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32話 誇り高き豹女
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心臓は早鐘を打ち続け、手も足もまだ震えていた。
「こ、怖かった……!」
サージュが優しくミミの背を撫でてくれている。ミミはまたサージュを抱きしめた。
「くっ、くっ、くっ」
部屋の中からは笑いをこらえる声が聞こえてくる。
ミミが目を向けると、テテが酒の入ったグラスを上げて片眼を瞑った。
(テテさんっ!!)
ミミの困惑と怒りの心の声がテテに届いたのだろうか、腹を抱えて大笑いするジャスチャーで答えていた。
そのとき、隣のドアを叩く大きな音が部屋に響いた。
『おい、テテ! いるんだろ!? 早く借りた金を返せ!!』
何度も何度もドアを叩いている。最後に『クソっ!』と大声が聞こえて音は止まった。
「はぁ~」
サージュを抱きしめていたミミの腕の力が抜けていく。全身が緊張していたようで、疲労感がいっきにやってくる。代わりにサージュが力強くミミを抱きしめ返してくれいていた。
静かになった今でも、大きな音がミミの耳にこびりついている。
あの熊男はなんなのか、ミミが力なく座っていると、テテの声が聞こえてきた。
「最近は来てなかったみただけど、匂いでもたどってきやがったのかな~」
空になったグラスに酒を注ぎながらつぶやいていたテテのもとへ、ミミは床を這いながら向かった。
「な、な、なんですか、あの熊男は!?」
「金貸し屋」
悪びれることなく言うテテの話を聞くと、以前、酒代がなかったときに自分が貸してやると熊男が金を出してきたという。後日返そうとしたら、金が足りない、うちは一日一割だと言ってきた。
「こいつがそこそこ有名なあくどい金貸しでね。しらふなら気づけたんだが借りたときは酔っちまっててさ」
酔いが醒めた頭で相手の顔を見たらやっちまったと気づいたが、今さら遅いしまあいいかってね、とテテは屋台の料理をつまみに酒を呑みながら熊男の素性を話した。
「頭にきたから借りた金だけ叩き返して無視してんだ」
それ以来、テテに払えと膨大な金額を提示して迫ってくるようになったという。最近は飲み屋に出没することが多く、家にまでは来なくなっていたらしいのだが――。
「弱い奴なら怖がって払っちまうから死ぬまでいいカモになる。でもあたしは誇り高き豹女だよ。熊なんて怖かねえ」
それにあたしの金はすべて酒を買うためにある! と豪語してテテはいっきに酒を呑んだ。
「サージュは大丈夫だったの?」
あんなに恐ろしい熊男が来ていたなんいて、サージュは大丈夫だったのか気になった。
「近くに来ると気配がしたから、すぐ隠れた」
「気配!?」
サージュはミミが思う以上に凄い子なのかもしれない。将来が楽しみな分、あの熊男をこのままにしてはいけないと思った。
「警備隊に相談しましたか?」
ミミは冷静に話さねばと心を落ちつかせながらテテに訊いた。違法なら捕まえる対象ではないのかと思ったのだ。
「ははは、奴らがあたしを助けてくれと思っているのか? 奴らは上流階級のためにある組織だぞ。それに……」
テテは言葉を止めて酒を呑んだ。
「あたしはお前と違って、暗い道を歩く者だ」
「暗い道?」
テテは少しのあいだ黙っていたが、やがてゆっくり話し出した。
「あたしの親父はね、故郷で濡れ衣を着せられて、死罪になるところだったんだよ。一族の掟で、家族全員がその罰の対象だったんだけど、親父はあたしらを連れて逃げた。要は、お尋ね者の道を選んだのさ。自由を得たが、どこにいても見つかれば死が待っている茨の道だ」
それはテテが十六歳のときの出来事だった。父親の刑罰は寝耳に水で、誰かに嵌められたことだけがわかっていたが、無実を証明する時間などなかった。幸運だったのは、逃がしてくれる仲間がいたことだ。家族三人で逃げた日は大雨が降っていて、匂いが消えることは助かったのだが、心身ともに疲弊していたテテたちには毒でしかなかった。
その雨が原因で、テテの母親は病気になってしまったのだ。医者にも診せることができず、逃げる途中で彼女は天へ帰っていった。
目的地までの道のりは険しく、岩山も超えたという。空腹に負けて立ち寄った場所で盗みもしたし、身の危険があれば相手が動かなくなるまで牙を向けた。
わずかな希望を持ってやってきた国都は想像よりも厳しい場所で、父親はその一年後に仕事へ行くと出ていったきり、テテの前から姿を消してしまったのだ。生きているのか死んでいるのか今もわからない。その後、テテが調べてわかったことは、父親は裏の仕事に手を出してしまっていたということだけだった。
「国都に逃げたはいいものの、ここで胸張って生きて働くには魔力登録が必要だろ。あたしらは故郷で魔力登録しちまっててさ、そんなことしたらすぐにばれちまう。お尋ね者の情報は国都でも共有されているんだよ」
そう言って、言葉のあいまにテテは酒を一口だけ呑んだ。
「でもね、ここはそんな奴らのたまり場でもある。お前のように光の道を歩けるものには幸運のチャンスが巡ってくるが、そうじゃないものもここには大勢いる。はみ出し者は、ひっそりこっそり隠れて生きていくんだ。そのひとりがあたしだよ」
国都に来てから三十年、テテはひとりで隠れるようにここで生きてきたという。
警備隊も必要悪としてある程度のことは目を瞑っている。その条件は、彼らが表に出てこないことなのだ。
「国都はこの国の光と影を凝縮したような場所だ。故郷に行き場をなくした者たちの受け皿の役割もあるが、それは問題を起こさないからこそ見逃されているにすぎない」
だから警備隊なんてごめんだよ、とテテは言いまた酒を呑んだ。
部屋には静寂が広がった。ミミは何も言えず、ただただ心が痛かった。
「そんな顔すんなよ。前にも言っただろ、自分の身は自分で守らないといけないって」
そんな顔とはどんな顔だろう。鼻も痛いし耳も痛い。ミミはくちゃくちゃになった顔をテテに向けた。
「テテさん……」
ミミはテテの手を両手で握った。温かくて、ミミの手よりも一回り大きくて、指も長い。一生懸命生きてきた、女の手だ。
「なっ、なんだよ!」
珍しく狼狽えるテテがおかしくて、ミミは少し笑ってしまう。大事なことを伝えるのだと、気を取り直して気合を入れた。
「熊男に見つかったら、全力で逃げてくださいね!」
「え~~」
「逃げる一択ですよ!」
とても大事なことなので、握った手に力を込める。
テテは嫌そうな顔をして叫んだ。
「あたしは豹獣人だよ、熊野郎なんかに負けねーの!」
「ダメです。逃げる一択です!」
何度も同じ会話も繰り返すふたりを見ながら、サージュはデザートを皿に分けている。
お皿の数は、三枚だ。
「こ、怖かった……!」
サージュが優しくミミの背を撫でてくれている。ミミはまたサージュを抱きしめた。
「くっ、くっ、くっ」
部屋の中からは笑いをこらえる声が聞こえてくる。
ミミが目を向けると、テテが酒の入ったグラスを上げて片眼を瞑った。
(テテさんっ!!)
ミミの困惑と怒りの心の声がテテに届いたのだろうか、腹を抱えて大笑いするジャスチャーで答えていた。
そのとき、隣のドアを叩く大きな音が部屋に響いた。
『おい、テテ! いるんだろ!? 早く借りた金を返せ!!』
何度も何度もドアを叩いている。最後に『クソっ!』と大声が聞こえて音は止まった。
「はぁ~」
サージュを抱きしめていたミミの腕の力が抜けていく。全身が緊張していたようで、疲労感がいっきにやってくる。代わりにサージュが力強くミミを抱きしめ返してくれいていた。
静かになった今でも、大きな音がミミの耳にこびりついている。
あの熊男はなんなのか、ミミが力なく座っていると、テテの声が聞こえてきた。
「最近は来てなかったみただけど、匂いでもたどってきやがったのかな~」
空になったグラスに酒を注ぎながらつぶやいていたテテのもとへ、ミミは床を這いながら向かった。
「な、な、なんですか、あの熊男は!?」
「金貸し屋」
悪びれることなく言うテテの話を聞くと、以前、酒代がなかったときに自分が貸してやると熊男が金を出してきたという。後日返そうとしたら、金が足りない、うちは一日一割だと言ってきた。
「こいつがそこそこ有名なあくどい金貸しでね。しらふなら気づけたんだが借りたときは酔っちまっててさ」
酔いが醒めた頭で相手の顔を見たらやっちまったと気づいたが、今さら遅いしまあいいかってね、とテテは屋台の料理をつまみに酒を呑みながら熊男の素性を話した。
「頭にきたから借りた金だけ叩き返して無視してんだ」
それ以来、テテに払えと膨大な金額を提示して迫ってくるようになったという。最近は飲み屋に出没することが多く、家にまでは来なくなっていたらしいのだが――。
「弱い奴なら怖がって払っちまうから死ぬまでいいカモになる。でもあたしは誇り高き豹女だよ。熊なんて怖かねえ」
それにあたしの金はすべて酒を買うためにある! と豪語してテテはいっきに酒を呑んだ。
「サージュは大丈夫だったの?」
あんなに恐ろしい熊男が来ていたなんいて、サージュは大丈夫だったのか気になった。
「近くに来ると気配がしたから、すぐ隠れた」
「気配!?」
サージュはミミが思う以上に凄い子なのかもしれない。将来が楽しみな分、あの熊男をこのままにしてはいけないと思った。
「警備隊に相談しましたか?」
ミミは冷静に話さねばと心を落ちつかせながらテテに訊いた。違法なら捕まえる対象ではないのかと思ったのだ。
「ははは、奴らがあたしを助けてくれと思っているのか? 奴らは上流階級のためにある組織だぞ。それに……」
テテは言葉を止めて酒を呑んだ。
「あたしはお前と違って、暗い道を歩く者だ」
「暗い道?」
テテは少しのあいだ黙っていたが、やがてゆっくり話し出した。
「あたしの親父はね、故郷で濡れ衣を着せられて、死罪になるところだったんだよ。一族の掟で、家族全員がその罰の対象だったんだけど、親父はあたしらを連れて逃げた。要は、お尋ね者の道を選んだのさ。自由を得たが、どこにいても見つかれば死が待っている茨の道だ」
それはテテが十六歳のときの出来事だった。父親の刑罰は寝耳に水で、誰かに嵌められたことだけがわかっていたが、無実を証明する時間などなかった。幸運だったのは、逃がしてくれる仲間がいたことだ。家族三人で逃げた日は大雨が降っていて、匂いが消えることは助かったのだが、心身ともに疲弊していたテテたちには毒でしかなかった。
その雨が原因で、テテの母親は病気になってしまったのだ。医者にも診せることができず、逃げる途中で彼女は天へ帰っていった。
目的地までの道のりは険しく、岩山も超えたという。空腹に負けて立ち寄った場所で盗みもしたし、身の危険があれば相手が動かなくなるまで牙を向けた。
わずかな希望を持ってやってきた国都は想像よりも厳しい場所で、父親はその一年後に仕事へ行くと出ていったきり、テテの前から姿を消してしまったのだ。生きているのか死んでいるのか今もわからない。その後、テテが調べてわかったことは、父親は裏の仕事に手を出してしまっていたということだけだった。
「国都に逃げたはいいものの、ここで胸張って生きて働くには魔力登録が必要だろ。あたしらは故郷で魔力登録しちまっててさ、そんなことしたらすぐにばれちまう。お尋ね者の情報は国都でも共有されているんだよ」
そう言って、言葉のあいまにテテは酒を一口だけ呑んだ。
「でもね、ここはそんな奴らのたまり場でもある。お前のように光の道を歩けるものには幸運のチャンスが巡ってくるが、そうじゃないものもここには大勢いる。はみ出し者は、ひっそりこっそり隠れて生きていくんだ。そのひとりがあたしだよ」
国都に来てから三十年、テテはひとりで隠れるようにここで生きてきたという。
警備隊も必要悪としてある程度のことは目を瞑っている。その条件は、彼らが表に出てこないことなのだ。
「国都はこの国の光と影を凝縮したような場所だ。故郷に行き場をなくした者たちの受け皿の役割もあるが、それは問題を起こさないからこそ見逃されているにすぎない」
だから警備隊なんてごめんだよ、とテテは言いまた酒を呑んだ。
部屋には静寂が広がった。ミミは何も言えず、ただただ心が痛かった。
「そんな顔すんなよ。前にも言っただろ、自分の身は自分で守らないといけないって」
そんな顔とはどんな顔だろう。鼻も痛いし耳も痛い。ミミはくちゃくちゃになった顔をテテに向けた。
「テテさん……」
ミミはテテの手を両手で握った。温かくて、ミミの手よりも一回り大きくて、指も長い。一生懸命生きてきた、女の手だ。
「なっ、なんだよ!」
珍しく狼狽えるテテがおかしくて、ミミは少し笑ってしまう。大事なことを伝えるのだと、気を取り直して気合を入れた。
「熊男に見つかったら、全力で逃げてくださいね!」
「え~~」
「逃げる一択ですよ!」
とても大事なことなので、握った手に力を込める。
テテは嫌そうな顔をして叫んだ。
「あたしは豹獣人だよ、熊野郎なんかに負けねーの!」
「ダメです。逃げる一択です!」
何度も同じ会話も繰り返すふたりを見ながら、サージュはデザートを皿に分けている。
お皿の数は、三枚だ。
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