一本の桜 ➤ 記憶

藤原 向夏

文字の大きさ
4 / 4

虚しさ

しおりを挟む
  私は、陸と本当の元凶。瑠花さん ... いや 佐野秋雷を
殺害する事にした。でも私にできるのかな。人を殺すなんてはじめてだし、ましてや元幼馴染を殺す事なんて。陸はこういう事、経験した事あるのかな。私は陸と待ち合わせした。でも正直まだ驚いている。だって私の幼馴染が陸や私にこんな事するなんて誰かに取り憑かれているのかな。とりあえず陸に会わないと。私は桜の木まで走った。
「 陸 ~  。」
「 おせぇよ 。雷  。」
「  ごめんって 。 とりあえず、 人を殺すんだよね 」
「  そうだけど 。 」
私は、黙ってしまった。本当に殺るとは思っていなかったからだ 。
幼馴染を殺す事は自分にとってどれだけ辛い事か陸には分からないのかな。
「 どうやって…。殺害するの … ?」
私は思わずそう聞いてしまった。
「 どうやって …って 普通に桜の木で 存在ごと消すだけだよ」
「  …  。」
私は動揺を隠せず。思わず陸にビンタをしてしまった。
「 なんで、ビンタするのさ 」
陸は痛くなさそうに私に聞いてきた。
「 なんでってそんなの。幼馴染を殺すなんて私にはできないし、ましてや存在ごと消すのは可笑しいからっ!!」
私は陸に怒鳴った。なんで、なんでこうなってしまったの。私は何を間違えたの。秋雷に会ったこと、陸に会ったこと。何を間違えたのっ!
「 なら、君は参加しなくていい 」
ビンタされた所が少し痛いのか頬に手を当てており
「  えっ… 。」
「  だって、殺せないんだろ。そんな奴仲間にする必要はない。 」
陸は、私を睨みつけて最後の願いを話してくれた。
‪”‬ 秋雷 ‪”‬という少女が消えたらボクも消える。でも君には生きていてほしい。ボク達を後を追わないでほしいと。そこから私の意識はなくなり気づけば朝になっていた。
「 遅刻する っ !」
私は慌てて外に出て学校に向かった。でも、いつも通る道はなんだか寂しさを感じる。誰かと通っていた道な気がする。でも思い出せない。
「 ちょっと ー 。雷 。」
ふと、背後から声がした。
「 ん … ?」
私は後ろを向いた。そしたらそこには、桜の木と‪”‬佐野秋雷‪”‬、私の幼馴染がいたのだ。
「 えっ。」
私は動揺していた。死んだはずの秋雷がいる。
「 何、驚いてんの。早く学校行くよ アンタを待っていたせいでこっちも遅刻しそうなんだよ」
桜の木から降りては走り出し。
「  待ってよ 。」
私も後を追うように走り出して。秋雷が生きている。でも何故、私はこんなに虚しいの。もう1人大切な人がいた気がする。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

断罪茶番で命拾いした王子

章槻雅希
ファンタジー
アルファーロ公爵嫡女エルネスタは卒業記念パーティで婚約者の第三王子パスクワルから婚約破棄された。そのことにエルネスタは安堵する。これでパスクワルの命は守られたと。 5年前、有り得ないほどの非常識さと無礼さで王命による婚約が決まった。それに両親祖父母をはじめとした一族は怒り狂った。父公爵は王命を受けるにあたってとんでもない条件を突きつけていた。『第三王子は婚姻後すぐに病に倒れ、数年後に病死するかもしれないが、それでも良いのなら』と。 『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『Pixiv』・自サイトに重複投稿。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

処理中です...