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2月 リリスのバレンタイン
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「すぐる!起きるのじゃ!」魔族の少女リリスの声に魔法使いの少年すぐるは目を覚まし、ベッドから起き上がります。
「・・・もう朝だ」すぐるはふちが黒い、白のシャツとズボンを着用し、エルニスとキャンベルの店のリビングに上がります。
茶色のミニスカワンピースに黒いタイツを着用した赤毛のツインテールと言ういでたちのリリスは、キャンベルと共に朝食の準備をしています。リリスは大きくあくびをしており、すぐるより眠そうに見えます。二人はエルニスとキャンベルと一緒にパンとキャンベル特製のホワイトシチューと言った朝食をすませると、すぐるが言います。
「あれ?ボブとシェリーは?」その二人もすぐるとリリス同様、便利屋の手伝いをしています。
「うむ、ボブなら朝駆けに、シェリーなら散歩に出ておるぞ」リリスが言いました。
「ふ~ん・・・」朝食を終え、すぐるとリリスは食料などの買い出しに出かけることになりました。
晴れ渡る空の下、すぐるとリリスは東の商店街へと歩き出します。
「まだ寒いね」すぐるは厚着して町中を行く人々を見て言います。
「うむ・・・南国育ちの妾にはこたえるのぉ・・・」リリスがふるえながら言うと、コートを着た長い金髪に青い瞳の少女が左手にハート形の物を持ち、こちらに手をふっています。
「待っていましたわ♡」
「シェリーだ!そう言えば、今日は
バレンタインデーだったね・・・!」すぐるはシェリーの元に行こうとすると、そこに黒のジャンパーを着こなしたボーズ頭の黒人少年が現れました。
「よぉ、待たせたなシェリー」シェリーは少年にハート形のチョコレートを渡します。
「なんだボブにか、ぼくじゃないんだ・・・」
すぐるがため息をつくと、リリスが彼のかたに手を置いて言いました。
「残念だったのすぐる♡さっきのため息はなんじゃ?」すぐるは右手を軽くふります。
「いや、そんなんじゃないよ・・・!」これに、リリスは眉間(みけん)にシワをよせています。
「どうかの?すぐるは他の女子に目うつりすることが多いからのぉ!」リリスはすっかり機嫌をそこねてしまいました。実は、この二人は恋人同士なのです。リリスは真剣なまなざしで叫びます。
「すぐる!後で話がある!逃げるでないぞ!」
買い出しから帰ると、リリスとすぐるは向かい合うようにテーブルの席に座り、リリスはじっとすぐるの目を見すえて言いました。
「すぐる、本当のことを言うのじゃ!お主は妾とシェリー、どっちが好きなのじゃ!?」これに、すぐるは一片の迷いのない声で言います。
「リリスが好きだよ、リリスはヤキモチ焼きすぎだよ」リリスは首をかしげます。
「本当かのぉ?お主はよく他の女子に目うつりするし、妾はシェリーと違って、おしとやかではないしの・・・」リリスは沈んだ顔でうつむきます。
「ぼくは男だから、きれいな人に目が行くことはあるよ、でも、本当に好きなのはリリスだけだよ!」それに、リリスはハッとします。
「本当か!?」
「ハッキリ言って、リリスはおてんばだし、繊細さとか優美さとはほど遠いよ。でも、リリスはそれ以上にかわいいし、快活だし、一緒にいると楽しいよ!2年前に君を魔法で助けた時からそう思っていた」
「本当か!?」リリスは目を輝かせて言います。
「本当だよ!この前、ぼくが暴漢におそわれそうになった時、リリスが武術でやっつけてくれたし、お年寄りのにもつを運んであげてたでしょ?ぼくはそんな強くてやさしいリリスのことが大好きだし、何よりほこらしいよ!」
「すぐる・・・!」リリスの目からしずくがこぼれおちます。
「それに、あのため息はガッカリしたんじゃない、ホッとしたんだ。シェリーがぼくに特別な感情がないとわかってね。だって、ぼくには君がいるから・・・!」
「・・・妾も、やさしくて純粋なすぐるの事が大好きじゃ・・・!」リリスはすぐるに、ハート形のチョコレートを手渡します。
「これは・・・!?」
「・・・よなべして作った本命チョコじゃ・・・!」すぐるはハッとします。
「そうか、だから眠そうにしていたんだ・・・リリスっ!」リリスとすぐるは立ち上がってお互いをだきしめあい、くちづけをかわします。
「すぐるのこと、うたがって悪かったの!でも、ヤキモチ焼きはおぬしの事を想えばこそじゃぞ!」
「そうか、本気で好きじゃないとあそこまで怒らないよね・・・ありがとう…そしてごめんね…!」ボブたちはその様子を温かく見守ります。
そして夕食では、リリスが炎を吐いてコンロに火をおこし、ターキーの丸焼きを作ってみんなにごちそうしました。少々コゲてしまいましたが、とびっきりの美味しさだったのです。
「・・・もう朝だ」すぐるはふちが黒い、白のシャツとズボンを着用し、エルニスとキャンベルの店のリビングに上がります。
茶色のミニスカワンピースに黒いタイツを着用した赤毛のツインテールと言ういでたちのリリスは、キャンベルと共に朝食の準備をしています。リリスは大きくあくびをしており、すぐるより眠そうに見えます。二人はエルニスとキャンベルと一緒にパンとキャンベル特製のホワイトシチューと言った朝食をすませると、すぐるが言います。
「あれ?ボブとシェリーは?」その二人もすぐるとリリス同様、便利屋の手伝いをしています。
「うむ、ボブなら朝駆けに、シェリーなら散歩に出ておるぞ」リリスが言いました。
「ふ~ん・・・」朝食を終え、すぐるとリリスは食料などの買い出しに出かけることになりました。
晴れ渡る空の下、すぐるとリリスは東の商店街へと歩き出します。
「まだ寒いね」すぐるは厚着して町中を行く人々を見て言います。
「うむ・・・南国育ちの妾にはこたえるのぉ・・・」リリスがふるえながら言うと、コートを着た長い金髪に青い瞳の少女が左手にハート形の物を持ち、こちらに手をふっています。
「待っていましたわ♡」
「シェリーだ!そう言えば、今日は
バレンタインデーだったね・・・!」すぐるはシェリーの元に行こうとすると、そこに黒のジャンパーを着こなしたボーズ頭の黒人少年が現れました。
「よぉ、待たせたなシェリー」シェリーは少年にハート形のチョコレートを渡します。
「なんだボブにか、ぼくじゃないんだ・・・」
すぐるがため息をつくと、リリスが彼のかたに手を置いて言いました。
「残念だったのすぐる♡さっきのため息はなんじゃ?」すぐるは右手を軽くふります。
「いや、そんなんじゃないよ・・・!」これに、リリスは眉間(みけん)にシワをよせています。
「どうかの?すぐるは他の女子に目うつりすることが多いからのぉ!」リリスはすっかり機嫌をそこねてしまいました。実は、この二人は恋人同士なのです。リリスは真剣なまなざしで叫びます。
「すぐる!後で話がある!逃げるでないぞ!」
買い出しから帰ると、リリスとすぐるは向かい合うようにテーブルの席に座り、リリスはじっとすぐるの目を見すえて言いました。
「すぐる、本当のことを言うのじゃ!お主は妾とシェリー、どっちが好きなのじゃ!?」これに、すぐるは一片の迷いのない声で言います。
「リリスが好きだよ、リリスはヤキモチ焼きすぎだよ」リリスは首をかしげます。
「本当かのぉ?お主はよく他の女子に目うつりするし、妾はシェリーと違って、おしとやかではないしの・・・」リリスは沈んだ顔でうつむきます。
「ぼくは男だから、きれいな人に目が行くことはあるよ、でも、本当に好きなのはリリスだけだよ!」それに、リリスはハッとします。
「本当か!?」
「ハッキリ言って、リリスはおてんばだし、繊細さとか優美さとはほど遠いよ。でも、リリスはそれ以上にかわいいし、快活だし、一緒にいると楽しいよ!2年前に君を魔法で助けた時からそう思っていた」
「本当か!?」リリスは目を輝かせて言います。
「本当だよ!この前、ぼくが暴漢におそわれそうになった時、リリスが武術でやっつけてくれたし、お年寄りのにもつを運んであげてたでしょ?ぼくはそんな強くてやさしいリリスのことが大好きだし、何よりほこらしいよ!」
「すぐる・・・!」リリスの目からしずくがこぼれおちます。
「それに、あのため息はガッカリしたんじゃない、ホッとしたんだ。シェリーがぼくに特別な感情がないとわかってね。だって、ぼくには君がいるから・・・!」
「・・・妾も、やさしくて純粋なすぐるの事が大好きじゃ・・・!」リリスはすぐるに、ハート形のチョコレートを手渡します。
「これは・・・!?」
「・・・よなべして作った本命チョコじゃ・・・!」すぐるはハッとします。
「そうか、だから眠そうにしていたんだ・・・リリスっ!」リリスとすぐるは立ち上がってお互いをだきしめあい、くちづけをかわします。
「すぐるのこと、うたがって悪かったの!でも、ヤキモチ焼きはおぬしの事を想えばこそじゃぞ!」
「そうか、本気で好きじゃないとあそこまで怒らないよね・・・ありがとう…そしてごめんね…!」ボブたちはその様子を温かく見守ります。
そして夕食では、リリスが炎を吐いてコンロに火をおこし、ターキーの丸焼きを作ってみんなにごちそうしました。少々コゲてしまいましたが、とびっきりの美味しさだったのです。
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