16 / 30
第十六話 聖女候補、逆ギレする
王宮の地下に広がる迷宮。 そこは、煌びやかな地上の喧騒とは無縁の、冷たく湿った闇の世界でした。 石造りの通路は埃っぽく、松明の明かりが頼りなく揺らめいています。
「……足元に気をつけろ。この辺りは古い罠が残っている可能性がある」
先行するヴァレリウス様が、私の手を引いて注意を促しました。 その手は温かく、暗闇に対する私の恐怖心を和らげてくれます。
「ありがとうございます、ヴァレリウス様。でも、王宮の地下にこんな場所があるなんて……まるでダンジョンのようですわ」
「ああ。建国期に作られた、王家の負の遺産だ。……まさか、こんな場所で君と『デート』の続きをすることになるとはな」
彼が少し自嘲気味に呟いたので、私はクスリと笑いました。
「ふふ、スリル満点で思い出に残りますわ。それに、吊り橋効果という恋愛テクニックもありますし」
「……吊り橋効果? 恐怖による心拍数の上昇を恋愛感情と誤認する心理現象のことか? それは誤認であって、真実の愛ではない」
「もう、理屈っぽいですわね! ドキドキすれば結果オーライですの!」
軽口を叩き合いながらも、私たちは警戒を怠らずに進みました。 やがて、通路の奥から微かな明かりと、ヒステリックな声が聞こえてきました。
「どうして開かないのよ! さっさと開きなさいよ、この役立たず!」
「リリア、落ち着け。魔力が足りないのかもしれない。……くそっ、ゲオルグのやつ、もっと質のいい魔力を集めておくべきだったんだ!」
間違いありません。 脱走したレオンハルト王太子殿下と、リリア嬢の声です。
私たちは足音を殺して近づき、角からそっと様子を窺いました。
そこは、巨大なドーム状の広間になっていました。 中央には、鈍い銀色に輝く巨大な扉――『開かずの扉』が鎮座しています。 その表面には複雑怪奇なレリーフが刻まれ、見る者を威圧するような重厚感を放っていました。
扉の前で、レオンハルト殿下は必死に何らかの術式を唱え、リリア嬢は扉をガンガンと蹴り飛ばしています。 聖女候補とは思えない、あまりにも品のない姿です。
「……あれが、彼らの成れの果てか」
ヴァレリウス様が冷ややかに呟きました。 私たちは意を決して、広間へと足を踏み入れました。
「ごきげんよう、お二人とも。随分と野蛮な開錠作業ですこと」
私の声が響くと、二人はビクリと肩を震わせ、振り返りました。
「ル、ルシエル!? それにヴァレリウス!」
殿下が驚愕の声を上げます。 リリア嬢は、私を見るなり般若のような形相になりました。 その目は血走り、綺麗に整えられていた巻き髪は乱れ、ドレスもあちこち汚れています。
「またあんた……! どこまで私の邪魔をすれば気が済むのよ!」
「邪魔ではありません。監査です。……脱獄および不法侵入の現行犯で、拘束させていただきますわ」
私が冷静に告げると、リリア嬢は「キーッ!」と奇声を上げました。
「ふざけないで! 私は聖女よ! この国の王妃になる女よ! なんであんたみたいな地味で可愛げのない女が、いつも上から目線なのよ!」
彼女は地団駄を踏みながら、溜まりに溜まった鬱憤を爆発させました。
「あんたさえいなければ! あんたが大人しく泣いて、惨めに婚約破棄されていれば、私は悲劇のヒロインとして愛されたのに! なんで笑うのよ! なんで幸せそうにしてるのよ! ムカつくのよおおお!」
ああ、なるほど。 彼女が許せなかったのは、私が『悪役令嬢』の役割を拒否したこと。 自分が輝くための引き立て役が、舞台から降りて観客席でポップコーンを食べているのが気に入らなかったのですね。
「リリア様。……幸せというのは、誰かから奪うものではなく、自分で契約して手に入れるものですわ」
「うるさい! 正論なんか聞きたくない! レオンハルト様、やっておしまいなさい!」
リリア嬢に命令され、殿下が剣を抜きました。 しかし、その切っ先は震えています。
「くっ……来るな! 私には『王権の指輪』を手に入れる権利がある! その力で、私を馬鹿にした連中を見返してやるんだ!」
「殿下。それはただの妄想です。……ゲオルグ補佐官は全て自白しましたよ」
ヴァレリウス様が静かに一歩前に出ました。 その全身から、凄まじい冷気が立ち上ります。 物理的な氷結魔法ではなく、彼自身が放つ圧倒的な『法』の威圧感です。
