41 / 97
4章 大志の章
南海のラグーナ諸島
しおりを挟む
「ねえ、キャンベルちゃん、朝ごはんはまだ?」エルニスが寝ぼけまなこで起きてきました。
「え~っと・・・ちょっと待ってくださいね・・・」キャンベルがフライパンを火にかけていると、奥の部屋からすぐるとリリスが現れます。
「おはよう、エルニスにキャンベルちゃん」
「おはよう・・・目が覚めぬ・・・」二人が着席すると、ボブとシェリーも起きてきたのです。
「もう朝か・・・」
「おはようございますわ、リリスお姉さま」
パンに目玉焼き、サラダと言った朝食を終えた後、しばらくして依頼内容を確認することにしました。
『エルニスへ、そちらはどんな感じかな?キャンベルとは仲良くやっているかね?
お前が便利屋として、いろいろやっていると聞いてワシもお前に一つ依頼したい。
とにかく、ラグーナ諸島にあるワシの家まで来てもらいたい。
くわしい依頼内容はそこで話す。なるべく早く頼む、ガルダインより』
「わあ、ぼくのじいちゃんからの依頼だ」エルニスが依頼書を見て言いました。
「へえ、エルニスのおじいさんからか・・・ラグーナ諸島ってどんな所だろう・・・?」すぐるが言いました。
「ラグーナ諸島とは、南海に浮かぶ島々からなる、さまざまな種族が住んでいる国です。
元々は一つのパンゲア大陸だったと言われています」キャンベルが説明します。
「元々一つの大陸だったって?」
「そうです、何万年か前の大昔、パンゲア大陸には、二つの文明が栄えていたと言われています。
魔法文明の国『アトランティス』、
科学文明の国『レムリアン』、大昔はこの二つの国は仲が良かったと言われていますが、
ある時それぞれの王が、どちらの文明が優れているかと言いだし、
両国の戦争にまで発展し、二つの国は堕落していきました」
「へえ、現実界でもありそうな話だな」すぐるがこう言うと、キャンベルは話を続けます。
「そこで神は二つの国から、争いを嫌う心正しき者、
現実界から、様々な分野から選ばれた賢者たちを、
この幻想界のとある大陸に招き入れ、
新たな文明を造らせました。
その魔法と科学と信仰によって造られた国こそ、伝説の楽園『シャングリラ』、
すなわち、『超文明S』です」それを聞いたすぐるはハッとしました。
「そうか、SはシャングリラのSなんだ」
「そうです。そして神は、シャングリラをはるか天空に浮かし、
地上に大洪水と氷河期を巻き起こし、
パンゲア大陸を、争いをやめられない愚かな者たちと共に洗い流したそうです。
そして、パンゲア大陸は今のラグーナ諸島になったそうですよ」
「へえ、大昔の幻想界で、そんな事が起きていたんだ・・・」
「あくまでも、伝説ですけどね」
「そうなんだ、初めて知ったよ。それよりも早く行こう」エルニスが言うと、リリスは何やらため息ついていました。
「どうかしたの?リリス」すぐるが心配になってたずねます。
「・・・いや、何でもないぞ」すぐるたちは店で食料や薬などを買って行き、港からラグーナ諸島行き
の帆船に乗って行きました。
波に揺られる事三週間、
帆船はラグーナ諸島の北島の港で錨を降ろし、すぐるたちは島の地に足をつけました。
「ここがラグーナ諸島か・・・ヤシの木に白い砂浜、イメージ通りの南国だね」
「ここは相変わらずだね、あちこちに観光客の姿があるよ」
「おれ、こういう南国のリゾートに行くのは初めてだ」
「現実界で行ったハワイを思わせますわ」
「ガルダインさんの家は、この島の町中にありますよ」
「・・・はぁ・・・戻ってきてしもうた・・・」リリスが肩を落としていると、すぐるが言います。
「あれ、リリス、何か言った?」
「いや・・・何でもないぞ・・・!」リリスは首を横に振って言います。
「ほら、あれがぼくのじいちゃんの家だよ、あそこは子供たちに勉強を教える学校として開放してあるんだ」
エルニスが指したところに、大きなヤシの木があり、その根元に木と石で造られた大きな一階建ての建物があり、中へと入って行きました。
建物の中では、いくつもの布団が敷かれており、
