『完結』セプトクルール　超文明Sの野望

マイマイン

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5章　慈愛の章

世界会議開始

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「エアリアル、それは本当か！？」怪物たちの国、ナイトロード国の本城にある玉座ぎょくざの間で、金色で縁取られた赤い玉座に座る、
黒マントを羽織はおり、山高帽やまたかぼうを被ったサタンが言いました。

「ええ、あの城塞じょうさい王国リュッケンシルトに、世界のリーダーたちが集結しゅうけつしつつあるの。
おそらくは、我らが混沌の帝国カオスエンパイアへの反逆はんぎゃくをもくろんでいるわね・・・！」
玉座の前のレッドカーペットで跪ひざまずいている白のローブに緑のケープを着込んだボブヘアーの少女エアリアルが言います。

「・・・何たることだ・・・！『復活祭ミレニアム』に必要な生贄いけにえはそろったと言うのに・・・！」
サタンが歯がみをしていると、エアリアルは落ち着き払はらって言いました。

「待ちなさい、私を誰だと思っているの？帝国の頭脳ずのう、『諜報ちょうほう部隊ぶたい』の隊長たいちょうエアリアルよ。ちゃんと策さくは用意してあるわ」

「幻想界ファンタジア世界会議サミット！？」スピネル国の王城の玉座の間に集まった者たちは驚おどろきました。
今、この場にいるのは、エルニス、キャンベル、すぐる、リリスで、玉座に座るスピネル国王から話を聞いていました。

「うむ、そうじゃ！世界中を騒さわがせている混沌の帝国カオスエンパイアに対抗たいこうするために、
ファンタジアの未来のために、世界各国のリーダーたちが、城塞王国リュッケンシルトに集まり、話し合いをするのじゃ！」それを聞いたキャンベルがハッとしました。

「もしかして、アールヴヘイムのティマ女王が世界中を周まわっておられたのは・・・」
「そうじゃ、各国の王や大統領だいとうりょうたちに呼びかけておられたのじゃ！」
「すごいや！さすが一国の主、スケールが大きい！」エルニスは感心します。

「そこでだ、今回も優秀ゆうしゅうな便利屋であるエルニスとキャンベルとその仲間たちに依頼いらいしたい！
わしも幻想界ファンタジアの一員として、世界会議サミットに参加する！だから、お前たちにはわしの護衛ごえいを頼たのみたい！」
「任せてください！王様！」エルニスたちは右拳こぶしを胸に当てて言いました。

　間もなく、四頭のたくましい白馬に引かれている、スピネル国王を乗せた豪華ごうかな装飾そうしょくが施ほどこされた白い馬車は動き出し、
その周まわりを、エルニス、キャンベル、すぐる、リリスの四人が固かためます。

馬車は晴れ渡る空のもと、大勢おおぜいのスピネル国民たちに見送られながら城下町の門をくぐり、
緑の草原を駆かけ抜け、やがて、深い森の中へと進んで行きます。途中、休みながら食事をとったり、
夜はたき火をつけてキャンプをしながら進んで行きますが、
エルニスたちは、ひと時も気を緩ゆるめることなく、王の護衛役を務つとめています。そうやって進んで行くことが何日も続きました。

「みんな、ちゃんとついて来てる？」エルニスがみんなに言います。
「はい、ちゃんと来ています。わたしのテレパシーでも、これと言って何も感じません」キャンベルが言います。
「空は晴れが続いているね、これと言って、事件は起こらないな」すぐるも空を見渡しながら言います。
「うぬ、だが、これは嵐あらしの前の静けさかのう・・・」リリスが辺りを見回しながら言います。

　一週間後、森を抜けると、平原の向こうに、高い石の城壁に囲まれた町が見えてきました。
あれこそ、幻想界ファンタジア世界会議サミットの目的地である、城塞王国リュッケンシルトなのです。
先頭の兵士がリュッケンシルトの門の前に行き、王の信書を見せると、見張りの兵は門を開け、馬車を入れてくれました。

「ここが城塞王国リュッケンシルトか・・・」
「城と町が一体になっておるの」すぐるとリリスが辺りを見渡して言うと、
エルニスとキャンベルと共にスピネル国王をエスコートしながら、城の会議室かいぎしつへと移動します。

　会議室は、白い壁にレッドカーペットが敷しかれたチェック柄の床の部屋で、
中央には会議用の机がセットされていて、その周りには、猫の獣人であるアラビンス女王、整ととのえた髭ひげを持ちスーツを身にまとうメトロポリス大統領だいとうりょう、
髭を蓄たくわえたたくましそうなゴーシャ国王、ラップランドの盟主めいしゅで赤いコートを着込んだ白髭のサンタクロース、
ラグーナ諸島のリーダーになっている青い竜ガルダイン、そして、エルフの魔ま導士どうしにしてアールヴヘイムの女王ティマと言った各国のリーダーたちが集結していました。

「おお、みんなそろったようじゃの・・・」スピネル国王がこう言うと、ティマ女王が首を横に振(ふ)ります。
「残念ですが、全員ではないのです。聖地リヒテン島の正教会教皇きょうこう、ヘリオポリスのメアリ大統領がまだ到着とうちゃくなさっておりません・・・」
「会議まであと2週間ですよ、もしや、お2人の身に何かあったのでしょうか・・・！？」

　みんなの提案ていあんで、すぐるとリリスはリヒテン島へ、エルニスとキャンベルはヘリオポリスへ向かうことになりました。

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