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王都再びその3~トラブル→ブチ切れ~再会?
しおりを挟む「くそっ!まいったな~」
ヒロキはため息をつきつつ悪態を呟きながら路地裏を歩いていた。正確には連れて行かれた。話は酒場巡りを開始して7軒目か8軒目に差し掛かった30分程前に遡る。店の人間に話しかけてこの王都では白人種が大多数なので自分と同じような人種を最近見かけなかったか聞き込みをしていた時、不意に後ろから乱暴に肩を掴まれた。振り返るとそこにはガラの悪そうないかつい男が5人いた。全員ボロボロの皮鎧や鉄製の胸当てを装備して腰に剣やナイフ等をつけていた。
「は・・・?え・・・?あの・・・どちらさんで?」
「見つけたぞ!この前はてめぇの連れのきれいな姉ちゃんには世話になったな!有り金全部とあの馬なしで走る荷車を黙って差し出したら半殺しで勘弁してやるぞ?それともこの人数をその細腕で相手をしてみるかチビ!」
「あ?今なんて言った?」
「あん?耳が遠いのか?チビって言ったんだよ!いいからこっちに来い!おい!そこの店員!衛兵に言いつけやがったらわかってんだろうな?」
「ひひひ。アニキこいつブルっちまって顔色真っ青だぜ?」
ヒロキは男達に言われるがままに路地裏に連れて行かれる。たちまち袋小路のような場所で5人に囲まれる。男達は下品な笑みを浮かべていた。完全に勝ち誇っている。まるでカツアゲの現場である。
ヒロキの顔からフッと血の気が引く。ただし、これは恐怖や狼狽からではない。憤る前触れだ。その表情をよく伺えば目が座っているはずであった。確かに男の言うとおりヒロキは決して背は高くはない。身長は160センチそこそこでありチビと言うのも正しいことである。男はヒロキの地雷を盛大に踏んだのだ。
ヒロキは普段は柔和な表情をしており、営業スマイルも完璧であったがこと身体的特徴を理由にしたの差別的な罵声をされると営業スマイルが般若に変貌を遂げる。余談ではあるが過去に社会人サッカーの試合で180センチ超えのゴツイ相手チーム選手が試合中にヒロキを小馬鹿にしてチビとトラッシュトーキングで煽ってきたことがあったのだが、ライン際でのボールの競り合いでヒロキに盛大にタックルでぶっ飛ばされて負傷退場に追い込まれたことがあった。試合後形だけ謝罪しに相手ベンチに行った際、その選手はプライドをへし折られて逆に土下座せんばかりに謝り返しきた。繰り返すが男達は地雷を踏んだ。
「へへへ。どうした?ビビっちまって声も出せねえのか?オラ!さっさと有り金出せよ!」
「・・・殺す・・・ぶっ殺す!!てめえら皆殺しだ!」
ヒロキはそう言うと太腿のホルスターの拳銃をセーフティ解除して一番近くにいた男に腰撃ち発砲した。口では殺すと言ったが一応暴徒鎮圧用ゴム弾である。先頭の男の首にヒット。崩れ落ちるように倒れた。
「はあ?何言って・・・。ギャッ!!」
二発目が更に甲高い声で嘲笑っていた男の金的に命中。あれは痛い!口から泡を吹いて倒れた。
「野郎!やりやがったな?やっちまえ!ぶっ殺せ!!」
3人目に照準を合わせようとしたところで残りの男が一斉に武器を手に襲ってきた。一人は勘が良いのかジグザグに走り間合いを詰めてきた。そのまま持っていた剣を一気に振り下ろしてくる。ヒロキは腰の大サイズのバリスティックナイフを抜いて片手で受けた。剣でならナイフに押し勝てると思っていた男の表情が不敵なものから驚愕に変わる。押し切るどころか押し返されてのけぞる。がら空きになった鳩尾近辺に三発目を受けて悶絶。4人目も3人目に倣ってナイフ側から間合いを詰めようとしてきたのでヒロキはバリスティックナイフを相手の足元付近にめがけて鍔のボタンを押した。刃が相手に刺さると面倒なので掠めるような軌道を狙いワイヤーが絡まるように調節した。思惑通りに相手はワイヤーが絡まり転ぶとグリップの一つ目のボタンを押す。バチンッと電気が走り4人目も沈黙した。
「・・・ヒイッ!ばばばっ化け物!!」
最後の男はその場にへたり込んで失禁した。
「誰がチビだって?この野郎!お?」
ヒロキはナイフのワイヤーを巻き取り、残弾の確認をしてホルスターへ銃を戻しへたり込んで戦意喪失した男をこづいた。男は漏らしながら土下座して謝罪を念仏のように繰り返している。とりあえず路地から出て先程の酒場の店員に衛兵を呼んでもらおうとしたところで袋小路手前の小さな路地から酒瓶を持った酔っ払いらしき男が出てきた。男の髪は黒く肌は黄色で日本人に見えた。ヒロキに話しかけてきたとゆうよりも絡んできた。とても酒臭い。
「あ~?うるさいんだよ!二日酔いで寝てる頭に響くだろうが!お?もしかしてオダ?なのか?」
相手の酔っ払いはヒロキを知っているようだがヒロキはちょっと思い出せずに困惑した。
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ようやく安定して更新できそうです。併せて感想も心よりお待ち申し上げます。
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