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死んだその子は
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眼に映るのは涙を浮かべた同級生。なにがそんなに悲しいんだろう。なんでそんなに泣けるんだろう。
「今日で君たちは卒業だけど、先生からの最後の宿題です」
教壇で話す教師の瞳も潤んでいる。あなたのその涙は本物なの?
長い人生の、たかだか一つの段落が終わっただけで、どうして感動することが出来るんだろう。
「俺はみんなと出会えて良かったと思います」
クラスの委員長が涙ながらに何かを訴える。君は私たちのために本気で何かを変えようとしたの?
泣いてないのは私だけ。だって悲しくなんかない。泣いてる人たちは本当にそんなに悲しいの?
「このクラスの全員がとても良い友情を持っていて」
再び先生が何かを言う。友情ってなんだろう。その言葉にはどんな意味があるんだろう。
「きっとあの子も天から見ていてくれてる」
先生の一言に場が凍りつく。きっとその子は天からなんて見てないよ。
「君も一緒に卒業したかったろう」
そう言って花が手向けられた机の前で合掌してる。おかしいな、イジメを見て見ぬ振りをした人が心からそう思ってるわけなんてないよね。
釣られて教室の生徒たちも合掌してる。おかしいな、イジメてた人たちまで悲しそうな顔をしてる。その子が、君たちのせいで死んだなんて思わずに。
「じゃあ最後の挨拶です。委員長、号令を」
そして委員長の号令でみんなが揃って礼をした。それぞれが帰路につく。
私以外の全員がいなくなった後、先生が教室の施錠に来た。
「よし、もう誰もいないな」
ボソッと呟いて、教室のドアが外側から閉められた。
・・・・・・みんなも私と同じ目に合わせてあげる。
だって私たち、友達だもんね?
「今日で君たちは卒業だけど、先生からの最後の宿題です」
教壇で話す教師の瞳も潤んでいる。あなたのその涙は本物なの?
長い人生の、たかだか一つの段落が終わっただけで、どうして感動することが出来るんだろう。
「俺はみんなと出会えて良かったと思います」
クラスの委員長が涙ながらに何かを訴える。君は私たちのために本気で何かを変えようとしたの?
泣いてないのは私だけ。だって悲しくなんかない。泣いてる人たちは本当にそんなに悲しいの?
「このクラスの全員がとても良い友情を持っていて」
再び先生が何かを言う。友情ってなんだろう。その言葉にはどんな意味があるんだろう。
「きっとあの子も天から見ていてくれてる」
先生の一言に場が凍りつく。きっとその子は天からなんて見てないよ。
「君も一緒に卒業したかったろう」
そう言って花が手向けられた机の前で合掌してる。おかしいな、イジメを見て見ぬ振りをした人が心からそう思ってるわけなんてないよね。
釣られて教室の生徒たちも合掌してる。おかしいな、イジメてた人たちまで悲しそうな顔をしてる。その子が、君たちのせいで死んだなんて思わずに。
「じゃあ最後の挨拶です。委員長、号令を」
そして委員長の号令でみんなが揃って礼をした。それぞれが帰路につく。
私以外の全員がいなくなった後、先生が教室の施錠に来た。
「よし、もう誰もいないな」
ボソッと呟いて、教室のドアが外側から閉められた。
・・・・・・みんなも私と同じ目に合わせてあげる。
だって私たち、友達だもんね?
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