【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

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第59話 海の支配者

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一夜明けて魔宝祭は終わった。
昨日の活気が嘘のように里は静寂に包まれている。
百年に一度のイベントは、ようやく終わりを迎えたのだ。


クリス達はクラーケン退治のために、
里の近くの港に集まっている。


「みんな揃ったな……」


賢者は、全員が到着したのを確認して、
船に乗るよう指示した。
しかし、ここに予想外の二人が現れる。


「おじちゃーーん、頑張ってね~」


一人目はイリーナの妹だ。
昨日カートが店の手伝いをして妹に懐かれたのだ。
クラーケン退治の見送りに来ている。


「カートさん、気をつけてくださいね」


二人目はイリーナである。
何と昨日の魔宝祭で最高売上を達成してしまった。
当然ほとんどカートの功績だろう。
しかし男を見せたカートは、全てをイリーナ姉妹に捧げたのだ。


「い、イリーナさーーん!」


元気よくイリーナに手を振り、仲良く会話する。
意外に上手くやっているとクレアは驚いていた。


「カート、お前やっぱり残るか?」


カートに無理矢理同行させたのを申し訳なく思い、
貴重な時間を奪っているのではないかと、
クレアは心苦しくなっていた。


「いや、クラーケンを退治すれば、
 王都に一緒に行ける……」


昨日までのカートとは一味違う。
今回のクラーケン退治に一番燃えているのは、
意外にもカートなのだ。


「カートさん、頑張ってください」


クリスはカートの恋を心から応援していた。
そして船に乗り込むのを確認して、賢者が一声かける。


「海の支配者と言われるクラーケンだ。
 気合い入れてくよ!」


賢者が言うには魔物でも魔法を操る特異種がいる。
報告では王国騎士団の船は、水魔法によって沈められたとあった。
討伐対象は特異種の可能性が高い。
更に今回の目的は特異種を退治するだけでなく、
その魔力を筒に収めることだ。


「クラーケンって食べれる?」


ユーリが真剣な眼差しで言う。
クラーケンを食べるという発想が無かったので、
クリスは一瞬固まる。


「イカやタコみたいなものなのか?
 食べてみたい?」


「食べてみたい!」


ユーリは目をキラキラ輝かせながら、
どんな味がするか楽しみで仕方ない様子だ。
俺と母上は、その様子がユーリらしいと微笑み合う。


「筒の回収はクレアの役目、
 そしてクラーケンを倒すのはクリスだ」


クレアは、光の剣を足場に空を移動できるため、
魔法の筒を回収するのに適任だ。
しかし回収時は、攻撃出来ない。
そうなるとクリスしかトドメをさせないのだ。


「あとは、他の全員で船を守る」


ここまでが大まかな作戦だ。
そして定刻になり、船は出発する。
クラーケンの出現場所まで距離は遠く、
目的の場所まで自由行動となった。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




いよいよクラーケンの出現地点まで迫る。
既に全員臨戦体制だ。
クレアは船で1番高い場所、見張り台に立つ。
空を移動しながら牽制して、
賢者の合図があれば筒の回収を行うのだ。


そしてついに海の支配者と遭遇するが、
想像以上の大きさに全員が驚愕した。
そして予想通り、特異種であり魔力を纏っている。


「クレア、光の剣で牽制できるか?」


賢者が指示するとクレアは光の剣を呼び出し、
クラーケンめがけて放つ。
しかしクラーケンもバブルバレットを放ち、
光の剣に当てて相殺した。


「な、光の剣が……」


特異種だけありクラーケンの魔力は強力だ。
そしてクラーケンに濃密な魔力が溢れる。
この波動に賢者は見覚えがあった。


「まずい!この波動は、水と風の融合魔法だ!」


以前にエレノアが融合魔法を使っていたが、
魔界でも使用者は限られると言っていた。
それだけに融合魔法は、高位な魔法である。


「クリス!
 今すぐに覇王を撃て!」


賢者は融合魔法に警笛を鳴らした。
クリスは賢者の指示に従い、
姿を変えて覇王を発動する。


海原にクラーケンのハリケーンが生まれると、
即座にクリスは覇王を放ち相殺した。
しかし、激しい衝撃が船を襲う。


「みんな、無事か?」


賢者が全員の安否を確認するが、
見張り台を見たゲイルが大声で叫ぶ。

クレアは、あまりの衝撃に海に落ちてしまう。
しかし海に落ちる寸前でユーリがクレアを庇い、
代わりに落ちてしまった……


「ユーリ!!」


ユーリの決死の覚悟によりクレアを救ったが、
海に落ちたユーリを見失ってしまう。
悲鳴にも近いクレアの声が海原に響いた。



クラーケンの攻撃により、
ユーリは海に落ちてしまった。
海に潜り救う手段を誰も持っていない。
このままでは救ったユーリを死なせてしまう……
絶対絶命の状況の中、一人の少女が口を開いた。
そして、その言葉が危機的状況を切り開く。
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