60 / 70
あのひのように
45.
しおりを挟む
ハルキがもう一つの家と読んでいる場所に連れてきてくれた。そこは見たことのある場所だった。お父様とお母様、お祖父様とそれからハルキも一緒に来た、あの別荘だ。家の中は昔と変わっていなかったから、本当に変わっていないから思い出せた。
「驚いた。」
ハルキはこれを見せるためにここに連れてきてくれたんだ。もう、ハルキの手にはマッチが握られていた。
「もう少しゆっくりしていく。思い出とかあるでしょ。」
ここにあるものは、確かに何も変わっていないから、今までおぼろげだった記憶もはっきりしてきた。この暖炉の前で大人たちが神妙な顔で話していた。小さい頃、お父様は聞かれたくない橋をするときにはお仕事の話をするからといって部屋から追い出したいた。あの時もお父様とお祖父様はお仕事の話をするから、春樹と一緒に星を見ていなさいと言って外にハルキと外に追い出されてから星を見ていた。仕事の話とは言っても多分、家同士の話だったんだ。あの頃はまだ小さかったから、仕事の話は聞いてはいけないと思っていたから、別になんとも思っていなかったけれど、あの時のお父様とお祖父様はもめているようにも見えていた。
「私、もしかしてもっとたくさんの知らないことがあるの。」
ハルキは何かを言いかけて口が音を出さずに震えた。
「知らなくてもいいんだよ。」
結局ハルキの口が動いて音になったのは、もったいぶったような台詞だった。今までとは違うのは、本当に聞かれたくないような低い声だった。私は、その声を知っていた。大人たちは聞かれたくない話をするときと同じ言い方なんだ。聞かなくてもいいこととはなんだろうか。考えが悪い方向へと流れていく。
「そんなに良くない話があるの。」
あの頃のハルキが今の私と同じくらいの時、ハルキはもう大人に見えていたんだ。本当に大人だったのかもしれない。家の中では聞きたくない話が飛び交い、自分にはあまり目を向けてもらえない。寂しいことを寂しいとは言えず、ずっと抱え込んでいた人なのだから、今更掘り返されたくない話もきっとあるだろう。
「聞いても、めぐりちゃんは嫌になったりしない。」
「何を。」
「家に帰ることとか、お母さんのこととか。」
一体何の話だ。今まで知らなかったことをここにきてから色々話してくれた。お母様が菅野の家のために白井家に嫁入りしていたこともその1つでハルキも同じような理由でお父様の秘書をやっている。それ以上のこととは何があるのだろうか。
「嫌にならないと思う。」
自信はないけれど、ハルキが嫌にならないで欲しいと思っているなら平気だと思う。ハルキだってずっといろんなことを見てきたのだから、話してくれるなら共有したい。
「なにから話そうかな。僕の家は昔は大きかったんだけど、今はもう家の力を失ってしまったという話はしたよね。それからめぐりちゃんのお母さんがその家を保つためにめぐりちゃんのお父さんとの縁談を受けたとも。でもね、少し問題があったんだ。息子ができないまま、子どもの産めなくなちゃったんだ。」
ハルキは深刻な顔をして、言葉を選んでいるのかゆっくりと話している。だけど、この話は以前にハルキが話している。ハルキの言葉はまだ終わらなかった。
「その後ね、白井家との関係が悪くなることを恐れた父さんは、僕を使って白井家との関係を繋げようとした。」
「その話は前に聞いたよ。そうやって今、秘書をしているって話でしょ。」
俯いて首を横に振った。
「まだ続きがあるんだよ。」
悲しみと怒りを堪えたような、絞り出した声だった。
「僕はめぐりちゃんが大きくなったら結婚するように言われてたんだよ。そんな約束をしていたんだよ。めぐりちゃんが成人するまでは言わないことになっていたんだ。初めは白井さんもかなり渋っていたらしいけど、仮として婚約をしていたんだよね。それで、僕はめぐりちゃんが大人になるまでの間は白井さんのもとで働くことになった。」
「私とハルキの結婚が決まっていた。」
「そう。でもね、めぐりちゃんを家同士の関係のために使って欲しくなかった。」
他にもっと選択肢があったのに、誘拐することを選んだ。それは、ハルキ自身もう家振り回されたくなかったんだろう。
「だけど、どうしてお父様はハルキを秘書として近くに置いたのかな。」
「僕と婚約させる前にどういう人か見極めたかったってところじゃないかな。」
本当にそうなのだろうか。何かが引っかかった。
「驚いた。」
ハルキはこれを見せるためにここに連れてきてくれたんだ。もう、ハルキの手にはマッチが握られていた。
「もう少しゆっくりしていく。思い出とかあるでしょ。」
ここにあるものは、確かに何も変わっていないから、今までおぼろげだった記憶もはっきりしてきた。この暖炉の前で大人たちが神妙な顔で話していた。小さい頃、お父様は聞かれたくない橋をするときにはお仕事の話をするからといって部屋から追い出したいた。あの時もお父様とお祖父様はお仕事の話をするから、春樹と一緒に星を見ていなさいと言って外にハルキと外に追い出されてから星を見ていた。仕事の話とは言っても多分、家同士の話だったんだ。あの頃はまだ小さかったから、仕事の話は聞いてはいけないと思っていたから、別になんとも思っていなかったけれど、あの時のお父様とお祖父様はもめているようにも見えていた。
「私、もしかしてもっとたくさんの知らないことがあるの。」
ハルキは何かを言いかけて口が音を出さずに震えた。
「知らなくてもいいんだよ。」
結局ハルキの口が動いて音になったのは、もったいぶったような台詞だった。今までとは違うのは、本当に聞かれたくないような低い声だった。私は、その声を知っていた。大人たちは聞かれたくない話をするときと同じ言い方なんだ。聞かなくてもいいこととはなんだろうか。考えが悪い方向へと流れていく。
「そんなに良くない話があるの。」
あの頃のハルキが今の私と同じくらいの時、ハルキはもう大人に見えていたんだ。本当に大人だったのかもしれない。家の中では聞きたくない話が飛び交い、自分にはあまり目を向けてもらえない。寂しいことを寂しいとは言えず、ずっと抱え込んでいた人なのだから、今更掘り返されたくない話もきっとあるだろう。
「聞いても、めぐりちゃんは嫌になったりしない。」
「何を。」
「家に帰ることとか、お母さんのこととか。」
一体何の話だ。今まで知らなかったことをここにきてから色々話してくれた。お母様が菅野の家のために白井家に嫁入りしていたこともその1つでハルキも同じような理由でお父様の秘書をやっている。それ以上のこととは何があるのだろうか。
「嫌にならないと思う。」
自信はないけれど、ハルキが嫌にならないで欲しいと思っているなら平気だと思う。ハルキだってずっといろんなことを見てきたのだから、話してくれるなら共有したい。
「なにから話そうかな。僕の家は昔は大きかったんだけど、今はもう家の力を失ってしまったという話はしたよね。それからめぐりちゃんのお母さんがその家を保つためにめぐりちゃんのお父さんとの縁談を受けたとも。でもね、少し問題があったんだ。息子ができないまま、子どもの産めなくなちゃったんだ。」
ハルキは深刻な顔をして、言葉を選んでいるのかゆっくりと話している。だけど、この話は以前にハルキが話している。ハルキの言葉はまだ終わらなかった。
「その後ね、白井家との関係が悪くなることを恐れた父さんは、僕を使って白井家との関係を繋げようとした。」
「その話は前に聞いたよ。そうやって今、秘書をしているって話でしょ。」
俯いて首を横に振った。
「まだ続きがあるんだよ。」
悲しみと怒りを堪えたような、絞り出した声だった。
「僕はめぐりちゃんが大きくなったら結婚するように言われてたんだよ。そんな約束をしていたんだよ。めぐりちゃんが成人するまでは言わないことになっていたんだ。初めは白井さんもかなり渋っていたらしいけど、仮として婚約をしていたんだよね。それで、僕はめぐりちゃんが大人になるまでの間は白井さんのもとで働くことになった。」
「私とハルキの結婚が決まっていた。」
「そう。でもね、めぐりちゃんを家同士の関係のために使って欲しくなかった。」
他にもっと選択肢があったのに、誘拐することを選んだ。それは、ハルキ自身もう家振り回されたくなかったんだろう。
「だけど、どうしてお父様はハルキを秘書として近くに置いたのかな。」
「僕と婚約させる前にどういう人か見極めたかったってところじゃないかな。」
本当にそうなのだろうか。何かが引っかかった。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
あなたへの愛を捨てた日
柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。
しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。
レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。
「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」
エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました
小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」
二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。
第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。
それから二十年。
第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。
なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。
不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。
これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。
※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる