誰かの代わりになれるほど、私の人生は安くないです!!

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【第2話】屑鉄の錬金術

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契約を交わした翌朝、私はさっそく「職場」へと向かった。

案内された先は、城塞の東棟にある「小後宮(しょうこうきゅう)」。 重厚な扉を開けると、むっとするようなおしろいの香りと、停滞した空気が流れ出してきた。

「あら、新しい子?」 「将軍様のお気に入りですって」 「どうせまた、すぐに泣いて逃げ出すわよ」

広間には、色とりどりのドレスを纏った二十人ほどの女性たちがたむろしていた。 刺繍をする者、窓の外をぼんやり眺める者、退屈そうにカード遊びに興じる者。

彼女たちは皆、ハク・エイアン将軍が征服した国々から「略奪」してきた貴族の令嬢たちだ。 美貌はもちろんのこと、教養も身につけた選りすぐりの女性たち。

しかし今の彼女たちは、ただの「死蔵在庫」だった。 目的もなく、希望もなく、ただ飼い殺しにされている美しい鳥たち。

(……もったいない)

私は心の中で舌打ちをした。 これだけの「人的資源」を遊ばせておくなんて、経営者としては失格だ。

私はドレスの裾を翻し、部屋の中央に進み出ると、パンパンと手を叩いた。

「皆様、注目してください」

ざわめきが止まり、視線が私に集まる。 好奇心、侮蔑、憐憫。様々な感情が混ざった視線だ。

私は背筋を伸ばし、よく通る声で宣言した。

「本日より、この小後宮の管理を務めさせていただきます、凜と申します。以後、ここでの序列は、将軍の寵愛の深さではなく『実務能力』によって決定いたします」

「……は? 何を言っているの?」

豪奢な巻き毛の女性が、不機嫌そうに扇子を閉じた。 彼女はソフィア。西方の商業国家出身の侯爵令嬢だと聞いている。

「私たちは将軍様をお慰めするためにここにいるのよ。実務だなんて、そんな下女のような真似ができるもんですか」

「お慰め? 貴女、最後に将軍の寝所に呼ばれたのはいつですか?」

「っ……それは……三ヶ月前よ」

「では、その三ヶ月間、貴女はただ飯を食べて寝ていただけですね。投資対効果(コスパ)が悪すぎます」

私は冷淡に言い放つと、懐から分厚い帳簿を取り出した。 昨日、エイアンから巻き上げた「全権委任状」と共に手に入れた、この後宮の予算管理帳簿だ。

「帝国の法律では、働かざる者食うべからず。……ですが、安心して下さい。皆様には、その高い教養に見合った仕事を用意しました」

私はチョークを取り出し、壁の黒板(本来は詩を書くためのものだろう)に書きなぐった。

『複式簿記』 『暗号解読』 『物資管理』

「ソフィア様、貴女の実家は大商会でしたね。今日から貴女は経理班のチーフです。倉庫の在庫と帳簿の数字が合わない原因を突き止めてください」

「えっ? わ、私が?」

「他に誰がいますか? それから、そちらの眼鏡の方……東方の学術都市出身のエリアナ様ですね。貴女は数ヶ国語が話せると聞きました。傍受した敵の通信文の翻訳をお願いします」

次々と指名していく。 彼女たちの瞳に、戸惑いとは別に、微かな光が宿り始めるのを私は見逃さなかった。

それは「役割」を与えられた人間の目だ。 ただの愛玩動物ではなく、一人の人間として必要とされた喜び。

「……本気なの?」

ソフィアがおずおずと尋ねてきた。

「本気です。働いた分は、ボーナスとして現物支給します。化粧品でも、菓子でも、故郷への手紙の配送権でも」

その言葉に、部屋の空気が一変した。 退屈という病に侵されていた彼女たちが、一斉に動き出す。

「私、計算なら得意よ!」 「私だって、実家の領地経営を手伝っていたわ!」 「刺繍の技術なら、軍服の修繕に役立つかしら?」

私は満足げに頷いた。 これで、事務方の戦力は確保できた。

次は、現場だ。

          ◇

午後、私は城の鍛冶場を訪れていた。 熱気と金属音、そして怒号が飛び交う場所。

「こんな屑鉄で何を作れってんだ! 叩けば割れる、冷やせばヒビが入る! 使い物にならねぇぞ!」

鍛冶長のドワーフ族、ガンツが真っ赤な顔で叫びながら、剣の失敗作を床に叩きつけていた。 床には、無惨に折れた剣の残骸が散乱している。

「どうしました、ガンツさん」

私が声をかけると、彼はあからさまに嫌な顔をした。

「なんだ、嬢ちゃんか。ここは女の来るところじゃねぇ。火傷したくなきゃ失せな」

「火傷なら慣れています。……国が焼かれる炎の熱さに比べれば、ここの炉の火なんて暖房みたいなものです」

私がさらりと言うと、ガンツは鼻白んだように口を閉ざした。 私は床に落ちている剣の欠片を拾い上げる。

断面が脆い。 気泡が多く、不純物が混じりすぎている。

「鉄の質が落ちていますね。これでは、鬼牙(キガ)族の硬い骨の鎧は貫けません」

「……わかってんじゃねぇか。そうだ、鉱山から送られてくる鉄鉱石が最悪なんだ。泥みてぇな鉄しか寄越さねぇ」

「鉱山は、ここから馬車で半日の『黒鉄村(くろがねむら)』でしたね」

「ああ。だがあそこは今、強制収容所みてぇなもんだ。罪人や捕虜を送り込んで、死ぬまで掘らせてる。……最近じゃ、サボタージュ(怠業)が流行ってるらしいがな」

サボタージュ。 労働者がわざと質の悪い仕事をしたり、機械を壊したりする抵抗運動だ。

「なるほど。わかりました」

「わかったって、どうすんだ? 将軍に言いつけて、見せしめに何人か首を刎ねさせるか?」

「いいえ。生産性を下げるだけです」

私は懐から、先ほどソフィアたちがまとめてくれた予算書を取り出した。

「ガンツさん、荷馬車を一台用意してください。それと、護衛を数名」

「はぁ? どこ行くんだ」

「黒鉄村へ行きます。……少し、『買い物』をしてからね」

          ◇

黒鉄村は、雪と煤(すす)にまみれた陰鬱な場所だった。 痩せこけた男たちが、虚ろな目でつるはしを振るっている。 彼らの足には鎖が繋がれ、監視役の兵士が時折、鞭を振るって罵声を浴びせていた。

「働け! この穀潰しどもが!」

ビシッ、と鞭の音が響く。 打たれた男が泥の中に倒れ込むが、誰も助けようとしない。 助ければ、自分も打たれるからだ。

(……非効率の極みですね)

馬車から降りた私は、その光景を見て眉をひそめた。

人間という生き物は、恐怖だけでは動かない。 恐怖は一時的な強制力を持つが、長期的には思考を停止させ、肉体を消耗させる。 結果として生まれるのは、今の鍛冶場に届いているような「屑鉄」だ。

「誰だ、お前は!」

監視役の隊長が、私に気づいて駆け寄ってきた。

「将軍閣下の名代(みょうだい)で参りました、凜と申します。ここの視察と、生産管理の改善に」

「はっ、女に何ができる。ここは罪人の捨て場所だ。大人しく帰れ」

隊長は私を威嚇するように鞭を鳴らした。 だが、私は一歩も引かない。

「隊長さん。貴方たちがここでどれだけ鞭を振るっても、良質な鉄は出てきません。現に、将軍は武器の不足に苛立っておられます」

「そ、それはこいつらが怠けているからで……」

「いいえ。燃料切れのエンジンを無理やり動かそうとしているからです」

私は後ろの荷馬車に合図を送った。 護衛の兵士たちが、荷台の覆いをめくる。

そこにあったのは、山積みの「肉」だった。

羊の干し肉、塩漬けの豚肉、それに樽いっぱいの安酒。 そして、木箱に入った大量の銅貨。

強烈な匂いに、作業をしていた労働者たちの動きが止まった。 彼らの虚ろだった目に、野生の飢餓感が戻る。

「な、なんだこれは……」

「私の『お小遣い』です」

私は涼しい顔で言った。 これは本来、小後宮の女性たちが新しいドレスや宝石を買うために計上されていた予算だ。 それをすべて、食料と賃金に変えた。

私は労働者たちに向き直り、声を張り上げた。

「聞け! 本日より、労働規定を変更する!」

ざわめきが広がる。

「ノルマを達成した班には、その日の夕食に『肉』と『酒』を支給する! さらに、良質な鉄鉱石を掘り当てた者には、成果報酬として『銅貨』を支払う!」

静寂。 誰もが、自分の耳を疑っていた。 奴隷同然の自分たちに、報酬が出る?

「嘘だ! どうせ俺たちを騙して……」

一人の男が叫んだ。 私は無言で、荷台から干し肉の塊を掴み取り、その男に向かって放り投げた。

男は慌ててそれを受け取り、信じられないという顔で匂いを嗅ぎ、そしてかぶりついた。 涙を流しながら、獣のように肉を貪る。

その姿が、何よりの証明だった。

「嘘ではない。これは契約だ」

私は宣言した。

「良い鉄をよこしなさい。そうすれば、良い飯を食わせてやる。単純な取引だ。……私の計算では、貴方たちが本気を出せば、今の三倍の生産量は出せるはず」

「……三倍だと?」

「ええ。それとも、貴方たちは本当に、鞭で打たれなければ動けない家畜に成り下がったのですか?」

挑発的な言葉。 男たちの目に、怒りと、そしてプライドの火が灯る。

「……ふざけんな。俺たちは彩(サイ)の職人だ。良い鉄なんざ、いくらでも掘ってやらぁ!」

「酒だ! 酒のためなら、山一つ削ってやるよ!」

歓声が上がった。 つるはしを握る手に、力が戻る。 先ほどまでの死んだような作業音が、リズミカルで力強い金属音へと変わっていく。

監視隊長は呆然と立ち尽くしていた。

「な、なんてことを……奴隷に金を与えるなど、前例がない!」

「前例がないなら、今作りました」

私は彼に冷たい視線を向けた。

「貴方もです、隊長。彼らが働けば、貴方の評価も上がる。鞭を振るってカロリーを消費するより、彼らの体調管理と在庫チェックに頭を使いなさい。……でないと、貴方の食事も減らしますよ?」

          ◇

その夜。 エイアン将軍の寝所。

私は薄絹の寝間着一枚を纏い、天蓋付きのベッドに腰掛けていた。

昼間の「管理者」としての顔は捨て去り、今は「月華」という役を演じる女優の時間だ。

「……聞いたぞ」

湯浴みを終えたエイアンが入ってきた。 濡れた髪を拭いながら、彼は私をねめつけるように見た。

「後宮の予算を使い込んだそうだな。しかも、ドレスではなく、奴隷への餌代に消えたと」

怒っているようにも、呆れているようにも見える。

「はい。ですが、餌ではありません。燃料費です」

私はベッドから降り、彼に近づいた。 そして、慣れない手つきで彼の上着を受け取り、椅子にかける。

「私の試算通りならば、明日には第一便が届きます。通常の二倍の純度の鉄が」

「……お前という女は、本当に可愛げがないな」

エイアンはため息をつき、乱暴に私を抱き寄せた。 冷たい身体。 けれど、昨日よりは少しだけ、彼の体温が上がっている気がした。

「昼間は好きにしろと言ったが、限度がある。……奴隷を甘やかせば、いずれ反乱の種になるぞ」

「満たされた人間は反乱しません。反乱するのは、奪われた人間だけです。……かつての、私たちのように」

私の言葉に、エイアンの腕に力がこもった。

「……皮肉か」

「事実です」

彼は黙って私をベッドへ押し倒した。 視線が絡み合う。 彼の瞳の奥に、亡き恋人の面影を探す色が見える。

「……月華」

彼は私を呼び、唇を重ねてくる。 私は抵抗しなかった。 これは契約。 昼間の権限を得るための、夜の労働。

(感情を殺しなさい。私はただの装置。彼に安らぎを与えるための、生体人形)

心の中で計算式を唱える。 心拍数、上昇。 体温、上昇。 彼の呼吸のリズムに合わせて、私は「求められる反応」を完璧に演じてみせる。

「……エイアン様」

甘い声で名を呼ぶと、彼は苦しげに顔を歪めた。

「ああ……月華。俺を置いていかないでくれ……」

彼は私に縋(すが)りつくように、激しく、そして哀れなほどに愛を求めてきた。 それは情事というより、嵐の中で互いの体温を分け合う遭難者のようだった。

行為のあと、彼は泥のように眠りに落ちた。 久しぶりの熟睡なのだろう。 寝息は深く、穏やかだ。

私は月明かりの中で、隣に眠る男の顔を見つめた。

この男は、私の国を滅ぼした仇敵。 憎むべき相手。 なのに、どうしてだろう。

「……馬鹿な人」

私は指先で、彼の眉間のしわをそっと撫でた。

こんなにも脆い生き物が、数万の軍を率いている。 彼が倒れれば、この北嶺は崩壊し、私の命も終わる。

(投資対象としては、ハイリスクすぎますね)

私は小さく苦笑し、自分も毛布にくるまった。 明日も早い。 鉄が届けば、次は加工ラインの再編だ。 やるべきことは山積みだった。

          ◇

翌朝。

鍛冶場に、荷馬車が到着した。 積荷の覆いが外された瞬間、鍛冶長のガンツが歓声を上げた。

「こいつはすげぇ! 黒鉄(くろがね)だ! しかも、最高の純度だぞ!」

太陽の光を浴びて鈍く輝く鉄鉱石。 それは、昨日までの泥混じりの屑鉄とは別物だった。

「へっ、あの嬢ちゃん、本当にやりやがったな」

ガンツはニヤリと笑い、槌(つち)を振り上げた。

「野郎ども! 極上の素材が届いたぞ! 腕によりをかけて、将軍様のために最高の剣を打ち直せ!」

「おう!!」

鍛冶場に、活気ある金属音が響き渡る。 カン、カン、カン! それは、死にかけていた城塞が、再び心臓を動かし始めた音だった。

城壁の上からその様子を眺めていた私は、手元の帳簿に新たな数字を書き込んだ。

【鉄鉱石供給量:前日比300%増】 【武器損耗率:予測値40%低下】 【初期投資回収期間:10日】

「……黒字ですね」

私はペンを置き、冷たい北風の中で微かに微笑んだ。

だが、私はまだ知らなかった。 この成功が、北嶺の外にいる「ハイエナ」たちの注意を引いてしまったことを。

城門の影で、一人の商人が忌々しげに私を見上げていた。

「……ちっ。妙な知恵者が入り込んだようだな。これじゃあ、ボロ儲けができなくなる」

商人は懐から伝書鳩を取り出し、空へと放った。 その足には、帝都の有力者に宛てた密告書が結ばれていた。

私の「兵站改革」は、まだ始まったばかり。 そしてそれは、帝国を食い物にする腐敗した権力者たちへの、宣戦布告でもあったのだ。
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