「あなた方は、子供たちの命を削って集めた魔力で、その扉を開けようとした。……その罪の重さを理解していますか?」
「う、うるさい! 王族である私が何をしようと勝手だ! 国のためだ!」
「いいえ。自分のためでしょう」
ヴァレリウス様は眼鏡を外し、懐へしまいました。 それは、彼が『交渉』を終え、『執行』に移る合図でした。
「抵抗するなら、実力で制圧する。……覚悟はいいですね?」
殿下がおののいて後ずさります。 勝負ありかと思われた、その時です。
リリア嬢が、不気味な笑い声を漏らしました。
「あは、あははは……! そう。自白しちゃったのね、ゲオルグ。……じゃあ、もう遠慮はいらないわね」
彼女は懐から、どす黒い輝きを放つ短剣を取り出しました。 そして、あろうことか、それを自分の腕に突き立てようとしたのです。
「なっ!?」
私たちが驚いた隙に、彼女は自らの血を短剣に吸わせ、狂ったように叫びました。
「枢機卿猊下! 約束通り、私の血を捧げます! だから力を! あの女を黙らせる力をください!」
ボォォォォォン……。
地下空間全体が重低音と共に振動しました。 リリア嬢の背後に、黒い霧のようなものが渦巻き始めます。
「……神託が下ったわ! 神は言っているの。『ルシエルを生贄に捧げよ』って!」
リリア嬢の瞳が、人間のものではない金色に染まりました。 彼女の声は、幾重にも重なった不気味な響きを帯びています。
「ルシエル……お前の指輪をよこせ。そして、お前の命も!」
「リリア様、正気ですか!? それは神ではありません、悪魔憑きですわ!」
「黙れぇぇぇ!」
リリア嬢が腕を振るうと、黒い霧が鞭のようにしなり、私めがけて襲いかかってきました。 あまりの速さに、私は反応できませんでした。 (当たる!) そう覚悟して目を瞑った瞬間。
ガキィィィン!
金属音が響き、衝撃が走りましたが、痛みはありませんでした。 恐る恐る目を開けると、私の目の前に、ヴァレリウス様が立っていました。
彼は、どこから取り出したのか、法務官に支給される護身用の細剣(レイピア)で、黒い霧の一撃を受け止めていたのです。
「……ヴァレリウス様!」
「下がっていろ、ルシエル!」
彼の手元からは、バチバチと火花が散っています。 相手の攻撃は物理的なものではなく、純粋な呪いの塊です。 剣で受け止めるだけでも、相当な負担がかかっているはずです。
「……よくも」
ヴァレリウス様が、低く唸りました。 その声は、今まで聞いたどの声よりも冷たく、そして激しい怒りに満ちていました。
「よくも、私の目の前で……彼女に触れようとしたな」
カキンッ!
彼が手首を返すと、黒い霧が弾き飛ばされました。 ヴァレリウス様は剣を構え直し、リリア嬢――いえ、何かに憑依された彼女を睨みつけました。
「リリア・フォン・エッシェンバッハ。……貴様の罪状に『公務執行妨害』と『殺人未遂』を追加する。そして……」
彼の蒼穹の瞳が、青白い光を放ち始めます。 それは、法務官としての権能を超えた、彼自身の底知れぬ魔力の輝きでした。
「私の『監査対象』を傷つけようとした罪。……万死に値すると思え」
その瞬間、地下の気温が一気に氷点下まで下がりました。 床も壁も、一瞬にして霜に覆われます。 『氷の法務官』。 その二つ名が、ただの比喩ではなかったことを、私は肌で感じていました。
「ひっ……!」
憑依されているはずのリリア嬢さえも、本能的な恐怖で顔を引きつらせました。 レオンハルト殿下に至っては、ガタガタと震えてへたり込んでいます。
「ルシエル、私の後ろから離れるな」
ヴァレリウス様は背中で私を守りながら、静かに告げました。
「ここからは……法廷闘争ではなく、殲滅戦だ」
なんて物騒なセリフでしょう。 でも、不思議と怖くはありません。 彼の背中が、世界で一番安全な場所だと知っているからです。
「はい、ヴァレリウス様! 徹底的にやりましょう! 私、応援しますわ!」
「……応援だけじゃなく、後で温かいお茶も頼む」
「もちろんです! 最高級の茶葉で淹れますわ!」
緊迫した状況なのに、私たちの間には奇妙な信頼関係と、ほんの少しの甘い空気が流れていました。 さあ、リリア様、そして枢機卿。 覚悟なさい。 愛を知った法務官は、悪魔よりも恐ろしいのですから!
