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「それにしても俺達、誘拐犯と間違われないといいんだけどな」
「俺達じゃない。誘拐犯は、シアン、おまえだけだ」
ガタンゴトン、と電車に揺られながら、隣に座るシアンに文句を言う。この日ダスクとシアンは日彩の希望で、日彩がこれまで暮らしていた場所に出向いていた。もちろん日彩も一緒だ。
「いや、はたから見たら、おまえも同罪だよ。一緒に暮らしてるんだから」
「嫌なこと言うなよな」
ため息をつき、向かいの窓の外を眺めた。天気は快晴で、暑そうな太陽がこれでもかと照り付けている。
「真帆さん、どんな人なんだろうな」
「さあ。日彩が言うには、優しい人らしいけど」
シアンはそう答え、日彩を見る。
日彩はぼんやりと車内広告を眺めていたが、自分に注目が集まっていると察したのか、きょとんと首をかしげた。
「真帆さん。日彩に良くしてくれてたんだろ?」
「うん」
日彩によれば、真帆さん、とは日彩が路上生活を送る上でよく気にかけてくれていた人だそうだ。食事を出してくれたり、怪我をした時は手当をしてくれたり。今回出かけているのも、その真帆さんに挨拶に行くためだ。まあ、まだ日彩をどうするかは決まっていないが、あんまり姿を見せないと真帆さんが心配するから、とのことだ。
一度電車を乗り継いで、そこからさらに十分程行った駅で三人は降りた。午前十一時過ぎ、通勤通学ラッシュも終わった時間帯のはずだが、人影はそれなりに多い。それだけ栄えた駅だと言うことだろう。
この辺りの道をよく知る日彩を先頭に、ダスク達は歩く。日彩の金の髪が、燦々と輝く太陽を反射して眩しい。さすがは夏と言うべきか。あまりの暑さに汗が噴き出してきて、ダスクは腕で額を拭った。
駅から少し離れた商店街に差し掛かると、日彩の歩みが速くなった。小走りになり、とある店の前で立ち止まる。
「ここが、真帆さんの店?」
シアンが尋ねると、日彩はうなずいた。
「俺達じゃない。誘拐犯は、シアン、おまえだけだ」
ガタンゴトン、と電車に揺られながら、隣に座るシアンに文句を言う。この日ダスクとシアンは日彩の希望で、日彩がこれまで暮らしていた場所に出向いていた。もちろん日彩も一緒だ。
「いや、はたから見たら、おまえも同罪だよ。一緒に暮らしてるんだから」
「嫌なこと言うなよな」
ため息をつき、向かいの窓の外を眺めた。天気は快晴で、暑そうな太陽がこれでもかと照り付けている。
「真帆さん、どんな人なんだろうな」
「さあ。日彩が言うには、優しい人らしいけど」
シアンはそう答え、日彩を見る。
日彩はぼんやりと車内広告を眺めていたが、自分に注目が集まっていると察したのか、きょとんと首をかしげた。
「真帆さん。日彩に良くしてくれてたんだろ?」
「うん」
日彩によれば、真帆さん、とは日彩が路上生活を送る上でよく気にかけてくれていた人だそうだ。食事を出してくれたり、怪我をした時は手当をしてくれたり。今回出かけているのも、その真帆さんに挨拶に行くためだ。まあ、まだ日彩をどうするかは決まっていないが、あんまり姿を見せないと真帆さんが心配するから、とのことだ。
一度電車を乗り継いで、そこからさらに十分程行った駅で三人は降りた。午前十一時過ぎ、通勤通学ラッシュも終わった時間帯のはずだが、人影はそれなりに多い。それだけ栄えた駅だと言うことだろう。
この辺りの道をよく知る日彩を先頭に、ダスク達は歩く。日彩の金の髪が、燦々と輝く太陽を反射して眩しい。さすがは夏と言うべきか。あまりの暑さに汗が噴き出してきて、ダスクは腕で額を拭った。
駅から少し離れた商店街に差し掛かると、日彩の歩みが速くなった。小走りになり、とある店の前で立ち止まる。
「ここが、真帆さんの店?」
シアンが尋ねると、日彩はうなずいた。
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