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再会Ⅳ
しおりを挟むヒロキは腕を組み己の顎に手を当てながら過去の記憶を辿り思考する。しかしながら今目の前にいる酔っ払いの男には残念ながら、誠に遺憾ながら該当は無かった。やはり酔っ払いの世迷言に違いない。そうしている間に件の酔っ払いは何か言っている。妙に馴れ馴れしい。やれ「元気か」だの「久しぶりだなあ!」と話しかけてくる。ヒロキは男と距離を取り拳銃を抜き腰のバリスティックナイフに手をかけながら問いただす。
「誰か!?」
「え?お前・・・誰何とかマジか?俺だよ!オザワだよ!教育隊時第4中隊2区隊長のオザワ2尉だっつーの!オダ2等空士・・・いや元空士長!銃を下ろせ!」
「嘘だ!!区隊長・・・オザワ2尉殿のはずがない!ハg・・・オザワ2尉なら光輝く立派な頭部が無い!この偽物め!」
「お前ー!!またハゲって言いやがったな?態々言い直しやがって!・・・殺す!」
そう叫ぶとハゲではなくオザワ2尉は猛然とヒロキめがけて突撃してきた。咄嗟にヒロキは反転してダッシュで逃げた。今、王都で盛大でくだらない鬼ごっこが始ま・・・らなかった。300メートル程で唐突にオザワの嘔吐によって終わった。酒が回ったらしい。ヒロキは髪の話をしてこんなリアクションをする人間はオザワ2尉以外知らないのでようやく警戒や疑問を解いて介抱するために駆け寄る。
「大丈夫ですか?汚ザワ2尉?怪我ありませんか?怪我?毛が・・・ハッ!?」
「うぷっ!オエ・・・。くそ!名前に悪意を感じる・・・お前またしても・・・覚えとけよ?」
「嫌です。とゆうか何故髪があるんですか?本当にわかりませんでしたよ?オザワ2尉と言えばハg・・・もとい頭部が一番のトレードマークじゃないですか?」
「転生する時に生やしてもらったんだよ!体も20歳時にしてもらった」
「20歳・・・なるほど・・・7年後が楽しみです」
「なんでお前が俺の禿始めた年齢知ってるんだよ?」
「はて・・・?なんで知っているんでしたっけ?情報源は酔っぱらった中隊長だったような」
「おのれ・・・中隊長め・・・。しかしお前、逃げ足は本当に速いよな酔ってなくても追いつけない気がする。なんで訓練時にその身体能力が発揮されないのか不思議だよな」
「なぜですかね?自分でもわかりません。ところでオザワ2尉はなんでこっちに来たんですか?酒の飲みすぎで死んじゃったんですか?」
「多分それだな・・・。正確には飲んだ後の記憶が無い!」
「さすがです!さすが過ぎです!とても真似できませんわー。いやーないわー」
「ぐぬぬ・・・。反論できない。で?ここに来る前に知り合いにあったら手伝えと言われたんだけど、俺は何をすればいいんだ?」
「今は放棄された町を復興しているのですが、役割は何かしらあるはずですが・・・ちょっと今思いつかないですね。とりあえず来てはもらいたいですけどね。それとも教育隊でも再びやりますか?」
「う~ん。教育隊ねえ・・・。まあ行ってから考えるか!酒さえ飲めれば働くぞ?」
「飲んだくれは死んでどうぞ!」
「いや、もう死なないからね?」
ヒロキとオザワはくだらないやりとりをしながら南門に向かうことにした。先程ヒロキに絡んできた男達は二人で縛り上げて酒場の店員に衛兵の通報を頼んで衛兵に引き渡した。因みにオザワはこの酒場で下働きをしながら毎日飲んだくれていたらしい。ツケが200ボッチもあったがヒロキが立て替えた。ヒロキは密かにオザワをこき使うことを決めたのであった。
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連日投稿できてうれしいです。感想もお待ちしております。因みに会話部分のやり取りは一部創作ではなく、かなり作者の実体験を元になっております。
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