「……足元に気をつけろ。この辺りは古い罠が残っている可能性がある」
先行するヴァレリウス様が、私の手を引いて注意を促しました。 その手は温かく、暗闇に対する私の恐怖心を和らげてくれます。
「ありがとうございます、ヴァレリウス様。でも、王宮の地下にこんな場所があるなんて……まるでダンジョンのようですわ」
「ああ。建国期に作られた、王家の負の遺産だ。……まさか、こんな場所で君と『デート』の続きをすることになるとはな」
彼が少し自嘲気味に呟いたので、私はクスリと笑いました。
「ふふ、スリル満点で思い出に残りますわ。それに、吊り橋効果という恋愛テクニックもありますし」
「……吊り橋効果? 恐怖による心拍数の上昇を恋愛感情と誤認する心理現象のことか? それは誤認であって、真実の愛ではない」
「もう、理屈っぽいですわね! ドキドキすれば結果オーライですの!」
軽口を叩き合いながらも、私たちは警戒を怠らずに進みました。 やがて、通路の奥から微かな明かりと、ヒステリックな声が聞こえてきました。
「どうして開かないのよ! さっさと開きなさいよ、この役立たず!」
「リリア、落ち着け。魔力が足りないのかもしれない。……くそっ、ゲオルグのやつ、もっと質のいい魔力を集めておくべきだったんだ!」
間違いありません。 脱走したレオンハルト王太子殿下と、リリア嬢の声です。
私たちは足音を殺して近づき、角からそっと様子を窺いました。
そこは、巨大なドーム状の広間になっていました。 中央には、鈍い銀色に輝く巨大な扉――『開かずの扉』が鎮座しています。 その表面には複雑怪奇なレリーフが刻まれ、見る者を威圧するような重厚感を放っていました。
扉の前で、レオンハルト殿下は必死に何らかの術式を唱え、リリア嬢は扉をガンガンと蹴り飛ばしています。 聖女候補とは思えない、あまりにも品のない姿です。
「……あれが、彼らの成れの果てか」
ヴァレリウス様が冷ややかに呟きました。 私たちは意を決して、広間へと足を踏み入れました。
「ごきげんよう、お二人とも。随分と野蛮な開錠作業ですこと」
私の声が響くと、二人はビクリと肩を震わせ、振り返りました。
「ル、ルシエル!? それにヴァレリウス!」
殿下が驚愕の声を上げます。 リリア嬢は、私を見るなり般若のような形相になりました。 その目は血走り、綺麗に整えられていた巻き髪は乱れ、ドレスもあちこち汚れています。
「またあんた……! どこまで私の邪魔をすれば気が済むのよ!」
「邪魔ではありません。監査です。……脱獄および不法侵入の現行犯で、拘束させていただきますわ」
私が冷静に告げると、リリア嬢は「キーッ!」と奇声を上げました。
「ふざけないで! 私は聖女よ! この国の王妃になる女よ! なんであんたみたいな地味で可愛げのない女が、いつも上から目線なのよ!」
彼女は地団駄を踏みながら、溜まりに溜まった鬱憤を爆発させました。
「あんたさえいなければ! あんたが大人しく泣いて、惨めに婚約破棄されていれば、私は悲劇のヒロインとして愛されたのに! なんで笑うのよ! なんで幸せそうにしてるのよ! ムカつくのよおおお!」
ああ、なるほど。 彼女が許せなかったのは、私が『悪役令嬢』の役割を拒否したこと。 自分が輝くための引き立て役が、舞台から降りて観客席でポップコーンを食べているのが気に入らなかったのですね。
「リリア様。……幸せというのは、誰かから奪うものではなく、自分で契約して手に入れるものですわ」
「うるさい! 正論なんか聞きたくない! レオンハルト様、やっておしまいなさい!」
リリア嬢に命令され、殿下が剣を抜きました。 しかし、その切っ先は震えています。
「くっ……来るな! 私には『王権の指輪』を手に入れる権利がある! その力で、私を馬鹿にした連中を見返してやるんだ!」
「殿下。それはただの妄想です。……ゲオルグ補佐官は全て自白しましたよ」
ヴァレリウス様が静かに一歩前に出ました。 その全身から、凄まじい冷気が立ち上ります。 物理的な氷結魔法ではなく、彼自身が放つ圧倒的な『法』の威圧感です。
「あなた方は、子供たちの命を削って集めた魔力で、その扉を開けようとした。……その罪の重さを理解していますか?」
「う、うるさい! 王族である私が何をしようと勝手だ! 国のためだ!」
「いいえ。自分のためでしょう」
ヴァレリウス様は眼鏡を外し、懐へしまいました。 それは、彼が『交渉』を終え、『執行』に移る合図でした。
「抵抗するなら、実力で制圧する。……覚悟はいいですね?」
殿下がおののいて後ずさります。 勝負ありかと思われた、その時です。
リリア嬢が、不気味な笑い声を漏らしました。
「あは、あははは……! そう。自白しちゃったのね、ゲオルグ。……じゃあ、もう遠慮はいらないわね」
彼女は懐から、どす黒い輝きを放つ短剣を取り出しました。 そして、あろうことか、それを自分の腕に突き立てようとしたのです。
「なっ!?」
私たちが驚いた隙に、彼女は自らの血を短剣に吸わせ、狂ったように叫びました。
「枢機卿猊下! 約束通り、私の血を捧げます! だから力を! あの女を黙らせる力をください!」
ボォォォォォン……。
地下空間全体が重低音と共に振動しました。 リリア嬢の背後に、黒い霧のようなものが渦巻き始めます。
「……神託が下ったわ! 神は言っているの。『ルシエルを生贄に捧げよ』って!」
リリア嬢の瞳が、人間のものではない金色に染まりました。 彼女の声は、幾重にも重なった不気味な響きを帯びています。
「ルシエル……お前の指輪をよこせ。そして、お前の命も!」
「リリア様、正気ですか!? それは神ではありません、悪魔憑きですわ!」
「黙れぇぇぇ!」
リリア嬢が腕を振るうと、黒い霧が鞭のようにしなり、私めがけて襲いかかってきました。 あまりの速さに、私は反応できませんでした。 (当たる!) そう覚悟して目を瞑った瞬間。
ガキィィィン!
金属音が響き、衝撃が走りましたが、痛みはありませんでした。 恐る恐る目を開けると、私の目の前に、ヴァレリウス様が立っていました。
彼は、どこから取り出したのか、法務官に支給される護身用の細剣(レイピア)で、黒い霧の一撃を受け止めていたのです。
「……ヴァレリウス様!」
「下がっていろ、ルシエル!」
彼の手元からは、バチバチと火花が散っています。 相手の攻撃は物理的なものではなく、純粋な呪いの塊です。 剣で受け止めるだけでも、相当な負担がかかっているはずです。
「……よくも」
ヴァレリウス様が、低く唸りました。 その声は、今まで聞いたどの声よりも冷たく、そして激しい怒りに満ちていました。
「よくも、私の目の前で……彼女に触れようとしたな」
カキンッ!
彼が手首を返すと、黒い霧が弾き飛ばされました。 ヴァレリウス様は剣を構え直し、リリア嬢――いえ、何かに憑依された彼女を睨みつけました。
「リリア・フォン・エッシェンバッハ。……貴様の罪状に『公務執行妨害』と『殺人未遂』を追加する。そして……」
彼の蒼穹の瞳が、青白い光を放ち始めます。 それは、法務官としての権能を超えた、彼自身の底知れぬ魔力の輝きでした。
「私の『監査対象』を傷つけようとした罪。……万死に値すると思え」
その瞬間、地下の気温が一気に氷点下まで下がりました。 床も壁も、一瞬にして霜に覆われます。 『氷の法務官』。 その二つ名が、ただの比喩ではなかったことを、私は肌で感じていました。
「ひっ……!」
憑依されているはずのリリア嬢さえも、本能的な恐怖で顔を引きつらせました。 レオンハルト殿下に至っては、ガタガタと震えてへたり込んでいます。
「ルシエル、私の後ろから離れるな」
ヴァレリウス様は背中で私を守りながら、静かに告げました。
「ここからは……法廷闘争ではなく、殲滅戦だ」
なんて物騒なセリフでしょう。 でも、不思議と怖くはありません。 彼の背中が、世界で一番安全な場所だと知っているからです。
「はい、ヴァレリウス様! 徹底的にやりましょう! 私、応援しますわ!」
「……応援だけじゃなく、後で温かいお茶も頼む」
「もちろんです! 最高級の茶葉で淹れますわ!」
緊迫した状況なのに、私たちの間には奇妙な信頼関係と、ほんの少しの甘い空気が流れていました。 さあ、リリア様、そして枢機卿。 覚悟なさい。 愛を知った法務官は、悪魔よりも恐ろしいのですから!
あなたにおすすめの小説
『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ
夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」
華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!
お前との婚約は、ここで破棄する!
もちもちほっぺ
恋愛
「公爵令嬢レティシア・フォン・エーデルシュタイン! お前との婚約は、ここで破棄する!」
華やかな舞踏会の中心で、第三王子アレクシス・ローゼンベルクがそう高らかに宣言した。
一瞬の静寂の後、会場がどよめく。
私は心の中でため息をついた。
最強の薬師、婚約破棄される〜王子様の命は私の懐の中〜
岡暁舟
恋愛
代々薬師として王家に仕えてきたボアジエ公爵家。15代当主の長女リンプルもまた、優秀な薬師として主に王子ファンコニーの体調を整えていた。
献身的に仕えてくれるリンプルのことを、ファンコニーは少しずつ好きになっていった。次第に仲を深めていき、ついに、2人は婚約することになった。だがしかし、ある日突然問題が起きた。ファンコニーが突然倒れたのだ。その原因は、リンプルの処方の誤りであると決めつけられ、ファンコニー事故死計画という、突拍子もない疑いをかけられてしまう。
調査の指揮をとったのは、ボアジエ家の政敵であるホフマン公爵家の長女、アンナだった。
「ファンコニー様!今すぐあの女と婚約破棄してください!」
意識の回復したファンコニーに、アンナは詰め寄った。だが、ファンコニーは、本当にリンプルが自分を事故死させようと思ったのか、と疑問を抱き始め、自らの手で検証を始めることにした……。
第一王子と見捨てられた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
アナトール公爵令嬢のマリアは婚約者である第一王子のザイツからあしらわれていた。昼間お話することも、夜に身体を重ねることも、なにもなかったのだ。形だけの夫婦生活。ザイツ様の新しい婚約者になってやろうと躍起になるメイドたち。そんな中、ザイツは戦地に赴くと知らせが入った。夫婦関係なんてとっくに終わっていると思っていた矢先、マリアの前にザイツが現れたのだった。
お読みいただきありがとうございます。こちらの話は24話で完結とさせていただきます。この後は「第一王子と愛された公爵令嬢」に続いていきます。こちらもよろしくお願い致します。
王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!
ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。
なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。
悪役令嬢に転生かと思ったら違ったので定食屋開いたら第一王子が常連に名乗りを上げてきた
咲桜りおな
恋愛
サズレア王国第二王子のクリス殿下から婚約解消をされたアリエッタ・ネリネは、前世の記憶持ちの侯爵令嬢。王子の婚約者で侯爵令嬢……という自身の状況からここが乙女ゲームか小説の中で、悪役令嬢に転生したのかと思ったけど、どうやらヒロインも見当たらないし違ったみたい。
好きでも嫌いでも無かった第二王子との婚約も破棄されて、面倒な王子妃にならなくて済んだと喜ぶアリエッタ。我が侯爵家もお姉様が婿養子を貰って継ぐ事は決まっている。本来なら新たに婚約者を用意されてしまうところだが、傷心の振り(?)をしたら暫くは自由にして良いと許可を貰っちゃった。
それならと侯爵家の事業の手伝いと称して前世で好きだった料理をしたくて、王都で小さな定食屋をオープンしてみたら何故か初日から第一王子が来客? お店も大繁盛で、いつの間にか元婚約者だった第二王子まで来る様になっちゃった。まさかの王家御用達のお店になりそうで、ちょっと困ってます。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
※料理に関しては家庭料理を作るのが好きな素人ですので、厳しい突っ込みはご遠慮いただけると助かります。
そしてイチャラブが甘いです。砂糖吐くというより、砂糖垂れ流しです(笑)
本編は完結しています。時々、番外編を追加更新あり。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。