そこに子供たちが寝かされていて、みんな苦しそうに息をしています。
その中で、エルニスそっくりのドラゴンがおり、エルニスが話しかけます。
「じいちゃん!」エルニスの声にドラゴンは反応しました。
「おお、エルニスか、お連れもおるようだな」
「じいちゃん、これは一体・・・?」
「うむ、実は最近、このラグーナ諸島で原因不明の病気が流行りだしたんじゃ」
「原因不明の病気・・・!?」
「そうじゃ、それで子供たちがその病気にかかり、このザマじゃ。
たまたまこの島に旅行してきたカインとテイルにも治療を手伝ってもらっておる」
エルニスの祖父ガルダイン博士が指した方には、
半そで半ズボン姿の白魔法使いの少年カインと、
その恋人で、上下に分かれた白いドレスを着ていて、長い黒髪を後ろでポニーテールにしたエルフの少女テイルがいて、回復魔法や癒しの気などを使って子供たちの治療を手伝っていました。
「じいちゃん・・・それで、依頼と言うのはもしかして・・・」
「うむ、この奇病を何とかしてほしいのじゃよ・・・
どうやらこれは、自然発生した病気と言うよりは、魔力による一種の呪いのようなのじゃ・・・
妙な魔力のにおいがするのでな・・・」ガルダイン博士が説明し終わると、カインがやって来て力なく言いました。
「ガルダイン博士、ぼくの魔力だけでは、限界があるみたいです・・・」
「そうか・・・こうなっては、南島の悪魔族に伝わる薬を使うしかあるまいな・・・」
「悪魔族の薬・・・?」すぐるがたずねます。
「うむ、それとカインの治療魔法と組み合わせさせさえすれば、治せるかもしれぬ・・・」
「南島の悪魔族の薬ですね、わかりました、今すぐ行きましょう!」すぐるがこう言うと、ガルダインは不安そうに言いました。
「だが、そこの悪魔族は気難しく、よそ者とは干渉しようとはしないのじゃ・・・」
「え~っと・・・ちょっと待ってくださいね・・・」キャンベルがフライパンを火にかけていると、奥の部屋からすぐるとリリスが現れます。
「おはよう、エルニスにキャンベルちゃん」
「おはよう・・・目が覚めぬ・・・」二人が着席すると、ボブとシェリーも起きてきたのです。
「もう朝か・・・」
「おはようございますわ、リリスお姉さま」
パンに目玉焼き、サラダと言った朝食を終えた後、しばらくして依頼内容を確認することにしました。
『エルニスへ、そちらはどんな感じかな?キャンベルとは仲良くやっているかね?
お前が便利屋として、いろいろやっていると聞いてワシもお前に一つ依頼したい。
とにかく、ラグーナ諸島にあるワシの家まで来てもらいたい。
くわしい依頼内容はそこで話す。なるべく早く頼む、ガルダインより』
「わあ、ぼくのじいちゃんからの依頼だ」エルニスが依頼書を見て言いました。
「へえ、エルニスのおじいさんからか・・・ラグーナ諸島ってどんな所だろう・・・?」すぐるが言いました。
「ラグーナ諸島とは、南海に浮かぶ島々からなる、さまざまな種族が住んでいる国です。
元々は一つのパンゲア大陸だったと言われています」キャンベルが説明します。
「元々一つの大陸だったって?」
「そうです、何万年か前の大昔、パンゲア大陸には、二つの文明が栄えていたと言われています。
魔法文明の国『アトランティス』、
科学文明の国『レムリアン』、大昔はこの二つの国は仲が良かったと言われていますが、
ある時それぞれの王が、どちらの文明が優れているかと言いだし、
両国の戦争にまで発展し、二つの国は堕落していきました」
「へえ、現実界でもありそうな話だな」すぐるがこう言うと、キャンベルは話を続けます。
「そこで神は二つの国から、争いを嫌う心正しき者、
現実界から、様々な分野から選ばれた賢者たちを、
この幻想界のとある大陸に招き入れ、
新たな文明を造らせました。
その魔法と科学と信仰によって造られた国こそ、伝説の楽園『シャングリラ』、
すなわち、『超文明S』です」それを聞いたすぐるはハッとしました。
「そうか、SはシャングリラのSなんだ」
「そうです。そして神は、シャングリラをはるか天空に浮かし、
地上に大洪水と氷河期を巻き起こし、
パンゲア大陸を、争いをやめられない愚かな者たちと共に洗い流したそうです。
そして、パンゲア大陸は今のラグーナ諸島になったそうですよ」
「へえ、大昔の幻想界で、そんな事が起きていたんだ・・・」
「あくまでも、伝説ですけどね」
「そうなんだ、初めて知ったよ。それよりも早く行こう」エルニスが言うと、リリスは何やらため息ついていました。
「どうかしたの?リリス」すぐるが心配になってたずねます。
「・・・いや、何でもないぞ」すぐるたちは店で食料や薬などを買って行き、港からラグーナ諸島行き
の帆船に乗って行きました。
波に揺られる事三週間、
帆船はラグーナ諸島の北島の港で錨を降ろし、すぐるたちは島の地に足をつけました。
「ここがラグーナ諸島か・・・ヤシの木に白い砂浜、イメージ通りの南国だね」
「ここは相変わらずだね、あちこちに観光客の姿があるよ」
「おれ、こういう南国のリゾートに行くのは初めてだ」
「現実界で行ったハワイを思わせますわ」
「ガルダインさんの家は、この島の町中にありますよ」
「・・・はぁ・・・戻ってきてしもうた・・・」リリスが肩を落としていると、すぐるが言います。
「あれ、リリス、何か言った?」
「いや・・・何でもないぞ・・・!」リリスは首を横に振って言います。
「ほら、あれがぼくのじいちゃんの家だよ、あそこは子供たちに勉強を教える学校として開放してあるんだ」
エルニスが指したところに、大きなヤシの木があり、その根元に木と石で造られた大きな一階建ての建物があり、中へと入って行きました。
建物の中では、いくつもの布団が敷かれており、
そこに子供たちが寝かされていて、みんな苦しそうに息をしています。
その中で、エルニスそっくりのドラゴンがおり、エルニスが話しかけます。
「じいちゃん!」エルニスの声にドラゴンは反応しました。
「おお、エルニスか、お連れもおるようだな」
「じいちゃん、これは一体・・・?」
「うむ、実は最近、このラグーナ諸島で原因不明の病気が流行りだしたんじゃ」
「原因不明の病気・・・!?」
「そうじゃ、それで子供たちがその病気にかかり、このザマじゃ。
たまたまこの島に旅行してきたカインとテイルにも治療を手伝ってもらっておる」
エルニスの祖父ガルダイン博士が指した方には、
半そで半ズボン姿の白魔法使いの少年カインと、
その恋人で、上下に分かれた白いドレスを着ていて、長い黒髪を後ろでポニーテールにしたエルフの少女テイルがいて、回復魔法や癒しの気などを使って子供たちの治療を手伝っていました。
「じいちゃん・・・それで、依頼と言うのはもしかして・・・」
「うむ、この奇病を何とかしてほしいのじゃよ・・・
どうやらこれは、自然発生した病気と言うよりは、魔力による一種の呪いのようなのじゃ・・・
妙な魔力のにおいがするのでな・・・」ガルダイン博士が説明し終わると、カインがやって来て力なく言いました。
「ガルダイン博士、ぼくの魔力だけでは、限界があるみたいです・・・」
「そうか・・・こうなっては、南島の悪魔族に伝わる薬を使うしかあるまいな・・・」
「悪魔族の薬・・・?」すぐるがたずねます。
「うむ、それとカインの治療魔法と組み合わせさせさえすれば、治せるかもしれぬ・・・」
「南島の悪魔族の薬ですね、わかりました、今すぐ行きましょう!」すぐるがこう言うと、ガルダインは不安そうに言いました。
「だが、そこの悪魔族は気難しく、よそ者とは干渉しようとはしないのじゃ・・・」
0
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド
マイマイン
児童書・童話
これは、すぐるがやってくる前の『幻想界』の物語です。ある日突然、平和な国『スピネル王国』にやってきた謎の少年エルニスが、平和を脅かす『魔王軍』に立ち向かう王道ファンタジーです。『セプトクルール』シリーズの始まりの物語をお楽しみください。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる