【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

文字の大きさ
121 / 125

第121話 愛をこめて

しおりを挟む
突如として賢者の次元結界が俺とユーリを囲った。
そして外からは何も見えない。
その中で俺達は従属化のレベルが上がるまで、
口付けを交わすことになる。


気付けばユーリとの口付けは、一度だけだった。
こんなに好きと言ってくれたのに、
過去で助けた時しかしていない。


何故だろう……
確かにレベル上げのためにしなくてはならないが、
その理由のためだけに口付けをするのは嫌だと思ってしまった。
だから、気持ちを込めたいんだ。


「ユーリ……」


こんなに可愛くて、
おちゃらけてて、
しかも食いしん坊で……



「一緒にいると、
 楽しくて仕方ないんだ」



今、無理なのは分かっていても、
やっぱり……



「ユーリの言葉も聞きたいよ……」



どうして、10年も待ってくれたんだよ……
長すぎて辛かったと思う。
寂しかったと思う。


そして……


「俺は、やっぱり
 笑っているユーリが好きなんだよ……」


いつも人を元気にさせる笑顔。
怒っている時も悲しい時も、
忘れてしまうほど綺麗な笑顔なんだ。



「最初は妹みたいな存在だった……」



頭を撫でたり、手を引いたり、
なんだか妹みたいだなって思っていた。



「たくさん辛い思いをして生きてきて、
 一見ガサツそうに見えるけど」







「ユーリは、誰よりも優しいんだ……」







俺は知っている。




だから……





「俺は、そんなユーリが好きなんだよ」





気づいたら俺も涙が溢れていた。



「ユーリ、やっぱりお前の声が聞きたいよ」



俺はそう言いながら、ユーリに口付けを交わす。



するとユーリの瞳も涙で溢れていた。
きっとユーリも本当は伝えたくて、
でも言葉にできなくて……
そんな切ない思いが溢れている気がした。


その表情を見て、
俺は気づいたらユーリを抱きしめる。



「帰ったら、たくさん出来なかったことをしよう」



お祭りもろくに二人で回れなかった。
買い物だって出来ていない。
それに二人の時間も作れていなかった。



「そうか……
 まだ伝えていなかったよね」

 

そう言いながら、ユーリの涙を拭い、
じっくりと、ユーリの瞳を見つめる。





「俺のお嫁さんになってください……」





精一杯の気持ちをこめて、
ユーリに口付けを交わす。



「ユーリ、愛してる……」



その後も俺は、ひたすら気持ちを込めて、
愛をこめて口付けを交わした。


そして、ユーリの瞳に正気が戻る。


「くり……す」


俺は嬉しくて仕方がない……
ユーリに気持ちが伝わった気がした。


「ユーリ……」


そしてお返しをするように、
ユーリから口付けをされる。


そしてその瞬間、奇跡が起きた。


次元の結界の中にいて、景色は変わらず、
水の神殿の床下は変わらない。


しかし、俺達の上空にオーロラのような虹色に輝くカーテンが現れる。
それはまるで女神が俺とユーリを祝福しているかのようだった。


「私も……クリスを」


その光の中でユーリが俺に言葉を告げる。



「クリスを愛しています」



そして俺達は何度も口付けを交わした。
お互いに夢中に求め合い時間を忘れていた。
今は、スキルのためなんかじゃない、
相手をただ求めて、愛を確かめ合っていた。
そう、時間を忘れてしまっていたんだ。


その時、まだかと待ち焦がれた、
賢者から連絡があった。


「おい、クリス、そろそろ大丈夫か?」


「あ、賢者、ごめん……」


忘れていたとは言えない。
通信機越しに何者かと攻防しながら連絡している様子だった……


「全く、お前達には驚かされたよ……
 まさか忠誠を獲得するとはね」


「へ?」
 

賢者が忠誠スキルについて説明した。
このスキルは、魔王の部下が忠誠を誓うように、
従属させた関係ではなく自らの意思で従うスキル。


「忠誠は、魔族の契約スキルの中で頂点さ!
 魔力は直接繋がり、送れるんだよ」


まさか魔王のスキルを獲得した事に驚きを隠せない。
そして賢者は、女神の波動が留まっている事に気付き問いかける。


「忠誠スキルで隷属を上書きした筈だが、
 何故まだユーリの身体に女神がいるんだ?」


俺は通信機から聞こえた賢者の言葉に驚愕して、
すぐにユーリに確認してみた。


「あの……私とクリスに感動したから、
 もう少し一緒にいたいって……」


「はい?」


よく見るとまだユーリの外見は変わっていない。
表情と人格は紛れもなくユーリだが、
まだ女神はユーリに乗り移っている。
そして通信機越しに賢者は笑みを浮かべながら言葉を発した。


「それはありがたい……
 何しろ今、こっちはかなり苦しくてね」


すると、徐々に通信機にノイズが走り、
賢者の声は聞こえなくなってしまう。


「賢者!何があったんだ?」


突如として通信が途絶えてしまった。
結界の外は恐ろしい事態になっている可能性が高い。
それに、外にはマリアもいる。
俺達も早く合流しなければならない。


「ユーリ、いこう!」


そして、俺は聖剣に魔力を集めて結界を破壊する。
ユーリの手を握りしめて、みんなの待つ場所へ歩き始めた……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

処理中です...