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アルバム
しおりを挟むこうして会うのは久しぶりだと思った。
「今、リアは何してんだ?」
そんなことを聞き始めたのは、時雨。
大井時雨(オオイシグレ)は、学校の教師をしているから、この学校にいる。
リアは、頭をひねった。
「ああ、学校にいた理由ですよね。」
何かごそごそと取り出した。
何を取り出しているのかと思うと、何か大きな本が出てきた。
「これを借りに来たんです。」
リアは、鞄の中から大きなアルバムを出してきた。
「アルバム?」
そう聞きながら、なんだか自然に手が伸びた。
それに気が付いて、リアも時雨にアルバムを渡す。
「大きいから気をつけてくださいね。」
そう言われて、少し手に力を入れる。
確かに重い。
なんだかこんなに重い本を持ったのも久しぶりだと思った。
確かに学校で扱ってるプリントは大きなものが多いが、その中でも、アルバムは特に大きい。
それにこの学校のアルバムはなぜか少し大きくて丈夫にできている。
それを思うと結構しっかりとした作りなのはわかる。
そう思うと何に学校は金をかけているのか少し不思議に思った。
「私たちの学校って、けっこう珍しくて、病気の人とかなかなか学校来れない人とか、不登校の人とかを結構多く入学させてるらしくてね。まあ、それは学校卒業してから知ったんだけど。でね、私の友達が少し今入院してて、お見舞いに行ったら学校同じだったから学校の話してたら盛り上がってね。それで、学校からアルバム借りてみながら話できないかなって思って。それで借りてきたんだ。」
「その友人元気なのか?」
リアはニコニコしながら話している。
その様子を見るとなんだか楽しそうに見える。
「うん。元気だよ。退院はいつかはわからないけど、退院したら行きたいところいっぱいあるから、一緒に行くんだ。」
リアは笑いながら、アルバムをめくった。
「あ、昔の時雨先輩発見。」
「変なの見るな。」
自分が写ってるのを手で隠そうとする。
しかしもうリアにははっきりと見えていたらしく、先輩変わらないですね。と楽しそうに笑って言われた。
「変わらなくて悪かったね。」
少し嫌味を言いながら、なんだかよくわからない会話になってしまった。
「良かったら、今度時雨先輩も来ませんか?お見舞いに?」
そんなことを言われて、一瞬なんて答えたらいいかわからなくなった。
「言っても、ただ立ってるだけになるぞ。それでもいいなら行くけど。」
時雨はそう言いながら、アルバムをめくる。
その中にはリアもいた。
「なんだよ。リアもそんなに変わらないじゃん。」
どこか自分に言われた言葉を言い返して、時雨は自分で笑ってしまった。
「少しは変わってますよ。」
リアは少し頬をふくらませながら、アルバムの中の自分と今の自分を確かめようとして、鞄から鏡を取り出す。
時雨は少し楽しくなって聞いてみた。
「どこが変わった?」
そんなに鏡を見なくてもと、時雨は思った。
「うーん。こことか。」
そう言いながら、リアは手を出した。
「?」
時雨は出された手を見て、少し目を見開いた。
リアの手には、何かたくさんの小さな赤い点がいっぱいついてた。
「汚れすぎだろう。」
時雨は眉を少し寄せてリアに言った。
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