【改稿版】休憩スキルで異世界無双！チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

第98話 目的

教皇が勇者について告げたが、
とても信じられない内容だった。
しかし間違いなく真実を語っていると悟ったのは、
教皇の瞳が憎悪と憎しみに満ち溢れていたからだ。


そして突如として、クリス達のよく知る人物が現れ、勇者について語り始める。



「その話は、私から詳しく話そう……」



その人物は、クリス達が心から尊敬しており、
今はルミナス城に居るはずだった人物、賢者である。


急な賢者の登場により、居合わせる者は驚愕した。
ルミナスの者達だけでなく教皇でさえも、
賢者の訪問に驚いている。


「久しぶりだな！ラグナ、
　大きくなりおって……」


「お久しぶりです、賢者様」


賢者と教皇は顔見知りのようだ。
そして賢者から驚愕の事実を告げられる。


「勇者はな、転生者だ……
　そして聖剣を失って以来、
　聖剣を求めてどんな手でも使ってくる」


賢者はマリアを見つめながら話をする。
まさにその視線は、マリアが狙われる可能性があると言っているようだ。


「お前達を殺し、聖剣を手にしようと、
　勇者は画策するだろう……」


勇者は、聖剣を手にする為に襲う可能性があると、
賢者は推測するが、クリスはその理由が気になっている。


「勇者は、聖剣を手に入れて、
　何をしたいのでしょうか？」


「勇者の目的は、力を獲得して、
　ある人物を殺すことだ……」


その事実を賢者が話している時、
教皇はため息を吐き眉間に皺を寄せている。


「その人物は、女神だよ……
　奴は女神を殺すためだけに生きている」


この場にいる者は、賢者の言葉が信じられない。
なぜ、女神を殺す必要があるのか……
そしてそもそも女神を殺す事が出来るのか、
全く理解できないでいた。


「その理由は今度、ゆっくりと話そう……
　それよりもラグナ、
　私達を呼んだ理由は別だろう？」


賢者は女神と勇者の関係について、説明を避けた。
そして教皇に、クリス達をテティスに呼んだ理由を問い詰める。


「流石は賢者様……」


「ふん、昔からきな臭い連中だからね」


賢者はラグナとは顔見知りであるが、
女神教を全て信用しているわけではない。


「まあお前達を先に行かせてから、
　やはり私も同行すべきだと反省していたのさ」


賢者はクリス達だけで行かせたのを後悔していた。
女神教が聖剣を強奪する可能性は低いが、
強硬手段に出る可能性もあるため、
念には念をと考えてクレア達に同行したのだ。


「ラグナ……
　私はお前を信用していないからな」


賢者は教皇を目の前にして断言する。
賢者の宣言に対しても、
教皇は微動だにぜず話し始めた。


「お互いに目的はあるだろう……
　我々の目的は二つ」


賢者の鋭い目が教皇へ向かう。
嘘偽りなく事実を告げているかを見極めている。


「一つ目は魔王の復活阻止」


「そして二つ目は、私から説明するよりも、
　実際に会って確かめてほしい」


教皇が口を開くと一人の女性が入ってきた。
年齢は18歳のエルフで神聖な空気を纏う。
髪型は肩までかかるストレートの青色で、
表情は目鼻がしっかりと整っていた。
エルフの血筋を色濃く受け継いだ印象がある。


「ハイエルフのサラ……
　最近、二人目の聖女と呼ばれた」


クリスは驚愕していた。
事前に賢者から聞かされていた聖女の存在。
まさにその人物が目の前に現れたのだ。


「そしてサラの回復魔法はレベル6だ」


その事実を告げると、この場にいる者は、
驚き目を見開いてしまう。


「二つ目の頼みは、
　聖女サラを救ってほしい……」


教皇の目的は、聖女サラの救出だった。
そして回復魔法のレベルはマリアよりも高い。


「確かに、本当に回復魔法のレベルは高いな……
　このまま魔王軍に攫われると、
　心臓を喰われてしまうだろう……」


賢者もため息を吐き事態は深刻だと悟った。
女神教を全て信用するわけではないが、
賢者はサラから回復魔法の波動を感じ取っていた。
それは、サラの実力が本物だと示している。


「分かった、私たちも協力しよう……
　だが……」


賢者はニヤリと笑みを浮かべる。


「ルミナスの聖剣使いが協力するんだ！
　こちらへの支援と報酬はたんまり貰う」


賢者の強かな交渉により、ルミナスが協力する代わりに、全面的な支援を約束させた。


「最初からルミナスを支援するつもりだった……
　何しろ私たち女神教のルーツは、
　ルミナスだからな……」


教皇はクリス達にそう伝えた。
確かに怪しいところはあるが、
女神教の正式名称は聖ルミナス教会である。
それがいつしか拠点を変えてテティスに移った。
教皇の言う通りルーツは確かにルミナスなのだ。


「今は信用してやる……
　だが、クリス達に何かしてみろ……
　私が容赦しない！」


そして賢者が威勢よく啖呵を切った。
その言葉に教皇は同意する。


「勿論、自由を約束しよう。　
　そして住む場所や支援も行うつもりだ」


勇者と新たな聖女の存在。
この二つの問題に全員が頭を抱えていた。
更に偶然が重なり、事態は複雑になる。
そして様々な思惑が交差する中、
クリス達は、敵の領域に足を踏み入れようとしていた。