きな窓から斜めに陽光が差し込み、長く使われていないことを示すように埃がキラキラと舞っている。
私はこの洋館、らしき場所に、誘拐された。のだと思う。
思うというのは、未だに状況を掴めていないからと、私を誘拐する意味が分からないからだ。
私は駅前の公園に一月ほど前から居座っているホームレスだ。今日も朝から何をするでもなく、出来るでもなく、ただベンチに腰掛けていた。
それが不意に視界がぶれ、気づいたらこの洋館の玄関──それも中──に転がされていた。
ぼうっとする頭のまま起きあがると、横にメモが落ちていた。
『起きたら そのまま進んで 最上階の突き当たりの部屋に 入れ』
…………。私は何に巻き込まれたのだろう。そう思いながらも書かれたとおりに進む。他のドアも窓も何故か開かなかったから。
そして、その部屋に着いたら。
灰色。自身全てがグレー一色で出来た人が佇んでいた。
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