ミニスカを穿いているから覗かれても触られても仕方ないとかふざけるな

翠山都

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いじめという行為

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 そうして数日注意深くクラスを観察して、どうやらはるながいじめにあっているらしいとようやくに気づいた。
 ダメだな私、とかすみは反省する。はるなとはそれなりに友だちのつもりでいたのだが、これまでまったく気づけなかったのだ。それだけはるなに対するやり口が巧妙だったということもあるのだろうけど。
 いじめといえばクラス全員から無視されたり、所持品を棄損されたりという行為が多いのだが、これらは案外と露呈しやすい。教師陣は知らなくても生徒たちは大抵知っているし、ひどい場合だと本人以外のクラス全員が加担している場合もある。
 だがどうしてだか、この国では被害者生徒からの訴えがあってさえ、いじめが発覚し、そのうえでいじめと認定される事例がとてつもなく少ない。
 理由はいくつか考えられるが、大きな理由の一つとして、学校側がこういう問題が持ち上がった際、大事にならぬよう学内だけで解決しようという方向に進むためだ。
 大事にならぬよう、というと聞こえはいいが、これは実際には、その問題を知る人数を最低限に留めよう、という行為だ。そうなると自然、当事者同士での解決に主眼が置かれるようになり、なぜだか教師という人種は、話し合いですべてが解決すると思い込んでいる節がある。
 加害者と被害者が話し合いで和解? しかもその後もクラスメイトとしてやっていける? ありえない。かすみのような中学生にだって想像可能なことだ。うまくいくわけがない。
 なのになぜだか、教師というヤツらはそれで解決すると思っているようなのだ。あまりに人間関係に関する経験が足りないと言わざるを得ない。
 そもそも、この国ではなぜだか被害者の方を隔離する傾向にある。自宅だったり保健室にだったり避難させるというと、これまた聞こえがいいけれども、本来被害者が不自由な思いをしなければいけないなんて、おかしな話だ。いかなる理由があろうと悪いのは悪いことをしたヤツらであって、悪いことをしたヤツらは罰せられるべきだ。悪いことをして罰せられなかったヤツらは、成長してもきっと同様のことをする。学校は社会の縮図であり、矯正する機会はこの時期しかないのだ。どこかで断ち切らなければ、いじめが当たり前の社会はいつまでもどこまでも、この先何百年でも続いていくだろう。そんな世の中で、かすみは生きていきたくはない。
 外国では、いじめをしてしまう側が心の病と判断されて、カウンセリングを受ける例もあると聞く。この考え方にはかすみも賛成だ。隔離されるのはいじめをした側であって、された側ではない。そういった異常者たちを社会全体で野放しにしないで欲しいとかすみは思う。
 ともかく、そんな性格異常者が、このクラスにはいるらしい。

 ある意味かすみが感心したのは、このいじめの首謀者が、無視だったり、はるなの肉体や持ち物を傷つけたりというわかりやすいやり方を避けていることだ。そして、どうやらはるなへのいじめは、かなり性的な方向に寄っているらしい。
 性的なことに興味を持つとともに、そういったことに関して恥ずかしさを覚える年齢でもある。こっち方面は、本人も周囲に相談しにくいのだ。
 スカートめくりにしたって、訴えたところで実行犯たちは注意はされるだろうが、あまり重い処分にならないだろうことは想像がつく。下着の盗難は深刻で結構な問題にできる可能性があるが、その場で訴えなければ証拠を見つけるのは難しいかもしれない。それに何といっても、はるな自身が公にすることを嫌がるだろう。かすみ自身が同じ目に遭ったとしても、公にするのはちょっと、いやかなり抵抗がある。
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