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第一章 流行りますか?
第三話 流行るとモテる
しおりを挟むそれは、偶然だ。そう言ってしまえば、その通りなのだがしかし……。
中学時代、私は親友以外の友人たちに、流行り物が好きだと思われていた。別に、流行に敏感だった訳じゃない。好きな物が流行りの物だっただけだ。
友人たちの誤解を解こうとすると、『私が好きな物は流行る』を、力説しなければならない。親友以外にわかってもらえそうもないので、そんなことは出来なかった。
だから、何でも『普通』を狙ってみる事にした。
なるべく、流行りの物ではなく、『普通』だったり『標準』なものを選んでいくのだ。地味だけど堅実でなかなか悪くないと思った。
すると、『普通女子』が流行り出した。
私は、時流に乗って適度にモテた。だけど、私はモテ期の恩恵を受けることが出来なかった。何故なら、私の恋愛は長続きしないからだ。
私がおつきあいした彼氏は、みんな急にモテるようになっていく。彼氏の顔や性格、ありとあらゆるプロフィールが流行りにハマってモテるのだ。
まさか、『私の好きな物は流行る』が、『私の好きな人はモテる』になるなんて考えてもみなかった。
サッカー部員の彼氏は、サッカーブームに乗ってモテた。私より可愛い女の子に告白されて、あっさり別れを告げられた。
タイプの違う天文学部の彼氏は、流星群ブームでモテた。お互いにもっと違う出会いがあるはずだと言われて別れた。
まあ、百歩譲って、中学生の恋愛なんて、こんな感じでも不思議じゃない。
高校生にもなれば、もう少し深く相手を好きになる。もっと、お互いを思いやる気持ちだって生まれてくるものだ。
しかし、私が好きになって告白して、つきあった彼氏が、急にモテだして、浮気したり、心変わりしたので別れるというパターンを繰り返したのだった。
相手から告白してきても同じだった。私が彼を好きになっていけばいくほど、彼氏のありとあらゆるプロフィールは、モテ男の条件になっていくのだ。
だったら、誰も見向きもしない、最低最悪の男を選んでつきあってみればいいのかもしれない。
でも、無理。私が好きな理想の彼氏は、顔も性格もプロフィールだって、それなりに世間でモテる条件だからだ。
それでも、私だけを愛してくれる人がいると信じてみた。しかし、どんなに誠実だった彼氏でも、浮気されて裏切られる。その繰り返し。大学を卒業する頃には、すっかり男性不信になっていた。
理不尽で笑える……。
親友は、私が振られ続けるのを隣で見てきた。私の不思議体験を、誰よりも理解してくれた。つまり、親友も男性不信になってしまった。
中学時代、初めてつきあった彼氏が異常なくらいモテ出してた時に気がつけばよかった。何度も恋をしたが、長続きしない。
この頃になると、私はきっと生涯独身になりそうだと悟りはじめていた……。
恋愛事情だけじゃない。『私の好きな物は流行る』は、だんだんエスカレートしていった。
高校生になると、学校の食堂でお気に入りの自販機のジュースがすぐに売切れてしまう。
私が好きなコンビニのスイーツは、爆破的人気商品になった。
私の好きな惣菜パンは、パンランキング一位になって、流行の大賞を取った。
私の好きになったデザインの車は、売上げが前年より倍になった。
ホラー映画。お笑い番組。若手俳優。テレビドラマ。スマートフォンの機種。挙げればキリがない。
ただの、自意識過剰の思い込みなら良かった。世間一般の流行りなら、そんなことないと思えただろう。
でも、身近な話になればなるほど、確信に変わるのだ。
『私の好きな物は流行る』のだと……。
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