わたしはいない

白川 朔

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あなたといっしょに

17.

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 山道を車は登っている。車窓から見える景色は木々ばかりで薄暗い。舗装されていない道なのだろう。がたがたと揺れながら登っていく。
「お父様、お母様今日はお星さまが見えるかしら。」
星を見るために山を登っているのか。
「今日は晴れるって天気予報言ってたぞ。」
「よかったわね、きっとここからなら綺麗に見えるわ。」
お父様が車を運転して、助手席にはお母様が乗っている。後部座席には小さな自分も乗っていた。周りの木の葉にうっすら雪が積もっているように見てるから、今は冬だろうか。
「今日はお祖父様もいるのですか。」
「ええ、あと春樹くんも来ているはずよ。」
お祖父様はいつも優しじゃった。いろんなことを知っていて、たくさん教えてくれる。この日はすごく楽しみだった。誕生日のプレゼントに望遠鏡を買ってもらったから、星を見に来たんだ。お祖父様の山の別荘からなら綺麗に星が見えるだろうと、家族で来たんだ。
「まだ着かないの。」
「もうすぐだよ。」
はしゃいでいる子どもは、落ち着かない。すると、視界が開けた。お祖父様の別荘は大きいわけでは無いけど、白い清潔感のある外観だった。車から降りると、お祖父様が出迎えてくれた。
「よく来たな、めぐり。和恵と孝くんも、」
お祖父様の後ろにはもう1人いた。
「ほら、春樹くんも挨拶しなさい。」
「菅野春樹です。」
後ろから出てきて、お辞儀をしている男の子は、緊張している様子だった。
「めぐりも挨拶してね。」
お母様が背中を押して、一歩前に押し出される。
「白井めぐりです。4さいです。」
「2人とも自己紹介できて偉いぞ。」
お祖父様に頭を撫でられる。こうやって褒められていた時期もあったのだ。お母様とハルキと日が暮れるまで遊んでいた。遊ぶと言ってもハルキはずっと大人に見えていたから、遊んでもらっていたんだと思う。夜にならないと星は見えないから、早く夜になればいいのにと思ったのを感じた。お父様とお祖父様は一緒にしばらく話していた。
 夜になるとお父様とハルキが望遠鏡を組み立ててくれた。説明書を見ながら順番に組み立てていく。
「きれい。あっちも見たい。」
山の中で見る星がすごくきれいで、たくさん面倒なことを言っていた。
「あれがカシオペア座って言うんだよ。」
「あれは。」
ハルキは星に詳しかった。星に関して聞けば、なんでも答えてくれた。
「ハルキ、双子座って見える。」
「双子座か。」
「うん、誕生日が6月17日なの。」
「そっか、見えるよ。」
「ほんと。」
「うん、ちょっとまってね。」
星座盤で位置を確認してくれる。
「まだ出てないみたい。」
双子座といえば双子座流星群。毎年では無いけどいっぱい流れ星が降ってくる物だと教えてもらった。その時、何か約束をした。内容はもう忘れてしまったけど。
 ずっと長く星を見ていた。気づくと此処は布団の中だった。暖かくて柔らかかった。
「ハルキ」
夢を見ていたのだろうか。でもこれは多分夢じゃない。昔にあったことなんだ。ハルキさんとはずっと前にあったことがあるのかもしれない。
 目が覚めてからも、あの日した約束がなんだったのかは思い出せなかった。
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