【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

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第79話 秘密の特訓(1)

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ルミナス王国、城の訓練所。
その場所に賢者がクリス達を集めた。
賢者、クリス、マリア、ピクシーの4名だ。
秘密の特訓であるため部外者が入れないように、
結界魔法を使い、通行禁止にしている。
そして今回の特訓の先生である賢者が口を開いた。



「これからお前達には、入れ替わってもらう」



「はい?」



賢者がいきなりクリス達へ作戦内容を告げる。
事前に幻惑魔法で魔族を惑わせると聞いたが、
その内容まで具体的に聞いていなかった。



「どういうことですか?
 賢者様、一体?」


「祭の期間、
 幻惑魔法でお前達は入れ替わるのさ」


幻惑魔法を使い二人を入れ替える。
その奇抜な作戦に二人は衝撃を受けた。


「あの……
 私、魔法を使えないのですが……」


「クリスが幻惑魔法を使うから、
 マリアは使えなくても大丈夫さ」


クリスは、休憩スキルを使って、
ピクシーから幻惑魔法を覚える。
その後、お互いに幻惑魔法をかけると賢者は伝えた。


「そうなのですか……
 じゃあ、私はなんのために?」


「相手の癖や仕草、魔力を知り、
 完全に演じれるように訓練する」


「お互いを演じる?」


賢者は無言で頷いた。
幻惑魔法で姿を変えても、
中身が元のままでは相手を欺き通せない。
そのため相手を知り、演じる事が重要なのだ。


「具体的に何をすれば?」


「まずは観察から始めよう!」


第一ステップとしては、
お互い見つめ合い観察することから始まる。
普段、気になる異性と面と向かい合う機会は無い。
それだけに二人は緊張しているのだ。



「マリアいくよ……」


「う、うん」



お互い座って見つめ合うと、
二人とも赤面してしまい直視できない。
クリスが見ようとすると、マリアが恥ずかしくて伏せてしまい逆も然りである。



や、やばい……
恥じらうマリアが可愛すぎる……



「クリス……
 み……ないで……」



「ま、マリア……」



お互いに訓練どころではない。
甘い空気が漂い、先に進めない様子に、
賢者は苛立ってしまう。


「お前達、しっかりしなさい!」


賢者は恥じらう二人に苛立ち喝を入れる。
しかし二人とも体勢を変えようとするが、
同じ方向に動いてしまい手が触れる。
また元の位置に戻り二人とも恥じらうと、
結局振り出しに戻ってしまった。

賢者は五日間で訓練が終わるか不安で仕方ない。
いっそのこと次のステップに進めようと決めた。


「二人ともお互いに見つめ合って、
 手を握るんだ……」


「え?」


いきなりのことで動揺する二人。
まだ観察を続けるとばかり思っていた。

 
ただ手を繋ぐだけであれば問題はない。
一緒に魔法訓練をした経験があるからだ。
しかし先程、お互いを意識してしまった為、
二人は余計に緊張してしまう。


「さあ、早くしなさい!
 時間がないんだ」


久しぶりに手を繋ぐと、クリスは随分長い期間、
愛するマリアと触れ合えていない事に気付く。




「訓練なんだけどさ……
 マリアと手が繋げて嬉しいよ……」



「え?」



クリスは、マリアとの訓練を思い出していた。
それは二人の共通の記憶であり旅の道中でも、
いつかマリアと触れ合うことを願い続けてきた。




「嬉しくて仕方ないんだよ……」




「クリス……」




マリアはその言葉に、愛情が溢れ出していた。
気づけば瞳が潤んでいる。
クリスから直接愛の言葉を聞いていないが、
そうとも感じ取れる言葉に感極まっていた。



「クリス、私も嬉しいよ……」



賢者は、二人の変化に気付いたが、
今度は苛立っていない。
なぜなら先の【相手を想い好きになる】
という段階に進んでいるからだ。
急に良い方向に進んだ二人を、
そのまま放置しようと決めた。



気付けばクリスを想うと、
マリアの心臓の高鳴りは強烈に激しくなっていた。
このような体験は過去に一度もない。
本気でクリスのことを愛し始めた瞬間だった……




「ク、クリス……
 心臓が苦しい……」




「え?」



この時クリスは、大きな勘違いをしてしまう。
心臓が苦しいという言葉が、
何かの病気なのかと勘違いをしたのだ。



「マ、マリア……」



急に心配になり、マリアの肩を掴んでしまう。
マリアも至近距離にいるクリスを見て、
更に心臓の鼓動が激しくなった。



「クリス………
 苦しいよ……」



「ど、どうしよう……」



クリスは、回復魔法を使えば良いのか、
それとも何をすれば良いのか分からず、
賢者に視線を送り助けを求める。
しかし、賢者はそっぽを向いた。



「か、回復魔法をかけようか?」



「それは良いじゃないか!
 効果があるかもしれないぞ」



賢者はニヤリと笑った。
魔力の波動のステップに進めると踏んで、
この流れを利用しようと決めたのだ。


「マリアいくよ……」


回復魔法をマリアへ送ると、
マリアもクリスの魔力の流れを感じて、
過去の記憶を思い出していた。


「クリス……」


瞳に涙が溢れていく。
半年間婚約者を待ち続けた日々。
寂しくてもクリスは帰ってこない。
そんな日々が、ようやく終わりを迎えた。
マリアはただ単に感極まっていただけなのだ。


「マリア……」


クリスはマリアのその想いを察する事が出来ない。
心臓の痛みに苦しむマリアを救えず途方に暮れていた……




そしてその様子を見ていた賢者は、
果たして上手く進んでいるのか、疑問を感じた。
しかし確かに二人の想いは通じ合っている。
そう信じた賢者は、次のステップを二人に指示をするのであった。
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