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2章 覇気の章
帝国のスカウトマン
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すぐるとリリスがニューヨー連邦へと船出をしたころ、テイルとカインはスピネル王都でパトロールをしていました。
なんでも、あの混沌の帝国のスカウトマンがこの辺りをうろついていて、
子供たちを言葉巧みに誘っていくそうです。
すでにいくらかの子供たちがスカウトマンに誘われて、
混沌の帝国に入って行ったので、スピネルのキーパー協会や、警察が警戒に当たっているわけです。
そんな中、晴れ渡る緑豊かな公園の中で、
顔が見えないほど目深にフードをかぶった怪しい男が、遊んでいた子供たちに近づき、声をかけていました。
「君たち、混沌の帝国に入らないか?」
「混沌の帝国って何?」
「混沌の帝国は何でも自由な国さ。君たちは学校に通っているそうだけど、
ルールだらけの学校なんて、退屈でつまらないだろう?
でも、混沌の帝国は違うぞ!ルールに縛られることもなく、何でも自由なんだ」
それを聞いた子供たちはこう言いました。
「そういえば、学校なんて勉強ばかりだし、起きたくもない時間に起こされたり、なんだか嫌だな・・・」
「そうだろう?でも混沌の帝国なら、勉強もしなくていいし、
起きたいときに起きれるぞ」怪しい男がこう話していると、どこからか女性の声が聞こえてきました。
「こらーっ!何やっているの!」その声に怪しい男はハッとし、声のした方を見ました。
「ゲッ!前にオレを全治一か月にした女だ!逃げろ!」
怪しい男が一目散に逃げ出すと、そこにテイルがやって来て言いました。
「まったく!あんな所に自由なんてないんだから!」子供はテイルを見て言います。
「テイル姉ちゃん、あいつは何だったの?」
「あいつは混沌の帝国のスカウトマンよ、悪いやつらの集まりだから、誘いに乗っちゃだめよ!」
スピネル王都の商店エリアで、シェリーは便利屋に頼まれていた食料品の買い出しで、
店を出たところで右目に黒い眼帯を付けた男と肩までの長髪の男二人がシェリーに言い寄ってきました。
「へぇ、君ってかわいいね」
「よかったらぼくたちとお茶でもどう?」これにシェリーは顔を引きつらせながら言いました。
「あの・・・ちょっと・・・急いでいますので・・・!」シェリーはその場を去ろうとすると、
ナンパ男二人はシェリーの行く手をさえぎるように移動してさらに言い寄ります。
「つれないなぁ」
「ちょっとだけでいいからさぁ」シェリーは困り果ててオロオロしていると、
ナンパ男たちの背後から別の女性の声がしました。
「ちょっと!そこで何をしているの!?」その声にナンパ男たちはハッとします。
「ギクッ!この声は・・・!」もう一人の長髪の男は振り向いて顔を青ざめます。
「やっぱりテイルだ!逃げろっ!」ナンパ男たちは尻尾を巻いて逃げていくと、
間もなくシェリーの前にテイルとカインのバディが現れました。
「あら、シェリーじゃない、ケガはないかしら?」テイルはシェリーを気遣います。
「・・・わたくしは大丈夫ですわ・・・ありがとうございました」
シェリーはテイルに礼を言って、その場を後にしました。
「あいつら、きっとジャスパー学園の理事長の息子アスモの子分たちね、
アスモのやつ、気に入った女の子たちを連れまわして遊び放題って話よ」
テイルが不愉快そうに言うと、カインが言いました。
「そのアスモってやつ、最近、ガラの悪い連中とつるんでいて、
自分の権力にものを言わせて、混沌の帝国に人を勧誘しているって話だよ」
「まぁ、帝国のオコボレにあずかるつもりかしら!?」
シェリーが便利屋に帰ってくると、エルニスとボブが気遣います。
「おかえりシェリー、遅かったね」
「最近、よくないうわさが立っているから、迎えに行くところだったぞ」
「ええ、店を出たところで、ナンパ男たちに絡まれましたが、テイルさんに助けてもらいましたわ」
「そうか・・・最近、そのような事件が多いね・・・」エルニスは不安そうに言うと、キャンベルがこういいます。
「そうですね、わたしたちが通っているジャスパー学園でも、
きな臭いウワサが立っていますよ。学園の初等部に通っている子供が何人も家に帰っていないとか、
帝国に入ったものは恋人を獲得できるって話までありますよ・・・!」
それを聞いたエルニスとボブはハッとします。
「そういえば、よく遊ぶ初等部の後輩タケ君も昨日から帰っていないって言っていたなぁ・・・!」
「なんだよ、その恋人を獲得できるってのは・・・!?
エルニスたちが通う学園にも帝国の魔の手が迫っているんだな・・・!」
「ウワサでは、理事長の息子であるアスモが大きく絡んでいると言われています。
この前だってアスモと思われし者がシェリーさんのお風呂を覗きましたからね・・・!
あの時は、シェリーさんが悲鳴を上げたので、犯人は逃げましたけど・・・!」これにボブは歯噛みします。
「それでおれとエルニスは外に飛び出して犯人をとっ捕まえようとしたが・・・!逃げ足の速い奴だぜ・・・!」
「そのアスモってやつ、本当に遊び放題なんだね・・・!
よし、夜の学園に行って、真相を暴いてみよう!
