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第十四話 祝福を失った子供と、泣かない令嬢
城下町の喧騒から外れた、薄暗い路地裏。 腐った木材と湿った土の匂いが漂う貧民街の一角に、その古びた孤児院はありました。
「……ここか」
ヴァレリウス様が足を止め、錆びついた鉄柵に手をかけました。 普段の冷静な彼でさえ、その表情は険しく強張っています。 建物からは、子供たちの笑い声など一切聞こえません。 ただ、重く沈殿したような静寂だけが漂っていました。
私たちは扉を叩き、出てきた年老いたシスターに事情を話して中に入れてもらいました。 案内されたのは、粗末なベッドが並ぶ大部屋でした。
「……なんてこと」
私は思わず口元を手で覆いました。
そこには、十歳にも満たない子供たちが、五、六人ほど横たわっていました。 まるで人形のようにピクリとも動かず、肌は陶器のように白く、呼吸をしているのかどうかも分からないほど浅いのです。 ただ眠っているだけではありません。 『生気』そのものが、ごっそりと抜き取られているような、空虚な姿でした。
「この子たちは、もともと体が弱かったのですが……神殿からの祝福が止まって以来、急にパタリと倒れてしまいまして」
シスターが涙を拭いながら語ります。
「昨日、空に青い光が戻った時、私たちは喜びました。これでこの子たちも目覚めると。……でも、あの子たちには光が届かなかったのです」
「……光が、届かない?」
ヴァレリウス様が無言で一人の少年の枕元に歩み寄り、その小さな手首を取りました。 そして、懐から取り出したペンのような形状の魔力測定器を当てます。
ピピッ、ピピッ……ピーーー。
測定器が、不吉な電子音と共に赤いランプを点滅させました。
「……魔力反応、ゼロ。いや、マイナスだ」
ヴァレリウス様の声が、凍えるように低くなりました。
「通常、人間は生まれながらに微量の魔力(オド)を持っている。だが、この子供たちはそれすらも失っている。……『器』の中身が、最後の一滴まで絞り取られた状態だ」
「絞り取られた……?」
背筋が震えました。 祝福停止は、蛇口を閉める行為です。 水が入ってこなくなるだけなら、元々あった水でしばらくは耐えられるはず。 けれど、この子たちは違う。 体の中にあった水分まで、ポンプで無理やり吸い出されたような状態なのです。
「これは、単なる供給停止の余波ではない」
ヴァレリウス様は、少年の腕に浮き出ていた小さな痣のような痕を見つけ、目を細めました。 それは、見覚えのある紋様でした。
「……契約印の跡だ。それも、極めて悪質な『強制譲渡契約』の」
「譲渡契約……まさか、自分たちの命を差し出す契約をさせられたのですか!?」
「いいや。この子たちに契約能力はない。……誰かが、保護者を騙って勝手に契約を結び、彼らを『生きた魔力電池』として利用したんだ」
ドガァッ!
鈍い音が響きました。 見ると、ヴァレリウス様が壁を拳で叩いていました。 常に冷静沈着な彼が、感情を露わにして怒っています。
「許せん……。法の番人として、いや、一人の人間として。弱い者から搾取し、未来ある子供たちの時間を奪うなど、断じて許されることではない」
彼の拳が震えているのを見て、私は静かに少年のベッドの横に膝をつきました。 そして、冷たくなった小さな手を、自分の両手で包み込みました。
可哀想に。 痛かったでしょう。怖かったでしょう。 涙が出そうになりました。 でも。
私は、ぐっと奥歯を噛み締め、涙を飲み込みました。
「……ルシエル?」
ヴァレリウス様が、驚いたように私を見下ろしました。 私が泣くと思ったのでしょう。
私は顔を上げ、彼を真っ直ぐに見つめました。
「泣きませんわ。……私がここで泣いても、この子たちの魔力は戻りませんもの」
私は少年の手を優しく布団に戻し、立ち上がりました。 ドレスの裾を払い、キッと前を見据えます。
「奪われたのなら、取り返すだけです。……それも、たっぷりと『延滞利息』と『損害賠償』を上乗せして!」
私の言葉に、ヴァレリウス様は一瞬目を見開き、それからふっと肩の力を抜きました。 その瞳には、私への呆れではなく、深い敬意の色が宿っていました。
「……君は、本当に強いな」
「強くなんてありません。欲深いだけですわ。私は、誰かの涙の上で自分が幸せになるなんて、絶対に御免ですもの」
「そうか。……ならば、私も全力を尽くそう。君の『欲』を満たすためにな」
ヴァレリウス様は、再び測定器を手に取り、今度は部屋全体の魔力残滓をスキャンし始めました。 感情的な怒りを、冷徹な捜査へのエネルギーへと変換したのです。
「痕跡を追う。……この強制契約には、必ず『受益者』が存在する。吸い上げた魔力の送り先だ」
「先日の『離宮』ではありませんの?」
「離宮はあくまで『貯蔵庫』だ。そこからさらに、個別の端末へと分配されている可能性がある。……ルシエル、その少年の契約印の跡を、魔力紙に写し取ってくれ」
「はい!」
私たちは手分けして証拠収集を開始しました。 シスターの話によれば、数ヶ月前に「王宮からの支援」と称して、立派な身なりの男たちが子供たちに「お守り」を配っていったそうです。 そのお守りこそが、魔力を吸い上げる契約媒体だったのでしょう。
「……見ろ、ルシエル」
写し取った契約印の紋様を解析していたヴァレリウス様が、一枚の書類を私に見せました。
「この紋様の術式構成……先日、君が燃やされた帳簿の革片から見つけた『ゲオルグ補佐官』のサインに付随していた魔力波形と、完全に一致する」
「やはり……あの男が!」
ゲオルグ。 レオンハルト王太子の知恵袋であり、今回の黒幕の一人と目される男。 彼は今、王宮憲兵隊に拘束されていますが、まだ完全には自白していないと聞いています。
「彼は黙秘を続けているが、この証拠があれば『契約詐欺』および『未成年者略取』で追及できる。……だが、それだけじゃない」
ヴァレリウス様は、さらに深い闇を見つめるように言いました。
「この契約印には、もう一つ、隠されたパス(経路)がある」
「パス?」
「ああ。吸い上げた魔力の一部が、ゲオルグを経由して……『ある場所』に送信されている」
彼は窓の外、王宮の方角を指差しました。 しかし、それは王太子の離宮ではなく、もっと別の場所でした。
「王宮の地下……『旧王家の宝物庫』だ」
「宝物庫? どうしてそんな場所に?」
「そこには、建国期に封印された『禁忌の魔道具』が眠っていると言われている。……もし、彼らが子供たちの命を削って集めた魔力で、その封印を解こうとしているとしたら」
事態は、単なる汚職や派閥争いを超え、国家の根幹に関わる危機へと発展しようとしていました。 しかし、恐怖はありませんでした。 怒りが、私を突き動かしていたからです。
「……行きましょう、ヴァレリウス様」
私は拳を握りしめました。
「ゲオルグという男に、契約の恐ろしさを教えて差し上げないと。……子供の貯金箱に手を出すような大人は、破産するまで追い詰めますわよ」
「ああ。地獄の果てまで監査してやろう」
ヴァレリウス様が、氷のように冷たく、しかし炎のように熱い笑みを浮かべました。
私たちはシスターに「必ず助けます」と約束し、孤児院を後にしました。 外に出ると、夕日が街を赤く染めていました。
「ルシエル。……手」
「え?」
ヴァレリウス様が、無言で右手を差し出してきました。 視線は明後日の方向を向いています。
「……まだ、監査中だ。はぐれるな」
「ふふ。はい、監査官様」
私はその手をしっかりと握り返しました。 彼の掌の温もりが、私の冷えた怒りを、正義への情熱に変えてくれるようでした。
私たちは手を繋いだまま、王宮へと急ぎました。 待っていろ、ゲオルグ。 そして、その背後にいる者たちよ。 悪役令嬢と氷の法務官が、あなたたちの『契約違反』を、きっちりと清算しに行きますわ!
「……ここか」
ヴァレリウス様が足を止め、錆びついた鉄柵に手をかけました。 普段の冷静な彼でさえ、その表情は険しく強張っています。 建物からは、子供たちの笑い声など一切聞こえません。 ただ、重く沈殿したような静寂だけが漂っていました。
私たちは扉を叩き、出てきた年老いたシスターに事情を話して中に入れてもらいました。 案内されたのは、粗末なベッドが並ぶ大部屋でした。
「……なんてこと」
私は思わず口元を手で覆いました。
そこには、十歳にも満たない子供たちが、五、六人ほど横たわっていました。 まるで人形のようにピクリとも動かず、肌は陶器のように白く、呼吸をしているのかどうかも分からないほど浅いのです。 ただ眠っているだけではありません。 『生気』そのものが、ごっそりと抜き取られているような、空虚な姿でした。
「この子たちは、もともと体が弱かったのですが……神殿からの祝福が止まって以来、急にパタリと倒れてしまいまして」
シスターが涙を拭いながら語ります。
「昨日、空に青い光が戻った時、私たちは喜びました。これでこの子たちも目覚めると。……でも、あの子たちには光が届かなかったのです」
「……光が、届かない?」
ヴァレリウス様が無言で一人の少年の枕元に歩み寄り、その小さな手首を取りました。 そして、懐から取り出したペンのような形状の魔力測定器を当てます。
ピピッ、ピピッ……ピーーー。
測定器が、不吉な電子音と共に赤いランプを点滅させました。
「……魔力反応、ゼロ。いや、マイナスだ」
ヴァレリウス様の声が、凍えるように低くなりました。
「通常、人間は生まれながらに微量の魔力(オド)を持っている。だが、この子供たちはそれすらも失っている。……『器』の中身が、最後の一滴まで絞り取られた状態だ」
「絞り取られた……?」
背筋が震えました。 祝福停止は、蛇口を閉める行為です。 水が入ってこなくなるだけなら、元々あった水でしばらくは耐えられるはず。 けれど、この子たちは違う。 体の中にあった水分まで、ポンプで無理やり吸い出されたような状態なのです。
「これは、単なる供給停止の余波ではない」
ヴァレリウス様は、少年の腕に浮き出ていた小さな痣のような痕を見つけ、目を細めました。 それは、見覚えのある紋様でした。
「……契約印の跡だ。それも、極めて悪質な『強制譲渡契約』の」
「譲渡契約……まさか、自分たちの命を差し出す契約をさせられたのですか!?」
「いいや。この子たちに契約能力はない。……誰かが、保護者を騙って勝手に契約を結び、彼らを『生きた魔力電池』として利用したんだ」
ドガァッ!
鈍い音が響きました。 見ると、ヴァレリウス様が壁を拳で叩いていました。 常に冷静沈着な彼が、感情を露わにして怒っています。
「許せん……。法の番人として、いや、一人の人間として。弱い者から搾取し、未来ある子供たちの時間を奪うなど、断じて許されることではない」
彼の拳が震えているのを見て、私は静かに少年のベッドの横に膝をつきました。 そして、冷たくなった小さな手を、自分の両手で包み込みました。
可哀想に。 痛かったでしょう。怖かったでしょう。 涙が出そうになりました。 でも。
私は、ぐっと奥歯を噛み締め、涙を飲み込みました。
「……ルシエル?」
ヴァレリウス様が、驚いたように私を見下ろしました。 私が泣くと思ったのでしょう。
私は顔を上げ、彼を真っ直ぐに見つめました。
「泣きませんわ。……私がここで泣いても、この子たちの魔力は戻りませんもの」
私は少年の手を優しく布団に戻し、立ち上がりました。 ドレスの裾を払い、キッと前を見据えます。
「奪われたのなら、取り返すだけです。……それも、たっぷりと『延滞利息』と『損害賠償』を上乗せして!」
私の言葉に、ヴァレリウス様は一瞬目を見開き、それからふっと肩の力を抜きました。 その瞳には、私への呆れではなく、深い敬意の色が宿っていました。
「……君は、本当に強いな」
「強くなんてありません。欲深いだけですわ。私は、誰かの涙の上で自分が幸せになるなんて、絶対に御免ですもの」
「そうか。……ならば、私も全力を尽くそう。君の『欲』を満たすためにな」
ヴァレリウス様は、再び測定器を手に取り、今度は部屋全体の魔力残滓をスキャンし始めました。 感情的な怒りを、冷徹な捜査へのエネルギーへと変換したのです。
「痕跡を追う。……この強制契約には、必ず『受益者』が存在する。吸い上げた魔力の送り先だ」
「先日の『離宮』ではありませんの?」
「離宮はあくまで『貯蔵庫』だ。そこからさらに、個別の端末へと分配されている可能性がある。……ルシエル、その少年の契約印の跡を、魔力紙に写し取ってくれ」
「はい!」
私たちは手分けして証拠収集を開始しました。 シスターの話によれば、数ヶ月前に「王宮からの支援」と称して、立派な身なりの男たちが子供たちに「お守り」を配っていったそうです。 そのお守りこそが、魔力を吸い上げる契約媒体だったのでしょう。
「……見ろ、ルシエル」
写し取った契約印の紋様を解析していたヴァレリウス様が、一枚の書類を私に見せました。
「この紋様の術式構成……先日、君が燃やされた帳簿の革片から見つけた『ゲオルグ補佐官』のサインに付随していた魔力波形と、完全に一致する」
「やはり……あの男が!」
ゲオルグ。 レオンハルト王太子の知恵袋であり、今回の黒幕の一人と目される男。 彼は今、王宮憲兵隊に拘束されていますが、まだ完全には自白していないと聞いています。
「彼は黙秘を続けているが、この証拠があれば『契約詐欺』および『未成年者略取』で追及できる。……だが、それだけじゃない」
ヴァレリウス様は、さらに深い闇を見つめるように言いました。
「この契約印には、もう一つ、隠されたパス(経路)がある」
「パス?」
「ああ。吸い上げた魔力の一部が、ゲオルグを経由して……『ある場所』に送信されている」
彼は窓の外、王宮の方角を指差しました。 しかし、それは王太子の離宮ではなく、もっと別の場所でした。
「王宮の地下……『旧王家の宝物庫』だ」
「宝物庫? どうしてそんな場所に?」
「そこには、建国期に封印された『禁忌の魔道具』が眠っていると言われている。……もし、彼らが子供たちの命を削って集めた魔力で、その封印を解こうとしているとしたら」
事態は、単なる汚職や派閥争いを超え、国家の根幹に関わる危機へと発展しようとしていました。 しかし、恐怖はありませんでした。 怒りが、私を突き動かしていたからです。
「……行きましょう、ヴァレリウス様」
私は拳を握りしめました。
「ゲオルグという男に、契約の恐ろしさを教えて差し上げないと。……子供の貯金箱に手を出すような大人は、破産するまで追い詰めますわよ」
「ああ。地獄の果てまで監査してやろう」
ヴァレリウス様が、氷のように冷たく、しかし炎のように熱い笑みを浮かべました。
私たちはシスターに「必ず助けます」と約束し、孤児院を後にしました。 外に出ると、夕日が街を赤く染めていました。
「ルシエル。……手」
「え?」
ヴァレリウス様が、無言で右手を差し出してきました。 視線は明後日の方向を向いています。
「……まだ、監査中だ。はぐれるな」
「ふふ。はい、監査官様」
私はその手をしっかりと握り返しました。 彼の掌の温もりが、私の冷えた怒りを、正義への情熱に変えてくれるようでした。
私たちは手を繋いだまま、王宮へと急ぎました。 待っていろ、ゲオルグ。 そして、その背後にいる者たちよ。 悪役令嬢と氷の法務官が、あなたたちの『契約違反』を、きっちりと清算しに行きますわ!
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◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
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