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2章 覇気の章
ニューヨー連邦の実情
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帆船に揺(ゆ)られること一週間、船はアラビンス国の港に
錨を降ろし、乗客たちはぞろぞろと船を下りて行きました。
空からはギラギラと太陽が照り付け、土壁の家々が目立ち、
北側には球根のような屋根を持つ王宮が建っています。
「ここがニューヨー連邦の国の一つ、アラビンス首都サンドムなのだな」
「なんだか、現実界のアラビアン・ナイトの世界みたいだ」
すぐるがこう言うと、リリスがたずねます。
「アラビアン・ナイト・・・?なんじゃそれは・・・?」
「千夜一夜物語とも言う、
現実界に伝わる説話だよ。
二百以上もの物語が集まってできているんだ」その話にリリスは興味をそそられます。
「ほう、現実界にはそんな物があるのだな。
いつか、わらわも現実界に行きたいのう」
「リリスが知らない物であふれているよ」
すぐるとリリスは行商人や露店であふれている町中を歩いていると、
家々の屋根の向こうに、石のブロックを組み上げてできた大きな遺跡がそびえたっているのを見つけました。
「確か、次のメダルと神器は、大きなピラミッドの中にあるって言っていたね、行ってみよう」
すぐるとリリスはピラミッドの前に着きました。
そばで見ると、見上げるばかりに大きく、しっかりした造りになっています。
「これがそのピラミッドなのかな?どこから入ればいいのかな・・・?」
すぐるは入り口らしき両開きの扉を見つけると、リリスと協力して扉に手をかけますが、びくともしません。
「やっぱりだめか・・・」
「・・・どうやって開ければよいのだ・・・?」
「よく見ると、扉の真ん中に、何かをはめ込めそうな円いくぼみがある」
すぐるとリリスは王宮に向かいました。
この国を治めている者なら、何か知っているかもしれないと考えたためです。
王宮の中は、太い円柱型の柱で支えられた白い石の壁が続き、
床には青いカーペットが奥まで続いています。
奥にある王室に入ると、先客が来ているらしく、
白い虎の耳と手足と尾を生やし、
白いシャツと青の短パンを着用した青年が玉座の前にいます。
「ですから、女王様、今すぐメトロポリス警察に
応援を要請してください!」
「あいにくですが、ジェロニモ・ロレンス巡査、
こちらも応援を頼んでいますが、相手は全く応じません・・・残念ですが・・・」
「くそっ・・・!」
白い虎の獣人が肩を落としていると、すぐるはおかっぱ頭の猫の獣人の女王に話を聞いてみました。
「あの、すみません、聞きたいことがあるんですが・・・」
「おや、旅の方ですね」すぐるはここに来た目的を話します。
「・・・なるほど、世界を救うためにメダルと神器を探していて、
そのためにピラミッドに入る方法を知りたいんですね・・・」
「そうなんです・・・どうか、教えていただけないでしょうか・・・!」
すぐるは祈るように言いました。
「・・・あいにく、今はそれどころではないのです。
と、言うのも、ピラミッドをあけるためのカギの一つである『人のカギ』はここにはないのです。
ここより南にある都市国家『メトロポリス』にあります。
私が持つ『獣のカギ』と合わさることで、ピラミッドが開きます。
ですが、今メトロポリスでは、おいそれとは『人のカギ』を渡してくれない状態にあるんです。
二つのカギが合わさる時は、獣人と人間がお互いに手を取り合った事を意味するのです。
両国の関係が断絶している今では、二つのカギが合わせることはできないでしょう・・・」
女王が残念そうに言いました。
「なんで、メトロポリスとは国交を断絶しているんですか?」すぐるがたずねます。
「今のメトロポリス大統領は、獣人排斥を行っています。
元々、メトロポリスの人間たちは、獣人に対して、差別意識をいだいている者が少なくありません。
獣人を卑しい獣と考えている者が多く、
人間と獣人とのトラブルも絶えなかったんです。
それで、今の大統領は治安をよくするために、獣人排斥を行うようになりました」
それを聞いたすぐるはこう思いました。
(なんだか、現実界の人種差別の問題に似ているな・・・)
「それに、今、このニューヨー連邦では、ある大問題をかかえています」
「大問題?」すぐるがこう言うと、そばにいた白い虎の獣人が言います。
「それはオレから説明しよう。ここより北には開拓地があって、
その土地一帯を支配しているグリードが、国宝のランプを盗み出したんだ」
「グリード?ランプ?」
「グリードは今、世界で問題を起こしている混沌の帝国の幹部だ。
ヤツは、そこを好き勝手に支配していて、人々を苦しめているんだ。
ヤツは、ランプと獣のカギを交換するよう要求しているが、
カオス帝国にメダルを渡すようなことはできない」それを聞いたリリスが言いました。
「そんな事、警察はよく許しておくのだな!」
これに、白い虎の獣人はこう続けます。
「グリードは、開拓地一帯だけでなく、メトロポリスの一部も仕切っている大地主で、
その財力と権力は女王に迫るものがあってな、
捕えたいが、ちゃんとした証拠がないと、警察も動けない。
それに、女王様が仰っていたが、警察にも獣人への差別意識があってな、
いまや連邦警察は分裂状態なんだ。
