【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

文字の大きさ
104 / 125

第104話 涙

しおりを挟む
クリスは聖剣の記憶の世界に旅立った。
その翌日、クレア達はその情報を聞いて、
水の神殿に向かっている。


「な、なんだ、この水の膜は……」


せっかく神殿に来たが、神殿の鍵を持っておらず、
クレア、ユーリ、カートは中に入ることが出来ない。


賢者は、クレア達が神殿まで辿り着けるように、
本部の職員に伝えたが、鍵を渡すのを忘れていた。
神殿の入り口には誰もおらず途方に暮れている。


「くそ!
 これでは中に入れないではないか……」


クレアが苛立っていると、
よく知る人物に声をかけられる。


「母上、何をやってらっしゃるのですか?」


クレアの娘、アリス・レガードである。
クリスが聖剣に吸収されたのを目の当たりにして、
あまりのショックに気絶してしまった。
そして丁度起きて、儀式の間に戻ろうとすると、
そこに偶然クレア達が現れた。


「アリス、良いところに来た!」


クレア達は、アリスに出会えたことで、
神殿の鍵により、何とか入り口を通過する。


「あ、あねご……
 変じゃないよね?」


「ふふふ、綺麗だよ……
 クリスのやつ驚くぞ」


ユーリは幻惑の腕輪で高貴な容姿に変化している。
それだけでなくクレアは、綺麗なドレスを買って、
ユーリに着せていた。
そのドレスを着た姿は、すれ違う者が目移りする程美しく、きっとクリスも惚れ直すだろうと、
クレアは楽しみで仕方なかった。

そして賢者がいる部屋へクレア達は向かう。


「クリス!賢者!」


クレアが大声で二人を呼ぶと、
その声に気付いたのか賢者が現れた。


「クレア、遅かったな~
 どこ行ってたんだ?」


「師匠、遅いなじゃないですよ!
 入れなくて大変だったんですから」


クレアは入り口を通過するのに苦労したと伝える。
カートも水の都まで来たが、目的を果たせないのでは報われないところだった。


「すまなかったな、
 だが今は一大事だ……
 お前達もちょっと来い!」


そしてクレア達を隣の部屋へ連れていくと、
クレアはその事実に驚愕する。



「な、なんだって!
 クリスが、聖剣に吸収された?」



まさか、クリスが聖剣と同調したという摩訶不思議な話を聞かされて、クレア達は空いた口が塞がらない。


そしてクリスと離れ離れになって、
まともに言葉を交わせなかった者が、
ついに限界を迎えてしまう。


「ユーリ……」


ユーリが泣き出してしまった。
ルミナス魔宝祭を一緒に回ることは出来たが、
大勢の人が集まって、碌に話せなかった。
更に、それ以降はずっと会えていない。
婚約者だが全く触れ合えず離れ離れになってしまったのだ。


「あ、あねご……
 わたしは……」


ついに耐えきれなくなって、
ユーリの瞳に涙が溢れてしまう。
クリスと楽しく過ごしたくて、水の都まで来たが、
既に別世界へ旅立ってしまった。


「クレア、ユーリ……
 すまないね……」


賢者がクレア達に全ての事情を説明する。
そして勇者襲撃に備えてクリスを記憶の世界へ送ったと伝えた。


「そんな事に……」


するとユーリは自分の悲しみの矛先をどうすれば良いのか分からなくなってしまった。
クリスは仕方のない事情で旅立っている。
最愛の人が苦しむ今、隣で力になれないのが悔しくて仕方ない。


「あねご、ちょっと私……
 頭冷やしてくる……」


ユーリは、色々な感情がせめぎ合い、
気持ちの整理がつかず混乱している。
そのため外の空気に当たりたいと一人で出てしまった。


「お、おい、ユーリ!」


クレアがユーリの背中を追いかけようとしたが、
賢者は、代わりにカートに追わせて、クレアに話し始める。


「クレア……
 お前にも言わなければならない事がある」


「師匠?」


賢者は、厳しい表情に変わり、
クレアにこれからの計画を告げる。




「お前にも記憶の世界に飛んでもらう」




「はい?」



その言葉を聞いて、更に衝撃を受ける。
クリスが聖剣と同調したと聞くが、
それを自分も出来るとは思えない。
しかし、賢者の表情は真剣そのものだ。


「勇者はお前よりも遥かに格上だ……
 だが、手がない訳ではない」


賢者はニヤリと笑みを浮かべる。
そしてクレアに粉末状の薬を授けた。


「この薬を飲むと、
 クリスが使った同調スキルを覚える……」


賢者が出した薬を見て、クレアは驚きを隠せない。
しかし、聖剣と同調する薬を渡されても、
怖くて飲めないだろう。
賢者は、クレアを強くするのと同時に、
もう一つの理由を話した。


「クレア、頼む……
 記憶の世界でクリスを助けてくれ……
 これから必ず危機を迎えるだろう」


賢者の言葉を聞いた瞬間、
クレアは、過去クリスから救われたのを思い出す。
本来なら死んでいたはずが、クリスのおかげで、
クレアは、今も幸せに暮らす事が出来ている。
そして最愛の息子の危機であれば、
母として助けに行くのは当然だと考えた。



賢者からクリスの危機を知らされ、
クレアも記憶の世界に旅立つことになった。
その賢者の判断は、クリスを救うだけでなく未来を切り開く英断となる。
しかし悲しみに暮れるユーリにある人物が接触する。
その出会いによって歯車は少しずつ狂い始めてしまう……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

処理中です...