セプトクルール 超文明Sの野望

8章 真実の章

煉獄収容所

　工場の事件が発覚して数週間後、スピネルや他の国々で連盟に対する不信感がどんどん湧わき上がっていきますが、それと同時に、連盟に逆らった者たちがどんどんいなくなっていくことが相次いでいたのです。あのテイルとカインも行方不明になってしまいました。

「ねえ、キャンベルちゃん、最近、町の人が少なくなってないかな？」
「そうですね、すぐるさんとリリスさんも、そろそろ戻ってきてもいいころなのに・・・まさか、あの行方不明事件に巻き込まれたんでしょうか・・・！？」キャンベルが不安そうに言いました。

「ウワサでは連盟は逆らった者たちや、平和を害すると判断された者たちをゴーシャにある収容所しゅうようじょに強制的に連れていってしまうってさ、新聞記者ハヌマーンさんも、連盟をおとしめるフェイクニュース（ウソのニュース）を書いたということでそこに・・・！」

「・・・それはどうやらウワサではないようです・・・！本当に収容所に連れていかれるそうですよ・・・この前、学校では乱暴らんぼうないじめっ子として有名な少年が連れていかれ、帰された時には、なんと、両腕うで両足がもぎ取られていたそうです・・・！社会秩序しゃかいちつじょを脅おびやかすと判断されたとか・・・」

「何だって！？それは本当！？」
「間違いありません・・・！」

「このままじゃ、みんな何をされるかわかったものじゃないぞ！今すぐそちらに行こう！」エルニスとキャンベルはすぐさまゴーシャにある、『煉獄れんごく収容所』へと向かいました。

　所変わって、ここはゴーシャの地下に存在する地下通路の中です。この地下通路は、イーストメイン大陸中に広がっていて、かつて四百年前の世界戦国時代に造られたもので、戦火から逃げたり、緊急時の要塞ようさいなどに使われたものです。そこの地下広間に、あのシルトのメンバーがそろっており、中央の石のテーブルを囲かこんで話し合っていました。

「何たることだ・・・！我々の拠点きょてんであるラップランドのノースポールまでもが連盟に奪うばわれてしまうとは・・・！」角竜トリケラトプスの頭を持つ鎧よろい兵の姿をしたランスロットがテーブルを叩たたいて言います。

「しかも、セント・ニコラウス殿どのばかりか、連盟に反対した多くの聖堂騎士たちもが今は煉獄収容所に・・・！」赤毛のショートヘアーの鳥人族ハーピーのシルフィーも頭をうなだれています。

「今、収容所には聖堂騎士団だけではない、多くの連盟に逆らった者たちが閉じ込められている。彼らを救うためにはまず、地下から収容所に潜入せんにゅうし、雑居房ざっきょぼうを襲撃し、囚とらわれている者たちを救い、その後、特別房にとらわれている者たちを救うぞ！」シルト首領しゅりょうで、水晶すいしょうの結晶を甲羅こうらに使った直立している青い亀のメガロが言いました。

「しかし、キャプテン、こっちはたったの五人・・・もし・・・しくじったら、どうするッスか・・・！？」緑の服を着た小悪魔スプラウトが言います。

「なに、キャプテンは何も考えなしに潜入せんにゅうするわけじゃない、ラップランドや連邦れんぽう刑務所で救われたこの命に賭かけても、キャプテンや皆を守る！」鉄仮面の鎧騎士きしファフナーは胸に拳こぶしを当てて言いました。

　シルトたちは早速行動を開始しました。まず、今いる地下会議室から直線で伸びている通路を北に進み、ゴーシャの北にある収容所の地下を目指します。メガロが鉄格子てつごうしを一つ外して、奥に行くと、そこは大きな牢屋ろうやの中で、中には大勢おおぜいのぼろを着せられた人々が集まっていたのです。

「みんな、助けに来たぞ！」メガロがそういうと、沈んだ顔をしていた人々の顔が一気に明るくなりました。
「見ろ！冬将軍だ！」
「ああ、私たち出られるのね！」みんなが歓声かんせいを上げると、メガロがしずめます。

「みんな、静かに！騒さわぐとまずい！スプラウト、みんなを連れて地下から逃がすんだ！」
「わかったッス！キャプテン！」連れ去られた人々はスプラウトに連れられて、地下通路の方にいきます。その中にカインがいました。

「どうした？お前も早く脱出しろ」しかし、カインはこう言います。

「お願いメガロ！ぼくも一緒に救出作戦に参加させて！特別房には、テイルの他に、すぐる君やリリスちゃんもいるんだ！テイルはいつもぼくを助けてくれた！今度はぼくがテイルを助ける番だ！だから・・・！」それを聞いたメガロはカインの肩に手を置いて言いました。

「ほう、男のスジを通そうと言うわけか・・・！？いいだろう！一緒いっしょに来い！」カインを加えたメガロたちは、上の階の特別房を目指します。