獣人と人間が連携しないと、ヤツを捕えることはできない・・・!」
錨を降ろし、乗客たちはぞろぞろと船を下りて行きました。
空からはギラギラと太陽が照り付け、土壁の家々が目立ち、
北側には球根のような屋根を持つ王宮が建っています。
「ここがニューヨー連邦の国の一つ、アラビンス首都サンドムなのだな」
「なんだか、現実界のアラビアン・ナイトの世界みたいだ」
すぐるがこう言うと、リリスがたずねます。
「アラビアン・ナイト・・・?なんじゃそれは・・・?」
「千夜一夜物語とも言う、
現実界に伝わる説話だよ。
二百以上もの物語が集まってできているんだ」その話にリリスは興味をそそられます。
「ほう、現実界にはそんな物があるのだな。
いつか、わらわも現実界に行きたいのう」
「リリスが知らない物であふれているよ」
すぐるとリリスは行商人や露店であふれている町中を歩いていると、
家々の屋根の向こうに、石のブロックを組み上げてできた大きな遺跡がそびえたっているのを見つけました。
「確か、次のメダルと神器は、大きなピラミッドの中にあるって言っていたね、行ってみよう」
すぐるとリリスはピラミッドの前に着きました。
そばで見ると、見上げるばかりに大きく、しっかりした造りになっています。
「これがそのピラミッドなのかな?どこから入ればいいのかな・・・?」
すぐるは入り口らしき両開きの扉を見つけると、リリスと協力して扉に手をかけますが、びくともしません。
「やっぱりだめか・・・」
「・・・どうやって開ければよいのだ・・・?」
「よく見ると、扉の真ん中に、何かをはめ込めそうな円いくぼみがある」
すぐるとリリスは王宮に向かいました。
この国を治めている者なら、何か知っているかもしれないと考えたためです。
王宮の中は、太い円柱型の柱で支えられた白い石の壁が続き、
床には青いカーペットが奥まで続いています。
奥にある王室に入ると、先客が来ているらしく、
白い虎の耳と手足と尾を生やし、
白いシャツと青の短パンを着用した青年が玉座の前にいます。
「ですから、女王様、今すぐメトロポリス警察に
応援を要請してください!」
「あいにくですが、ジェロニモ・ロレンス巡査、
こちらも応援を頼んでいますが、相手は全く応じません・・・残念ですが・・・」
「くそっ・・・!」
白い虎の獣人が肩を落としていると、すぐるはおかっぱ頭の猫の獣人の女王に話を聞いてみました。
「あの、すみません、聞きたいことがあるんですが・・・」
「おや、旅の方ですね」すぐるはここに来た目的を話します。
「・・・なるほど、世界を救うためにメダルと神器を探していて、
そのためにピラミッドに入る方法を知りたいんですね・・・」
「そうなんです・・・どうか、教えていただけないでしょうか・・・!」
すぐるは祈るように言いました。
「・・・あいにく、今はそれどころではないのです。
と、言うのも、ピラミッドをあけるためのカギの一つである『人のカギ』はここにはないのです。
ここより南にある都市国家『メトロポリス』にあります。
私が持つ『獣のカギ』と合わさることで、ピラミッドが開きます。
ですが、今メトロポリスでは、おいそれとは『人のカギ』を渡してくれない状態にあるんです。
二つのカギが合わさる時は、獣人と人間がお互いに手を取り合った事を意味するのです。
両国の関係が断絶している今では、二つのカギが合わせることはできないでしょう・・・」
女王が残念そうに言いました。
「なんで、メトロポリスとは国交を断絶しているんですか?」すぐるがたずねます。
「今のメトロポリス大統領は、獣人排斥を行っています。
元々、メトロポリスの人間たちは、獣人に対して、差別意識をいだいている者が少なくありません。
獣人を卑しい獣と考えている者が多く、
人間と獣人とのトラブルも絶えなかったんです。
それで、今の大統領は治安をよくするために、獣人排斥を行うようになりました」
それを聞いたすぐるはこう思いました。
(なんだか、現実界の人種差別の問題に似ているな・・・)
「それに、今、このニューヨー連邦では、ある大問題をかかえています」
「大問題?」すぐるがこう言うと、そばにいた白い虎の獣人が言います。
「それはオレから説明しよう。ここより北には開拓地があって、
その土地一帯を支配しているグリードが、国宝のランプを盗み出したんだ」
「グリード?ランプ?」
「グリードは今、世界で問題を起こしている混沌の帝国の幹部だ。
ヤツは、そこを好き勝手に支配していて、人々を苦しめているんだ。
ヤツは、ランプと獣のカギを交換するよう要求しているが、
カオス帝国にメダルを渡すようなことはできない」それを聞いたリリスが言いました。
「そんな事、警察はよく許しておくのだな!」
これに、白い虎の獣人はこう続けます。
「グリードは、開拓地一帯だけでなく、メトロポリスの一部も仕切っている大地主で、
その財力と権力は女王に迫るものがあってな、
捕えたいが、ちゃんとした証拠がないと、警察も動けない。
それに、女王様が仰っていたが、警察にも獣人への差別意識があってな、
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獣人と人間が連携しないと、ヤツを捕えることはできない・・・!」
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