前世で伝説の暗殺者だった俺、異世界でもしっかりと無双する〜俺の暗殺術が異世界で通用しすぎる件について〜

ハナマル

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2. 異世界転生

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 ――おぎゃぁぁぁ



 自分の鳴き声で目を覚ます。すでにこの世界に来て1週間が経とうとしていた。



「まったく、シオンはよく泣く子だなぁ」



 男が言う。……俺だって泣きたくて泣いているわけではない。勝手に涙がわいてくる。赤子の身体とは厄介なものだ。



 シオン、これが俺の新たな名である。ここで、俺の状況について紹介しておこう。



 先ほどから俺を抱いてあやしている男はアラン。この世界での父親にあたる人物だ。現在は田舎村で薬師をしている。…それにしても暗殺者が薬師の子に転生とはな。



「元気に育っている証だわ。ねぇ、シオンちゃん」



 この美しい女性は母親だ。名はリーネ。会話から察するに、元はどこかの貴族令嬢だったようだ。10年ほど前にアランと駆け落ちしてこの村に来たらしい。確かに、それ相応の気品が備わっている。



 父、母、俺、そして現在不在の兄、アベルを加えた4人家族。これが俺の家族構成となる。ちなみに全員、驚くほど器量がいい。俺も将来はかなりの美形になるだろうな。

 見た目など気にするのかって?確かにあまり興味はないが、美形なことにメリットはあってもデメリットはない。もらえるものはしっかりと受け取り、活かす。それが俺流だ。




 まあ正直、子供のころに特別やることはない。暇なので、身体を動かせるようになったら、鍛えなおすこととしよう。





 _________________________________________________________________



「乾杯ッ!!!」

 日中は身体を鍛え、夜は勉強をする。そんな生活をしていたら、15年が経過していた。この世界では15で成人のため、俺も大人に仲間入りということだ。今日は俺の成人祝いである。



「シオンはこれからどうするんだ?」

 兄のアベルが問う。父親の薬屋はアベルが継ぐ予定であるので、特にやることは決まっていない。



「うーん。まだわからない。とりあえず冒険者にでもなろうかな」



 異世界のテンプレ通り、この世界には冒険者という職業がある。依頼主からの依頼をこなし、報酬を得る、いわゆるなんでも屋だ。



「えぇ~!?ダメよ。冒険者なんて危ないわ!」



 やはりか。母さんは止めると思った。別に、絶対に冒険者になりたい、というわけではないので、何か別の職業でも目指そうか。――すると、



「リーネ、シオンが決めたことなら、それでいいだろう。…それに、シオンは異常に強い。そうそう危険は訪れないはずさ。」



 意外にもアランが俺の味方をした。いつもリーネの尻に敷かれているのに…、たまにはやるじゃないか。



 アランには、よく稽古相手になってもらっていた。はじめは俺の相手になるか、と侮っていた。が、彼は相当な手練れである。…実際、彼から1本を取れるようになったは、稽古を始めて5年が経った、つい最近のことである。



「で、いつ出発するんだ?」

 そう。冒険者になると、冒険者ギルドに所属して依頼を受ける。しかし、ギルドはこの村にはない。この近くでは、“ウェルグラード”という大都市のみがギルドを所有する。ここからは歩いて20日ほどの距離。

 …つまり、冒険者になるということは、この家族と離れるということを意味するのだ。



「――なるべく早い方がいいから…、明日にでも出発するよ」

 大人になったら、この世界を見て回る。それがこの15年で俺の中に芽生えた夢だ。…早く、この村以外の光景を見たい!この世界を知りたい!その気持ちは最近になってますます大きくなり、もう我慢ならない。



「えぇ!?」

 だが、明日出発は少々気が早かったか。泣いて反対する母を必死に説得する。



 結局、今晩一緒に眠るということで、お許しを得た。子煩悩とは、時に本当に恐ろしい。





 _________________________________________________________________



 翌朝、家族に見送られつつ、俺は村を旅立つ。相棒の双剣とともに。



 双剣は昨日、家に届いた。匿名で、『親愛なるシオンへ…』という手紙とともに。...送り主は女神だろう。ずいぶんと粋なことをするものだ。



 村を出ると、壮大な世界が広がる。たまに父親とともに出たことはあったが、その時とは景色の見え方が違うものだ。



「…さて」

 村から“ウェルグラード”まではかなり大きな道が通っている。たまに通行する業者のためだろう。この道をまっすぐ進めば、目的地である。…しかし、俺は大きな道を横目に、森の中に入る。

 なぜかって?まず、道は森を迂回するように通っており、少々遠回りになる。無駄を嫌う俺はそれが受け入れられない。…次に、森の中は俺のとあるスキルを使用するに絶好の場所だからだ。



 ――【影踏み《シャドウ・ウォーク》】!!



【影踏み】、俺の持つユニークスキルのうちの一つ。制限距離(1km)以内の、視界内の影に、瞬間的に移動することができるスキルだ。…そう、これを使えば、瞬間移動の真似事もできる。おそらく世界最強クラスのスキルだろう。15年間、家族にすらも隠し続けたスキルが今、日の目を浴びる。



 ちなみに、スキルには使用してから一定時間、クールダウンがある。クールダウン中、そのスキルは使えなくなる。【影踏み】の場合は30秒といったところか。




 ――【影踏み】を使用しながら移動すると、夜ごろには大都市“ウェルグラード”に到着、入ることができた。



(歩いて20日の距離を1日で移動か。やはり、便利なスキルだな。)



 道中、魔物を倒さなければならない場面もあり、さすがに疲れを感じたので、宿屋に向かう。ギルドには明日訪れることにした。



 ちなみに宿代は10日分の前払いで、3000ルージュ。相場は1ルージュ=10円ほどだ。

 両親から受け取った生活資金でとりあえずは何とかなった。



 しかし、早いところ収入を得ないと厳しくなりそうだ。




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