現実と異世界の24時間半永久活動  〜反転は12時からの落ちこぼれ達のシンデレラストーリー〜

晃矢 琉仁

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始まりの反転

熱い妄執と冷たい現実

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「はあ・・・」




今度ばかりは大きなため息が出た。




ため息をつくと幸せが逃げると聞くからするにしても嫌な現実の前でするのは、

小さなものと決めていたが今が不幸でなくていつが不幸か。

そう思うと午前の授業中はずっと上の空であった。

そもそも柏木くんは逃げ切ったのであろうか?




彼は真面目で無遅刻無欠席であることを唯一少し自慢げに話してくれていたことを思い出す。




冷静になればそんな彼がそのまま学校を抜け出して家まで退散することも無いだろう。

この校舎で今まさにどこかの隅っこまで追い詰められているのかもしれない。

そう考えると胃酸が込み上げてくるような気がした。




弱虫なくせして他人が自分と同じような仕打ちをされていることを、

考えることも耐えられない気持ちになることがあるのだ。




この前なんて今の時代懐かしいくらいの着崩した黒い制服に、

気合の入った丸刈りの不良達に絡まれている女子を見た時は、

いつかに見たアクションだか恋愛映画の真似事で落ちていた空き缶だかを不良共の死角に投げて、

気がそちらに逸れた隙に女の子の手を引っ張って助け出そうとしたことがある。


結果は掴む手を間違えて一番ガタイの良い男のゴツゴツとした腕を引っ張ってしまい、

自分諸共道路に転がって自分だけが追われる羽目に合った。




そんな風に非力な自分には似つかわしくない正義感があった。

怖いことがあると弱気になるが。




昔から正義の戦隊ものに興味があって今はガラクタになってしまった、

ヒーローの乗り物みたいな物が自室に転がっているのが何よりの証拠だ。

そこで学んだのか、せめても性根に熱いものがあるのか自分がやられることは厭わないが他の誰か、

それも知人や友人(現在、空席だが)や何より想像しやすい家族に嫌な思いをさせる奴に

容赦する気は無い。




イジメのよくある胸糞の悪いやり口に昼ご飯の弁当を台無しにする等あるが、




そういったことだけは頭に血が上るほどの怒りが込み上げてくる。

食べ物を粗末にしてはいけないという考えや教えもあるが、

何より哀れなのはその子の母親でもある。

丹精込めて自分の子供のためにと作ったものを廃棄物に変えるなんてことは、

人間のして良いこととは到底思えない。




他にもイジメ被害者の家の窓が投石によって割られるなど、




家族との安住の地まで侵攻する奴らは人の皮を被った化け物としか形容できない。

何より子の悲しみは親の悲しみ、家族の悲しみだ。そんなことがあってはならない。




イジメを受ける者にもイジメを誘発する要因が、

少なからずあるのかもしれないと思うこともある。

現に自分は臆病で一発やり返してやることも出来ないから、やられるのだと。




だからイジメをする者だけを責めることは出来ない、




先ほどの薄情な傍観者など第三者も巻き込んだ全てが原因になり得ることもあるが故に、

被害者のいじめられっ子もその疑われる枠を逸することが出来ないことが悲しい現実でもあるだろう。




ただ、イジメを行う者がギリギリ許されることはいじめっ子だけを迫害することに限り、




そのいじめている者と繋がりのある存在にも害を与えることは断固として許さない!

そんな強い意志が自分にはある!譲れない一線がある!







そんな俺が行っている奴らいじめっ子畜生に対する手立てとは...!



















そんな大事なお弁当は学校の屋上でひっそりとパクパクすることである。







あれだけ息巻いておいて(それも心の中で)、することはヒジョーにみみっちい事この上ない。

それでも自分は今までそういった報道される不快になるようなイジメの仕打ちは・・・

まだないのでセーフだと思いたい。




今のところ私物を損壊されたりされる様な被害などを受けていないのは、

このような自分のいなし方が正解の裏付けであると信じてやまない。




それでもこんな行動でしかイジメの脅威を逃れられないとは・・・

情けなさに涙が出そうだ。







キーンコーンカーンコーン







あれこれそう考えていると昼休みのチャイムが鳴っていた。




そんなこんなで、誰かの心配など忘れて

今は弁当を持って屋上への人通りの無い非常用か何かの細い階段をトロトロと歩いているところだ。

主に多くの生徒に使われる幅の広い階段を歩くことは避けている。







実は屋上は一般開放されているわけではない。

屋上に繋がる階段がそもそも生徒の間で見つけた者はいないと噂されていた。




屋上への階段が見つからない理由が浮かばない確かな謎だったが、

最近の学校は屋上を開放している所は少ないらしく、

クラスで聞こえた話を盗み聞きしておきながら大して印象に残る事でも無かった。
そうしてイジメが始まってから安全な昼休みの避難場所探しに、、

校内お散歩をしている時にふとその話を思い出し、

屋上に繋がるまるで何故か人が通らない階段を見つけた。

そして屋上に繋がるドアを祈りながら捻ると普通に開いたのだ。




ドアを開けて見るとそこには体育館くらいのだだっ広いフェンスに覆われたスペースがあり、

緑色のフェンスに囲まれている中で換気扇がぐるぐるしている機械がいっぱいに配置されていた。




この機械を生徒達にいたずらされたくないのだなあ、

くらいの感覚で自分はその間を縫って迷路の様な道を抜け出し、

開けたスペースに出るとフェンス越しに見える屋上からの景色に少し感動した。

それ以来街の風景を独り占めしながらそこで昼飯を食うことは日課だった。




屋上にあった足の歪んだ机や椅子を屋上ドア手前の踊り場に乱雑に置いてバリケードにしている。

他の誰かに屋上に上がらせないためであり、

子供だましみたいなものだが効果あってか今も自分の聖域は誰かが立ち寄った形跡が無い。




それでも奴らが昼休みになると俺をいじめて暇を潰そうとするので、

待ち伏せされていやしないかと冷や冷やしている。




それにしても自分のやっていることは無断で屋上を使い、

誰も入れさせないために勝手に学校の机を防壁に使ったりと

まさに不良の素行である。




しかし意外とこういった自分だけの知る場所だとか所謂秘密基地の憧れで

屋上に私物を持ち込んでみたり、くつろげるものにしようとしてみたり

避難場所作りが

ワクワクしたものになっていた。




なんだかんだで大人しいと思っている自分にもこんなガキっぽい性格が隠れていたことを思うと、

不思議な感慨に浸ったものだ。そうしていつも通り人気のない階段を腕をブラブラさせて歩き、

自分だけの道になって満足げに気分もデカくなると独り言が大きくなる。







「まったく酷い奴らだよなあ、あいつらぶん殴ったってお釣りがたんと貰えるだろうなあ・・・」







そう強気に言っても、大義名分があったとしても、

大したやり返しなんて卒業までに一回も出来ないだろう。

自分という人間はかくも弱いものかと自嘲する。




半年だか1年にもなるか分からないこの憂鬱ないじめられっ子シーズンに

華麗に3匹まとめてノックアウトしたり、

弁論で奴らを言い負かしたりするなど気分の良いイメージが

脳内で何度もエンドレス上映されてきたわけだが、







「はぁ~あ・・・所詮は妄想だもんなぁ・・」




大きなため息と共に本音が漏れだす。

そもそも奴らにこの熱い正義を理路整然に語ってやれたとしても、地頭の悪い奴らでは




「何わけ分かんねえこと言ってんだ死ねええ!」

「死ねえ~」「死晒せ~」




とか言われるに決まっていr...

ん?

今のはイメージで浮かんだ声にしては妙にリアルだと即座に今いる2階から下を覗いてみた。

完全に自分の世界に入っていて下の階から聞こえたイヤ~な声で我に返った。
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