誰かの代わりになれるほど、私の人生は安くないです!!

六角

文字の大きさ
14 / 20

【第14話】凍てつく城壁の代償

しおりを挟む
勝利の美酒は、存外に苦い味がした。

戦いが終わり、一夜が明けた北嶺(ホクレイ)城塞。 昨日の喧騒が嘘のように、城内は重苦しい静寂と、鼻をつく異臭に包まれていた。

鉄の錆びた匂い。 焦げた肉の匂い。 そして、雪解け水と混じり合った、大量の血の生臭さ。

「……損害状況の報告を」

私は執務室ではなく、城壁の瓦礫の上に腰を下ろし、副官からの報告を受けていた。 机に向かっている暇などない。現場は今、パンク寸前なのだから。

「はっ。味方の死者、三八〇名。重軽傷者、一二〇〇名。……城壁の損壊箇所は一五箇所。特に北門周辺は半壊状態で、修復には数ヶ月を要するかと」

「……死者が三八〇、ですか」

私は手元の帳簿にペンを走らせた。 一五万の敵を相手にして、この数字は奇跡的だ。 だが、数字の裏には一人一人の人生があり、家族がいる。 彼らへの遺族年金、埋葬費、そして労働力の損失。 胸が痛むのを、冷徹な計算で押し殺す。

「敵の被害は?」

「死者、推定一万以上。……捕虜として収容した者は、約五〇〇〇名です」

「五〇〇〇名……」

私はペンを止めた。 多すぎる。 昨日の「戦わずして勝つ」作戦で、敵の多くは逃散したが、それでも行き場を失った者たちがこれほど残ったのか。

「食料はどうしますか、凜様。……正直、味方の分すらギリギリなのに、捕虜に食わせる余裕など……」

副官が憎々しげに、広場に座り込んだ捕虜の群れを睨んだ。 彼らは鬼牙(キガ)族の生き残り。 昨日まで殺し合いをしていた敵だ。兵士たちが彼らにパンを分け与えるのを嫌がるのは当然の感情だ。

「……殺しますか?」

副官が低い声で尋ねた。

「いいえ。……昨日も言いましたが、彼らは貴重な『資源』です」

私は立ち上がり、瓦礫の山を降りていった。

「ついてきなさい。……『資源』の活用法を教えます」

          ◇

広場には、武装解除された捕虜たちが、虚ろな目で座り込んでいた。 彼らの服はボロボロで、手足は凍傷で黒ずんでいる。 誇り高き騎馬民族の面影はない。ただの、飢えた難民の群れだ。

私が近づくと、彼らは怯えたように身を縮めた。 私が昨日、あの「連弩車」で仲間を蜂の巣にした「魔女」だと知っているからだ。

「……腹は減っていますか?」

私が問いかけると、一人の若者がおずおずと顔を上げた。

「……食い物を、くれるのか? 殺すんじゃなくて?」

「条件付きです」

私は懐から、一枚の紙を取り出した。

「北門の瓦礫撤去。城壁の修復。そして、死体の埋葬。……これらが今日中に終われば、夕食に温かいシチューとパンを支給します」

「……労働、か」

「はい。働かざる者食うべからず。これは帝国のルールではなく、私のルールです」

捕虜たちがざわめく。 彼らにとって、敗者は殺されるか、奴隷として売り飛ばされるのが常識だ。 「労働の対価として食事を得る」という契約は、あまりに文明的すぎて理解が追いつかないようだ。

「……俺たちの王を殺した女の施しなど、受けられるか!」

一人の強情そうな男が叫び、唾を吐いた。

「そうですか。では、貴方はそこで座っていてください。……カロリーを消費しなければ、死ぬのも遅くなりますから」

私は冷淡に言い捨て、他の捕虜たちに向き直った。

「他に、死にたい方は? ……生きたい方は、あちらのスコップを持って作業に向かいなさい」

沈黙。 やがて、一人が立ち上がり、フラフラとスコップを手に取った。 それを合図に、二人、三人と続く。 プライドよりも空腹。 王への忠誠よりも、温かいシチュー。

「……ちっ、覚えてろよ」

最初に反抗した男も、結局は舌打ちしながら列に加わった。

「……計算通りですね」

私がほっと息をついた時だった。

「凜! 大変だ!」

ソフィアが、ドレスの裾を泥だらけにして走ってきた。 彼女の顔色は、昨日の激戦の時よりも悪い。

「どうしました、ソフィア様。怪我でも?」

「違うの! ……水よ! 水が溢れてきたの!」

「水?」

「地下倉庫よ! 小麦と塩を隠していた、あの一番下の倉庫!」

心臓が、ドクンと嫌な音を立てた。

「……まさか」

私は城壁を見上げた。 そこには、私が敵を防ぐために作らせた、巨大な「氷の壁」があった。 昨日の戦闘中、大量の水と油を撒いて凍らせた、あの滑り台だ。

だが今は、戦闘の熱気と、今日の日差しの暖かさで、その氷が急速に溶け出している。 大量の融解水。 それが排水溝を流れ……いや、排水溝は瓦礫と死体で詰まっているはずだ。

行き場を失った水は、どこへ向かうか。 低い場所。 つまり、地下倉庫だ。

「……自業自得、というやつですか」

私は唇を噛んだ。 自分の策が、自分たちの首を絞めている。 地下には、虎の子の食料備蓄がある。あれが水浸しになれば、小麦は腐り、塩は溶けてなくなる。 そうなれば、この五〇〇〇人の捕虜も含め、全員が飢え死にする。

「……急ぎます! 人手を集めて!」

私はソフィアと共に走り出した。

          ◇

地下への階段を駆け下りると、そこはすでに水浸しだった。 くるぶしまである冷たい泥水が、チャプチャプと音を立てる。

「くそっ、止まらねぇ!」 「土嚢(どのう)だ! 土嚢を持ってこい!」

ハク・エイアン将軍が、泥水の中で叫んでいた。 彼は上着を脱ぎ捨て、シャツ一枚で、水が噴き出す壁の亀裂を板で押さえている。 その腕の筋肉が、限界まで隆起している。

「将軍!」

「凜か! ……マズいぞ。排水路がパンクした。このままだと一時間で倉庫が水没する!」

倉庫の扉の隙間からは、すでに水が侵入し始めていた。 中には、先日命がけで密輸した小麦袋と、塩の樽が積まれている。

「……小麦を運び出しましょう! 上の階へ!」

「人手が足りん! 兵士たちは怪我をしているか、城壁の警備に出払っている!」

エイアンが歯噛みする。 確かに、今の城内に、重い小麦袋を何百個も担いで階段を往復できる元気な人間は残っていない。

いや、いる。 元気ではないが、数はいる。

「……います。人手なら、上に五〇〇〇人ほど」

「……捕虜か? 馬鹿な、奴らにこんな重要な場所を見せるわけにはいかん! それに、武器を持たせれば反乱を起こすぞ!」

「武器は持たせません。持たせるのは『小麦袋』です」

私は決断した。 リスクはある。だが、食料を失うリスクに比べればマシだ。

「ソフィア様、捕虜たちをここへ! 『小麦を運べば、その一割を報酬としてやる』と伝えなさい!」

「えっ? 一割も?」

「背に腹は代えられません! 急いで!」

          ◇

数分後。 地下通路に、捕虜たちが雪崩れ込んできた。 彼らは最初、薄暗い地下に連れてこられて処刑されるのかと怯えていたが、山積みの小麦袋を見た瞬間、目の色が変わった。

「……こいつを運べば、食えるのか?」

「そうです! 濡れる前に運び出しなさい! 貴方たちの明日の飯です!」

私が叫ぶと、彼らは我先にと小麦袋に飛びついた。

「よこせ! 俺が運ぶ!」 「どけ! これは俺の飯だ!」

争いになりかけるのを、エイアンが一喝する。

「並べェェッ! バケツリレーだ! 一人で運ぶより列を作ったほうが早い!」

流石は将軍。 その怒号一つで、無秩序だった群衆がビシッと整列する。 敵兵たちも、かつて戦場で恐れた「軍神」の命令には、本能的に従ってしまうようだ。

「はい、次!」 「落とすなよ!」 「重ぇ……! でも、美味そうだ……」

奇妙な光景だった。 北嶺の兵士と、鬼牙族の捕虜が、一つの列を作って小麦袋を手渡ししている。 昨日までは殺し合っていた者同士が、今は「食料を守る」という一点で協力している。

私は水に浸かりながら、その作業を指揮した。 冷たい水が足の感覚を奪っていくが、心は熱かった。

(……これは、希望かもしれません)

憎しみも、恐怖も、「食」の前では無力化できる。 共通の利益(ベネフィット)があれば、人は手を取り合える。 これが、私の目指す「経済による支配」の第一歩だ。

「……凜、こっちは片付いたぞ!」

エイアンが、最後の塩樽を抱えて階段を上がってきた。 全身泥だらけだが、その顔は少年のように晴れやかだ。

「被害状況は?」

「下段の小麦が一割ほど濡れましたが、乾燥させれば飼料には使えます。……主要な備蓄は、守りきりました」

「上出来だ。……お前の機転に救われたな」

彼は塩樽を床に下ろし、濡れた私の髪を拭ってくれた。 その手も泥だらけだったが、私は気にならなかった。

「……捕虜たちも、よく働きました。約束通り、彼らに報酬を出さなければ」

「ああ。……今日の夕飯は、久しぶりに豪華になりそうだ」

私たちは顔を見合わせて笑った。 泥と汗の匂いがする、最高の勝利の笑顔だった。

          ◇

その夜。 城内の広場では、巨大な焚き火が焚かれ、宴が開かれていた。 宴といっても、酒はない。 あるのは、大量の小麦で作った「すいとん」入りのスープと、焼いたパンだけだ。

だが、その場の熱気はどんな宮廷の舞踏会よりも高かった。

「食え食え! おかわりはあるぞ!」 「あんた、昼間はよく働いたな。これ、俺のパン半分やるよ」 「おお、すまねぇ……! 南の人間にも、いい奴がいるんだな」

北嶺の兵士と、鬼牙族の捕虜が、同じ焚き火を囲んで食事をしている。 言葉は通じにくいが、身振り手振りで笑い合っている者もいる。 今日の「共同作業」が、彼らの間の壁を少しだけ壊したのだ。

私は城壁の上から、その光景を眺めていた。 隣には、エイアンがいる。

「……信じられんな」

彼が呟いた。

「俺はずっと、奴らを殺すことしか考えていなかった。……だが、こうして飯を食わせれば、奴らもただの人間だ」

「胃袋を掴むのは、心臓を掴むより効果的ですから」

私は夜風に当たりながら言った。

「彼らを国へ帰せば、この『味』を伝えてくれるでしょう。北嶺は豊かな土地だ、攻めるより交易をしたほうが得だ、と。……それが、一〇〇年続く平和の礎になります」

「……気が長い話だな」

エイアンは苦笑し、そして懐から何かを取り出した。

「……凜。手を出せ」

「はい?」

私が手を出すと、彼は私の掌に、小さなものを乗せた。

それは、指輪だった。 銀の台座に、不格好に削られた、歪な形の赤い石が嵌められている。

「……これは」

「あの時の、ルビーだ」

彼が言った。 籠城中、私が砕いて兵士たちに配った「赤い飴」。 その欠片を、彼が集めていたのだ。

「黒鉄村のガンツに頼んで、指輪にしてもらった。……石が小さすぎて、あまり見栄えは良くないが」

彼は照れくさそうに頭を掻いた。

「……私の、母の形見です」

私は指輪を光にかざした。 かつては大粒で、完璧なカットが施されていた国宝級の宝石。 今は傷だらけで、小さくて、形も悪い。

でも。 焚き火の光を受けて輝くその赤色は、以前よりもずっと深く、温かく見えた。 そこには、兵士たちの命を救った物語と、エイアンの想いが詰まっているからだ。

「……はめてくれるか?」

エイアンが私の手を取り、震える指先で指輪を薬指に通した。 サイズは少し大きい。 でも、不思議なくらい、私の指に馴染んだ。

「……凜。改めて、契約を更新したい」

彼は私の目を見つめ、真剣な表情で言った。

「俺は、お前の『身代わり』ではない。……お前自身を、俺の妻として迎えたい。……俺の兵站だけでなく、俺の人生そのものを、管理してくれないか」

それは、プロポーズだった。 不器用で、ビジネス用語が混じった、彼らしい愛の言葉。

私は涙がこぼれないように、上を向いた。 星空が滲んで見える。

「……条件があります」

私は鼻をすすりながら言った。

「……何だ? 何でも言え」

「私の人生は、高いですよ。……貴方の給料だけでは払いきれないかもしれません」

「借金してでも払う。……一生かけてな」

「それから……ヒロインが他の男性と親密になるのは禁止ですが、貴方が他の女性によそ見をするのも厳禁です。……もし浮気したら、兵糧攻めにしますから」

「……肝に銘じる」

エイアンは苦笑し、私を抱き寄せた。 彼の胸の中で、私は指輪をはめた手を握りしめた。 冷たい銀の感触と、彼から伝わる体温。

亡国の姫として、身代わりとして連れてこられたこの城。 最初は地獄だと思った。 でも今は、ここが私の居場所だ。 私が守り、私が育て、そして私が愛する場所。

「……契約成立です。ハク・エイアン将軍」

私たちは、焚き火の光と星空の下で、長い口づけを交わした。 広場から聞こえる兵士たちの歌声が、私たちの結婚行進曲のようだった。

          ◇

数日後。 城内の水は引き、復興作業が本格化していた。

地下倉庫の小麦は無事乾燥され、捕虜たちの労働力によって城壁の修復も驚くべき早さで進んでいた。 全てが順調に見えた。

だが。 私の「勘」――長年培ってきたリスク計算の本能が、再び警報を鳴らし始めていた。

「……凜、どうした?」

執務室で、私が難しい顔で手紙を見つめていると、エイアンが声をかけてきた。

「……帝都からの、急使です」

私は手紙を彼に手渡した。 封蝋には、皇帝直属の諜報機関の紋章。

「……『祝・北嶺大勝利。つきましては、将軍ハク・エイアンおよび、その軍師・凜の功績を称え、帝都にて謁見(えっけん)を賜る』……だと?」

エイアンが読み上げ、眉をひそめた。

「一見すると、ただの褒賞授与の招待状です。ですが……」

「……罠だな」

「はい。間違いなく」

私は地図を見た。 北嶺の勝利は、帝都の権力者たちにとって「予想外の脅威」となったのだ。 ボルグの報告書では「無能な将軍」となっていたはずのエイアンが、一五万の敵を撃退した。 その矛盾に、彼らは気づいた。 そして、その背後にいる「誰か」の存在にも。

「……呼び出して、殺す気か。あるいは、人質にする気か」

「どちらにせよ、拒否権はありません。拒否すれば『謀反』とみなされ、今度は帝国軍が攻めてきます」

私は立ち上がり、窓の外を見た。 北の脅威は去った。 だが、今度は南からの黒い影が、私たちを飲み込もうとしている。

「……行こう、凜」

エイアンが私の肩に手を置いた。

「敵が鬼牙族だろうが、皇帝だろうが関係ない。……俺たちの城と、俺たちの愛を邪魔する奴は、すべて叩き潰す」

「……野蛮ですね。叩き潰すのではなく、『買収』するか『破産』させるのです」

私はニヤリと笑った。 指にはめたルビーの指輪が、キラリと光った。

「帝都の腐った貴族どもに、私の『計算』の恐ろしさを教えてあげましょう。……追加料金、たっぷりと請求してやりますわ」

馬車の準備が整う。 私たちは、住み慣れた北嶺を離れ、魔窟・帝都へと向かう旅に出る。 そこには、戦場よりも恐ろしい陰謀と、欲望の渦が待ち受けている。

だが、怖くはない。 私の隣には最強の剣があり、彼には最強の頭脳がついているのだから。

「……行ってきます。私たちの未来を、勝ち取りに」

馬車が動き出す。 背後で、北嶺の山々が、私たちを見送るように白く輝いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

『婚約破棄されましたが、孤児院を作ったら国が変わりました』

ふわふわ
恋愛
了解です。 では、アルファポリス掲載向け・最適化済みの内容紹介を書きます。 (本命タイトル①を前提にしていますが、他タイトルにも流用可能です) --- 内容紹介 婚約破棄を告げられたとき、 ノエリアは怒りもしなければ、悲しみもしなかった。 それは政略結婚。 家同士の都合で決まり、家同士の都合で終わる話。 貴族の娘として当然の義務が、一つ消えただけだった。 ――だから、その後の人生は自由に生きることにした。 捨て猫を拾い、 行き倒れの孤児の少女を保護し、 「収容するだけではない」孤児院を作る。 教育を施し、働く力を与え、 やがて孤児たちは領地を支える人材へと育っていく。 しかしその制度は、 貴族社会の“当たり前”を静かに壊していった。 反発、批判、正論という名の圧力。 それでもノエリアは感情を振り回さず、 ただ淡々と線を引き、責任を果たし続ける。 ざまぁは叫ばれない。 断罪も復讐もない。 あるのは、 「選ばれなかった令嬢」が選び続けた生き方と、 彼女がいなくても回り続ける世界。 これは、 恋愛よりも生き方を選んだ一人の令嬢が、 静かに国を変えていく物語。 --- 併せておすすめタグ(参考) 婚約破棄 女主人公 貴族令嬢 孤児院 内政 知的ヒロイン スローざまぁ 日常系 猫

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛

三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。 ​「……ここは?」 ​か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。 ​顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。 ​私は一体、誰なのだろう?

処理中です...