7 / 12
7
しおりを挟む
「それにしても俺達、誘拐犯と間違われないといいんだけどな」
「俺達じゃない。誘拐犯は、シアン、おまえだけだ」
ガタンゴトン、と電車に揺られながら、隣に座るシアンに文句を言う。この日ダスクとシアンは日彩の希望で、日彩がこれまで暮らしていた場所に出向いていた。もちろん日彩も一緒だ。
「いや、はたから見たら、おまえも同罪だよ。一緒に暮らしてるんだから」
「嫌なこと言うなよな」
ため息をつき、向かいの窓の外を眺めた。天気は快晴で、暑そうな太陽がこれでもかと照り付けている。
「真帆さん、どんな人なんだろうな」
「さあ。日彩が言うには、優しい人らしいけど」
シアンはそう答え、日彩を見る。
日彩はぼんやりと車内広告を眺めていたが、自分に注目が集まっていると察したのか、きょとんと首をかしげた。
「真帆さん。日彩に良くしてくれてたんだろ?」
「うん」
日彩によれば、真帆さん、とは日彩が路上生活を送る上でよく気にかけてくれていた人だそうだ。食事を出してくれたり、怪我をした時は手当をしてくれたり。今回出かけているのも、その真帆さんに挨拶に行くためだ。まあ、まだ日彩をどうするかは決まっていないが、あんまり姿を見せないと真帆さんが心配するから、とのことだ。
一度電車を乗り継いで、そこからさらに十分程行った駅で三人は降りた。午前十一時過ぎ、通勤通学ラッシュも終わった時間帯のはずだが、人影はそれなりに多い。それだけ栄えた駅だと言うことだろう。
この辺りの道をよく知る日彩を先頭に、ダスク達は歩く。日彩の金の髪が、燦々と輝く太陽を反射して眩しい。さすがは夏と言うべきか。あまりの暑さに汗が噴き出してきて、ダスクは腕で額を拭った。
駅から少し離れた商店街に差し掛かると、日彩の歩みが速くなった。小走りになり、とある店の前で立ち止まる。
「ここが、真帆さんの店?」
シアンが尋ねると、日彩はうなずいた。
「俺達じゃない。誘拐犯は、シアン、おまえだけだ」
ガタンゴトン、と電車に揺られながら、隣に座るシアンに文句を言う。この日ダスクとシアンは日彩の希望で、日彩がこれまで暮らしていた場所に出向いていた。もちろん日彩も一緒だ。
「いや、はたから見たら、おまえも同罪だよ。一緒に暮らしてるんだから」
「嫌なこと言うなよな」
ため息をつき、向かいの窓の外を眺めた。天気は快晴で、暑そうな太陽がこれでもかと照り付けている。
「真帆さん、どんな人なんだろうな」
「さあ。日彩が言うには、優しい人らしいけど」
シアンはそう答え、日彩を見る。
日彩はぼんやりと車内広告を眺めていたが、自分に注目が集まっていると察したのか、きょとんと首をかしげた。
「真帆さん。日彩に良くしてくれてたんだろ?」
「うん」
日彩によれば、真帆さん、とは日彩が路上生活を送る上でよく気にかけてくれていた人だそうだ。食事を出してくれたり、怪我をした時は手当をしてくれたり。今回出かけているのも、その真帆さんに挨拶に行くためだ。まあ、まだ日彩をどうするかは決まっていないが、あんまり姿を見せないと真帆さんが心配するから、とのことだ。
一度電車を乗り継いで、そこからさらに十分程行った駅で三人は降りた。午前十一時過ぎ、通勤通学ラッシュも終わった時間帯のはずだが、人影はそれなりに多い。それだけ栄えた駅だと言うことだろう。
この辺りの道をよく知る日彩を先頭に、ダスク達は歩く。日彩の金の髪が、燦々と輝く太陽を反射して眩しい。さすがは夏と言うべきか。あまりの暑さに汗が噴き出してきて、ダスクは腕で額を拭った。
駅から少し離れた商店街に差し掛かると、日彩の歩みが速くなった。小走りになり、とある店の前で立ち止まる。
「ここが、真帆さんの店?」
シアンが尋ねると、日彩はうなずいた。
0
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる