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4章 大志の章
東島の青真珠
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キャンベルがエルニスに乗って飛ぶこと数分で、東島にたどり着くことが出来ました。
「ここが東島だね」
「青真珠を養殖しているのは、ここより北にある漁村ですね、すぐに行きましょう」
エルニスとキャンベルは、北にある漁村を目指して進んで行きます。
東島は、いかにも南の島という感じで、ヤシの木が生い茂り、
白い砂浜では透明な波が静かに打ちよせ、丘の茂みでは、
熱帯性の赤い花が咲いています。そんな南国の風景の中を進んで行くと、
程なくして、漁村へ到着しました。
漁村は木で作られた簡単な家々が目立つ村で、漁港ではたくさんの漁船が停泊していました。
「ここが東島の漁村だね、周りを漁師たちが行きかっていて、小さいながら活気がある村だね」
「それで、薬の材料となる青真珠の事を聞いてみましょう。村長の家はこの村の奥にあったはずです」
エルニスとキャンベルは村長の家の扉をノックし、髭をたくわえた初老の村長に青真珠の事を聞いてみました。
「おお、この東島の名産品である青真珠が欲しいのかね・・・?それが薬の材料になると・・・!」
「そうなんです、何とかなりませんか・・・?」村長は何やら腕を組み、考え込んでいます。
「青真珠を渡したいのはやまやまだが、今はその青真珠がピンチなのじゃ・・・!」
「と、言いますと・・・?」
「最近、世界中で話題になっている混沌の帝国の船が東島近海に現れては、青真珠の貝を密漁しており、本当に困っておるのじゃ!」
「混沌の帝国!?ここでも悪さをしているんだ・・・!」
「おかげで真珠貝の水揚げ量が激減しておる!このままでは、青真珠が採れなくなってしまう!」
「大変ですね!」
「そこでじゃ、連盟の巡視船が来ることになっておる、彼らと同行し、混沌の帝国の船を捕えて欲しい!
それで、少しでも密漁される被害を抑えて欲しいのじゃ!そうすれば、青真珠を何とか用意しよう!」それを聞いたエルニスとキャンベルは快く引き受けました。
「任せてください!」
東島の西側の海に、怪しい木造船が現れました。その船には、直立したトカゲという外見のリザードマンや、
豚のような頭部をもつオーク、尖った耳を持つ人間そっくりな妖精エルフと言った者たちが乗っていました。
「よし、いまなら見張りはいないようだ。ロープを引き上げろ!」リーダーと思われしオークが、
船員たちに指示すると、リザードマンやエルフたちが、海に沈めてあるロープを引っ張っていきます。
すると、ロープの先にある黒いかごが海の中から引き上げられ、中には、青真珠の母貝がたくさん入っていました。
「おお、中々の量だ、よし、引き上げるぞ!」木造船がその場を去ろうとしたその時です。
突然、空に赤い花火が爆発し、その轟音に、
木造船の船員たちは驚き、間もなく背中にキャンベルを乗せたエルニスが翼を広げて現れました。
「見つけたぞ!お前たちが密漁者か!?」
「たった今、魔法で花火を打ち上げました!もうすぐ連盟の巡視船がこちらに来ますよ!」
「お前は、エルニスとキャンベルか・・・!帝国で話題になっているぞ!」それを聞いたエルニスたちはハッとしました。
「お前たちは帝国か!?なぜこんな事を・・・?」
「ニューヨー連邦で補給部隊がやられたからな、
資金繰りが厳しくなって、オレたち実行部隊が、資金稼ぎをしているってわけよ!」
「そうそう、火の車だと思ったその時、ここに高級青真珠がたくさん採れると聞いてハッとしたのさ、これで、わが帝国は潤うわ!」エルフの女が高らかに言います。
「そして、真珠を採りつくしたら、ここをゴミ処理場にして、金と引き換えにどんなゴミも処分すると言う新しいビジネスも考えているからな、
これでまた儲かるぞ!」船員たちが笑いながら言うと、エルニスとキャンベルは憤ります。
「ふざけるな!人の物を勝手に持ち出すなんて、コソ泥みたいな真似を!堕ちるところまで堕ちたな!」
「それに、ゴミを不法投棄するなんて、ただ海を汚すだけです!ビジネスでもなんでもありませんよ!」
「言ってくれるな!お前たち二人だけで、我々にかなうかな!?」船員たちは槍や弓などを構えてエルニスたちを威嚇します。
すると、突然、帝国の船に強い揺れが襲いかかりました。
「な、何だ!?」船員たちが動揺すると、彼らの目の前に、サメとワニを足して二で割った姿をした怪物が海上から姿を現したのです。
「ほう、わしらの海を汚そうなど、不届き千万!」
「な、なんだあいつは!?」船長のオークが怪物を指さして言いました。
「あいつは、海の主リバイアサン!?かつてはアガレス率いる魔王軍の部下だったと聞く。それがなぜ!?」
「ほう、わしの事をしっておるとはな!わしはただ、海の住人たちを守るべく、かつての魔王に賛同しただけじゃ!
さあ、先ほど引き上げた積荷を置いて出て行くがいい!今度ここに来たら、容赦なく貴様らの船を沈めてくれよう!」
「くそう!覚えてろ!」カオス帝国の船員たちは、海から引き上げた青真珠貝のカゴを海に戻し、去っていきました。
「ありがとう、リバイアサン」エルニスはお礼を言いました。
「なに、たまたま通りかかっただけじゃ、わしらもここの人間たちには世話になったからのう」
リバイアサンは海の底へと潜って行き、カオス帝国の船は幻想界平和連盟の巡視船と鉢合わせをしてしまいました。
夕方、東島に戻ったエルニスとキャンベルは、村長と話をしています。
「うむ、お前たちとリバイアサンのおかげで、青真珠は無事だったし、密漁者たちも捕えることができた。
これでやつらはしばらくこの海には近づかないだろう。さて、約束通り、青真珠をお前たちにやろう、受け取るがよい」
村長が箱を差し出し、エルニスがそれを開けると、そこには、青く輝く大粒の真珠が一つと、同じく青真珠を使ったペンダントが二つ入っていました。
「薬の材料となる最高級青真珠と、青真珠を使った船乗りのお守りじゃ、お前たちにやろう」
「ありがとうございます。さあ、北島に帰ろう」エルニスは青真珠が入った箱を受け取り、再びキャンベルを乗せて翼を広げ、北島へと飛び立っていきました。
「ここが東島だね」
「青真珠を養殖しているのは、ここより北にある漁村ですね、すぐに行きましょう」
エルニスとキャンベルは、北にある漁村を目指して進んで行きます。
東島は、いかにも南の島という感じで、ヤシの木が生い茂り、
白い砂浜では透明な波が静かに打ちよせ、丘の茂みでは、
熱帯性の赤い花が咲いています。そんな南国の風景の中を進んで行くと、
程なくして、漁村へ到着しました。
漁村は木で作られた簡単な家々が目立つ村で、漁港ではたくさんの漁船が停泊していました。
「ここが東島の漁村だね、周りを漁師たちが行きかっていて、小さいながら活気がある村だね」
「それで、薬の材料となる青真珠の事を聞いてみましょう。村長の家はこの村の奥にあったはずです」
エルニスとキャンベルは村長の家の扉をノックし、髭をたくわえた初老の村長に青真珠の事を聞いてみました。
「おお、この東島の名産品である青真珠が欲しいのかね・・・?それが薬の材料になると・・・!」
「そうなんです、何とかなりませんか・・・?」村長は何やら腕を組み、考え込んでいます。
「青真珠を渡したいのはやまやまだが、今はその青真珠がピンチなのじゃ・・・!」
「と、言いますと・・・?」
「最近、世界中で話題になっている混沌の帝国の船が東島近海に現れては、青真珠の貝を密漁しており、本当に困っておるのじゃ!」
「混沌の帝国!?ここでも悪さをしているんだ・・・!」
「おかげで真珠貝の水揚げ量が激減しておる!このままでは、青真珠が採れなくなってしまう!」
「大変ですね!」
「そこでじゃ、連盟の巡視船が来ることになっておる、彼らと同行し、混沌の帝国の船を捕えて欲しい!
それで、少しでも密漁される被害を抑えて欲しいのじゃ!そうすれば、青真珠を何とか用意しよう!」それを聞いたエルニスとキャンベルは快く引き受けました。
「任せてください!」
東島の西側の海に、怪しい木造船が現れました。その船には、直立したトカゲという外見のリザードマンや、
豚のような頭部をもつオーク、尖った耳を持つ人間そっくりな妖精エルフと言った者たちが乗っていました。
「よし、いまなら見張りはいないようだ。ロープを引き上げろ!」リーダーと思われしオークが、
船員たちに指示すると、リザードマンやエルフたちが、海に沈めてあるロープを引っ張っていきます。
すると、ロープの先にある黒いかごが海の中から引き上げられ、中には、青真珠の母貝がたくさん入っていました。
「おお、中々の量だ、よし、引き上げるぞ!」木造船がその場を去ろうとしたその時です。
突然、空に赤い花火が爆発し、その轟音に、
木造船の船員たちは驚き、間もなく背中にキャンベルを乗せたエルニスが翼を広げて現れました。
「見つけたぞ!お前たちが密漁者か!?」
「たった今、魔法で花火を打ち上げました!もうすぐ連盟の巡視船がこちらに来ますよ!」
「お前は、エルニスとキャンベルか・・・!帝国で話題になっているぞ!」それを聞いたエルニスたちはハッとしました。
「お前たちは帝国か!?なぜこんな事を・・・?」
「ニューヨー連邦で補給部隊がやられたからな、
資金繰りが厳しくなって、オレたち実行部隊が、資金稼ぎをしているってわけよ!」
「そうそう、火の車だと思ったその時、ここに高級青真珠がたくさん採れると聞いてハッとしたのさ、これで、わが帝国は潤うわ!」エルフの女が高らかに言います。
「そして、真珠を採りつくしたら、ここをゴミ処理場にして、金と引き換えにどんなゴミも処分すると言う新しいビジネスも考えているからな、
これでまた儲かるぞ!」船員たちが笑いながら言うと、エルニスとキャンベルは憤ります。
「ふざけるな!人の物を勝手に持ち出すなんて、コソ泥みたいな真似を!堕ちるところまで堕ちたな!」
「それに、ゴミを不法投棄するなんて、ただ海を汚すだけです!ビジネスでもなんでもありませんよ!」
「言ってくれるな!お前たち二人だけで、我々にかなうかな!?」船員たちは槍や弓などを構えてエルニスたちを威嚇します。
すると、突然、帝国の船に強い揺れが襲いかかりました。
「な、何だ!?」船員たちが動揺すると、彼らの目の前に、サメとワニを足して二で割った姿をした怪物が海上から姿を現したのです。
「ほう、わしらの海を汚そうなど、不届き千万!」
「な、なんだあいつは!?」船長のオークが怪物を指さして言いました。
「あいつは、海の主リバイアサン!?かつてはアガレス率いる魔王軍の部下だったと聞く。それがなぜ!?」
「ほう、わしの事をしっておるとはな!わしはただ、海の住人たちを守るべく、かつての魔王に賛同しただけじゃ!
さあ、先ほど引き上げた積荷を置いて出て行くがいい!今度ここに来たら、容赦なく貴様らの船を沈めてくれよう!」
「くそう!覚えてろ!」カオス帝国の船員たちは、海から引き上げた青真珠貝のカゴを海に戻し、去っていきました。
「ありがとう、リバイアサン」エルニスはお礼を言いました。
「なに、たまたま通りかかっただけじゃ、わしらもここの人間たちには世話になったからのう」
リバイアサンは海の底へと潜って行き、カオス帝国の船は幻想界平和連盟の巡視船と鉢合わせをしてしまいました。
夕方、東島に戻ったエルニスとキャンベルは、村長と話をしています。
「うむ、お前たちとリバイアサンのおかげで、青真珠は無事だったし、密漁者たちも捕えることができた。
これでやつらはしばらくこの海には近づかないだろう。さて、約束通り、青真珠をお前たちにやろう、受け取るがよい」
村長が箱を差し出し、エルニスがそれを開けると、そこには、青く輝く大粒の真珠が一つと、同じく青真珠を使ったペンダントが二つ入っていました。
「薬の材料となる最高級青真珠と、青真珠を使った船乗りのお守りじゃ、お前たちにやろう」
「ありがとうございます。さあ、北島に帰ろう」エルニスは青真珠が入った箱を受け取り、再びキャンベルを乗せて翼を広げ、北島へと飛び立っていきました。
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