親御さんからも行方不明になった子供たちを探してほしいって依頼が何件も来ているし・・・!」
こうして四人は夜のジャスパー学園へと向かうことにしました。
なんでも、あの混沌の帝国のスカウトマンがこの辺りをうろついていて、
子供たちを言葉巧みに誘っていくそうです。
すでにいくらかの子供たちがスカウトマンに誘われて、
混沌の帝国に入って行ったので、スピネルのキーパー協会や、警察が警戒に当たっているわけです。
そんな中、晴れ渡る緑豊かな公園の中で、
顔が見えないほど目深にフードをかぶった怪しい男が、遊んでいた子供たちに近づき、声をかけていました。
「君たち、混沌の帝国に入らないか?」
「混沌の帝国って何?」
「混沌の帝国は何でも自由な国さ。君たちは学校に通っているそうだけど、
ルールだらけの学校なんて、退屈でつまらないだろう?
でも、混沌の帝国は違うぞ!ルールに縛られることもなく、何でも自由なんだ」
それを聞いた子供たちはこう言いました。
「そういえば、学校なんて勉強ばかりだし、起きたくもない時間に起こされたり、なんだか嫌だな・・・」
「そうだろう?でも混沌の帝国なら、勉強もしなくていいし、
起きたいときに起きれるぞ」怪しい男がこう話していると、どこからか女性の声が聞こえてきました。
「こらーっ!何やっているの!」その声に怪しい男はハッとし、声のした方を見ました。
「ゲッ!前にオレを全治一か月にした女だ!逃げろ!」
怪しい男が一目散に逃げ出すと、そこにテイルがやって来て言いました。
「まったく!あんな所に自由なんてないんだから!」子供はテイルを見て言います。
「テイル姉ちゃん、あいつは何だったの?」
「あいつは混沌の帝国のスカウトマンよ、悪いやつらの集まりだから、誘いに乗っちゃだめよ!」
スピネル王都の商店エリアで、シェリーは便利屋に頼まれていた食料品の買い出しで、
店を出たところで右目に黒い眼帯を付けた男と肩までの長髪の男二人がシェリーに言い寄ってきました。
「へぇ、君ってかわいいね」
「よかったらぼくたちとお茶でもどう?」これにシェリーは顔を引きつらせながら言いました。
「あの・・・ちょっと・・・急いでいますので・・・!」シェリーはその場を去ろうとすると、
ナンパ男二人はシェリーの行く手をさえぎるように移動してさらに言い寄ります。
「つれないなぁ」
「ちょっとだけでいいからさぁ」シェリーは困り果ててオロオロしていると、
ナンパ男たちの背後から別の女性の声がしました。
「ちょっと!そこで何をしているの!?」その声にナンパ男たちはハッとします。
「ギクッ!この声は・・・!」もう一人の長髪の男は振り向いて顔を青ざめます。
「やっぱりテイルだ!逃げろっ!」ナンパ男たちは尻尾を巻いて逃げていくと、
間もなくシェリーの前にテイルとカインのバディが現れました。
「あら、シェリーじゃない、ケガはないかしら?」テイルはシェリーを気遣います。
「・・・わたくしは大丈夫ですわ・・・ありがとうございました」
シェリーはテイルに礼を言って、その場を後にしました。
「あいつら、きっとジャスパー学園の理事長の息子アスモの子分たちね、
アスモのやつ、気に入った女の子たちを連れまわして遊び放題って話よ」
テイルが不愉快そうに言うと、カインが言いました。
「そのアスモってやつ、最近、ガラの悪い連中とつるんでいて、
自分の権力にものを言わせて、混沌の帝国に人を勧誘しているって話だよ」
「まぁ、帝国のオコボレにあずかるつもりかしら!?」
シェリーが便利屋に帰ってくると、エルニスとボブが気遣います。
「おかえりシェリー、遅かったね」
「最近、よくないうわさが立っているから、迎えに行くところだったぞ」
「ええ、店を出たところで、ナンパ男たちに絡まれましたが、テイルさんに助けてもらいましたわ」
「そうか・・・最近、そのような事件が多いね・・・」エルニスは不安そうに言うと、キャンベルがこういいます。
「そうですね、わたしたちが通っているジャスパー学園でも、
きな臭いウワサが立っていますよ。学園の初等部に通っている子供が何人も家に帰っていないとか、
帝国に入ったものは恋人を獲得できるって話までありますよ・・・!」
それを聞いたエルニスとボブはハッとします。
「そういえば、よく遊ぶ初等部の後輩タケ君も昨日から帰っていないって言っていたなぁ・・・!」
「なんだよ、その恋人を獲得できるってのは・・・!?
エルニスたちが通う学園にも帝国の魔の手が迫っているんだな・・・!」
「ウワサでは、理事長の息子であるアスモが大きく絡んでいると言われています。
この前だってアスモと思われし者がシェリーさんのお風呂を覗きましたからね・・・!
あの時は、シェリーさんが悲鳴を上げたので、犯人は逃げましたけど・・・!」これにボブは歯噛みします。
「それでおれとエルニスは外に飛び出して犯人をとっ捕まえようとしたが・・・!逃げ足の速い奴だぜ・・・!」
「そのアスモってやつ、本当に遊び放題なんだね・・・!
よし、夜の学園に行って、真相を暴いてみよう!
親御さんからも行方不明になった子供たちを探してほしいって依頼が何件も来ているし・・・!」
こうして四人は夜のジャスパー学園へと向かうことにしました。
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