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あなたといっしょに
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もうすぐ8月が終わるのにめぐりは一度も家に帰ってきていないようだった。蝉の声が空っぽの家の中にこだまする。春樹に調べてもらってもどこにいるかは分からなかった。お盆休みにも帰ってこなかったから本当に捜索願を出すしか無いのだろうか。
未だに出すかどうか迷っているのは、もしかすると帰ってくるかもしれないからだ。帰ってきた時に警察沙汰になっていたら、学校に通いにくくなるかもしれない。携帯を開いて山口に連絡しようか迷ってはホーム画面に戻す。
「和恵、めぐりはどこにいるんだ。」
和恵と私との縁談は家同士が決めたものだった。菅野家も白井家も古い家で私は白井家の長男で、和恵は菅野家の長女だった。和恵には年の離れた兄が居て、家を継ぐ必要がなかったため、うちに嫁入りをした。あの頃は、和恵は本心嫌がっていたが、仕方ないと言うこともわかっていたのだろう。結婚しても私との間は夫婦にしては距離が開いていた。
めぐりが生まれた時、身内が沢山きて和恵は疲れた様子だった。
「孝さん、娘を生んでしまってごめんなさい。」
親類の訪問もひと段落して窓の外を見て、睫毛を揺らした。確かに息子であれば文句なしに後継になるだろう。うちの父も義父もそれを望んでいた。
「次頑張ればいいさ。」
「駄目なんです。」
まだ小さなめぐりを抱いて、こちらへ向き直った。
「何故だ。」
彼女は腕の中で静かに眠る娘に目を落とし、それ以上は何も離さなかった。私も問い詰めはしなかった。和恵は私のことを心から愛してなどいなかったから。問い詰めるには心の溝が広すぎたのだ。
だが、和恵はもともと体が弱く、めぐりを生んでからは、もう1人産むのは難しい体だったそうだ。後から聞いた話だ。というのも、和恵は白井家の妻としてずっと頑張り続け、家族付き合いに子育て、私は仕事で忙しくしていたこともあり、家のことは全て任せていた。そして今から6年ほど前、体調の優れない日が増え、ついに体を壊した。それからは病状が良くなることもなく。
和恵が亡くなってからも、めぐりはよく笑っていた。悲しむどころか、和恵の思い出話一つしなかった。だんだんと、見た目も性格も和恵に似ていった。私との間に溝ができ、踏み込むことが出来なくなっていった。
「めぐりは今どこに。」
言葉は投げたきり帰ってこない。私はもう一度スマートフォンのロックを開け、連絡帳のアイコンをタップする。画面に表示された山口の文字。大きく息を吸い込み発信の文字に触れるとコール音が鳴る。耳に当てて少ししてコールが途切れた。
「もしもし山口。」
未だに出すかどうか迷っているのは、もしかすると帰ってくるかもしれないからだ。帰ってきた時に警察沙汰になっていたら、学校に通いにくくなるかもしれない。携帯を開いて山口に連絡しようか迷ってはホーム画面に戻す。
「和恵、めぐりはどこにいるんだ。」
和恵と私との縁談は家同士が決めたものだった。菅野家も白井家も古い家で私は白井家の長男で、和恵は菅野家の長女だった。和恵には年の離れた兄が居て、家を継ぐ必要がなかったため、うちに嫁入りをした。あの頃は、和恵は本心嫌がっていたが、仕方ないと言うこともわかっていたのだろう。結婚しても私との間は夫婦にしては距離が開いていた。
めぐりが生まれた時、身内が沢山きて和恵は疲れた様子だった。
「孝さん、娘を生んでしまってごめんなさい。」
親類の訪問もひと段落して窓の外を見て、睫毛を揺らした。確かに息子であれば文句なしに後継になるだろう。うちの父も義父もそれを望んでいた。
「次頑張ればいいさ。」
「駄目なんです。」
まだ小さなめぐりを抱いて、こちらへ向き直った。
「何故だ。」
彼女は腕の中で静かに眠る娘に目を落とし、それ以上は何も離さなかった。私も問い詰めはしなかった。和恵は私のことを心から愛してなどいなかったから。問い詰めるには心の溝が広すぎたのだ。
だが、和恵はもともと体が弱く、めぐりを生んでからは、もう1人産むのは難しい体だったそうだ。後から聞いた話だ。というのも、和恵は白井家の妻としてずっと頑張り続け、家族付き合いに子育て、私は仕事で忙しくしていたこともあり、家のことは全て任せていた。そして今から6年ほど前、体調の優れない日が増え、ついに体を壊した。それからは病状が良くなることもなく。
和恵が亡くなってからも、めぐりはよく笑っていた。悲しむどころか、和恵の思い出話一つしなかった。だんだんと、見た目も性格も和恵に似ていった。私との間に溝ができ、踏み込むことが出来なくなっていった。
「めぐりは今どこに。」
言葉は投げたきり帰ってこない。私はもう一度スマートフォンのロックを開け、連絡帳のアイコンをタップする。画面に表示された山口の文字。大きく息を吸い込み発信の文字に触れるとコール音が鳴る。耳に当てて少ししてコールが途切れた。
「もしもし山口。」
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