28 / 34
セツナの姉妹
しおりを挟む
バチッという音と共に、目の前から姉が消えた。手を目一杯伸ばし、あと少しで指先が触れるというところで。
間に合わなかった。
思わずその場にうずくまり、奥歯を噛み砕んばかりに噛み締める。右の拳で強く床を叩く。
「早く起き上がれ! 立て! 走れ! 時間がない!!」
横にいたどこの誰とも知れない男が、銃を構えたままあたりを見回す。同じ様な格好をした男女数人も、周りを警戒している。
彼らは私達姉妹を助けに来たらしい。この研究所に閉じ込められていた私達を、「解放しに来た」と、ドアをぶち破りながら入って来た時に言っていた。
「──クソッ!」
蹲ったまま動かない私を、その腕を、男は強く引っ張った。私はそのまま半ば引きずられるようにして走らされる。
私を引きずる男は仲間と共に研究所を後にし──道中通路に転がってる人を何人も見た。血まみれだった──外に出た。開けたそこには大きく厳つい車が何台も停まっていて、私はその中の一台に、放り込まれるようにして乗らされた。
「……帰して」
私の声に、誰も応えない。
「……帰して!」
「駄目だ」
私の隣に座った男が叩き斬るように強い口調で言った。
「そもそもあなた達はなんなの?! お姉ちゃんはどうなったの?! 消えたんだよ?!」
男は、質問には答えない。
車はいつの間にか発進していた。どこに向かっているのか、それも教えてくれない。
「なんなの?! 帰る、私帰るから! ──痛いっ!」
男に二の腕を強く掴まれ、私はそいつを睨んだ。
「暴れるなら一時的に拘束する。……セツナ」
「?!」
なんで、名前を。
「俺達は君達姉妹の保護に来た。今はそれ以上は言えない」
男の静かで強い眼差しに、私はぐっと押し黙った。
間に合わなかった。
思わずその場にうずくまり、奥歯を噛み砕んばかりに噛み締める。右の拳で強く床を叩く。
「早く起き上がれ! 立て! 走れ! 時間がない!!」
横にいたどこの誰とも知れない男が、銃を構えたままあたりを見回す。同じ様な格好をした男女数人も、周りを警戒している。
彼らは私達姉妹を助けに来たらしい。この研究所に閉じ込められていた私達を、「解放しに来た」と、ドアをぶち破りながら入って来た時に言っていた。
「──クソッ!」
蹲ったまま動かない私を、その腕を、男は強く引っ張った。私はそのまま半ば引きずられるようにして走らされる。
私を引きずる男は仲間と共に研究所を後にし──道中通路に転がってる人を何人も見た。血まみれだった──外に出た。開けたそこには大きく厳つい車が何台も停まっていて、私はその中の一台に、放り込まれるようにして乗らされた。
「……帰して」
私の声に、誰も応えない。
「……帰して!」
「駄目だ」
私の隣に座った男が叩き斬るように強い口調で言った。
「そもそもあなた達はなんなの?! お姉ちゃんはどうなったの?! 消えたんだよ?!」
男は、質問には答えない。
車はいつの間にか発進していた。どこに向かっているのか、それも教えてくれない。
「なんなの?! 帰る、私帰るから! ──痛いっ!」
男に二の腕を強く掴まれ、私はそいつを睨んだ。
「暴れるなら一時的に拘束する。……セツナ」
「?!」
なんで、名前を。
「俺達は君達姉妹の保護に来た。今はそれ以上は言えない」
男の静かで強い眼差しに、私はぐっと押し黙った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる