【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

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第120話 光のカーテン

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戦いは膠着状態となっていた。
女神を呼び出してラグナは圧倒的な戦力を得たが、
クレアの見事な撹乱により的を絞らせなかった。
賢者は結界魔法を使用しながら距離を取っており、
そこにカートが乱入して守りも強固になっている。


そして、ついに記憶の世界からクリスが帰ってきた。


「お待たせ、賢者」


「全く、待ちくたびれたよ……
 罰としてラグナ退治といこうじゃないか」


クリスが来て、場の空気が変わった。
まだ覇王を発動していないにも関わらず、
その圧倒的な魔力から圧力が感じられる。


本来であればクリスに会えて、
すぐに飛び上がり喜ぶ者がいた。
それはユーリである。
しかし女神が乗り移ってしまい面影は残すが、
姿は、女神そのものになっている。


「ユーリ、今すぐに助けてやるからな……」


そして、聖剣使いのクリスが到着したのを見て、
ラグナは苛立ちながら口を開く。


「これでは流石に不利ではないか……」


しかし、ふと女神の肩にかかるスカーフを見て、
邪悪な笑みを浮かべて言葉を発した。


「それなら作戦変更だ!
 女神よ、光のカーテンを出せ!」


すると女神のスカーフが、空高くカーテンのように広がり怪しく光り輝く。
未知の魔法で効果は不明だが、
賢者は、何か特別な力があると察知した。


「何も馬鹿正直に戦わなくて良い!
 どうせ勝てるんだからな!」


そう言い放つと儀式の間が真っ白の空間に変わり、瞬く間に煙が充満して、全員の位置が認識できなくなってしまった。


「ふふふ、仲間を守り切れるかな」


ラグナと女神は、怪しく笑いながら、
その煙の中に消える。



その頃、クリスは封印魔法を使用するが、
全く効果を感じられないでいた。
光のカーテンの正体は、魔導具だからだ。


「くそ!」


その瞬間、クリスは重要なスキルを思い出す。
以前、エレノアと戦った時に使った魔法だ。


「探知で、ユーリの位置を探す!」


俺は姿を変えて覇王を発動する。
ここで全力を出さなければ試練の意味がない。
今まで必死で頑張れたのも、マリアとユーリを守るためだ。


そして全ての身体強化をかけて、
俺は、探知の指す方向へ駆け抜ける。
すると同じように、探知を使い、
ユーリを探す人物を見つけた。


「賢者!」


「来たか、被害が出る前に急ぐぞ!」


俺と賢者は過去の世界と同じように、
お互いに探知の指す方向へ走り続ける。



「見えてきた!」



そして光のカーテンに身を隠すラグナ、女神、
サラを発見した。


「ユーリ!」


俺は、女神が乗り移るユーリを見て、
怒りが抑えきれなくなる。
その姿は転生前に見た女神そのもので、
表情だけユーリの面影を残していた。


「ラグナ、お前だけは……
 お前だけは許さない!」


怒り狂う俺を見ると、
ラグナは邪悪な笑みを浮かべて声を発する。


「完成した隷属の首輪を付けていると、
 俺が死ねばコイツら二人も死ぬんだよ!」


「な、何だと」


俺は言葉を失ってしまった。
愛する人を奪われただけでなく、
救う手段を見出せない。
しかし、どうしても諦めたくない……


「クリス、諦めるな!
 まだ破壊できる術はある」


「何をしても意味はない!
 これで俺は殺せない……
 隷属の首輪がある限り、
 このエルフは俺の物だ!」


ラグナが嫌らしく首輪をなぞり、
更にその手は、ユーリの綺麗な顔を撫でる。


「ユーリに……
 ユーリに、触れるな!」


そして信じられないことが起きた。
隷属の首輪で操られているが、
俺の言葉に反応して、ユーリの瞳から涙が落ちていく。



「ユーリ……」


表情は正気を失ったまま、
涙は止まらずに流れる。
その姿を見て俺も涙が止まらなくなってしまった。



「クリス、覚悟はいいか?
 救う手が一つだけある」



「賢者?」



賢者は、救う手段があると言っている。
何か手があるのなら、俺は全てを懸けたい。
その言葉に無言で頷くと、
賢者の周りに魔力が溢れる。


 




「次元結界!」







すると俺とユーリを囲うように、
賢者は、次元の結界を生み出した。
そして通信機を通して俺に話しかける。



「これで一時的にラグナの命令を遮断した!
 救う方法は、エレノアの時と同じさ……
 従属化の上位スキルで隷属を上書きする」



「え?」



賢者は、何か確認したい事があるようで、
更に俺に問いかける。


「従属化スキルは今いくつまで成長した?」


「確か、レベル8ですけど」


その言葉を発した瞬間、
賢者はニヤリと笑みを浮かべる。


「カンストすると次のスキルを覚える……
 後1レベル、今すぐに上げちまいな!」


「い、今すぐって、どうやって?」


その時、賢者は呆れたようにため息を吐いた。
やはり俺は、その声に焦ってしまう。



「馬鹿者!
 お前、従属化のレベルが上がるまで、
 何度も口付けするに決まってるだろ!」


「は、はい?」



賢者の言葉に驚きを隠せない。
後、従属化スキルを1レベル上げれば、
スキルがカンストして新たなスキルを覚える。
そして今、ユーリと口付けを何度も繰り返して、
レベルアップを達成させると言った。


「ユーリ……良いよね?」


一応ユーリに確認した方が良いと思い、
声をかけると、先程とは全く違う反応を見せた。


「ん?涙が止まってて、嬉しそう?」


気のせいかと思ったけれど、
ユーリが少し笑顔になっている気がした。



賢者を信じて従属化のレベル上げに挑む。
それは新たなスキルを覚えるまで口付けを繰り返す事だった。
思わぬ展開に俺は頭が追い付かない。
そして、結界の外にいる賢者達は、ラグナを取り押さえようと、光のカーテンの中で追いかけ回していた。
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