異世界転生の理由。

七瀬美織

文字の大きさ
3 / 25
第一章 流行りますか?

第三話 流行るとモテる

しおりを挟む

 それは、偶然だ。そう言ってしまえば、その通りなのだがしかし……。

 中学時代、私は親友以外の友人たちに、流行り物が好きだと思われていた。別に、流行に敏感だった訳じゃない。好きな物が流行りの物だっただけだ。
 友人たちの誤解を解こうとすると、『私が好きな物は流行る』を、力説しなければならない。親友以外にわかってもらえそうもないので、そんなことは出来なかった。
 だから、何でも『普通』を狙ってみる事にした。

 なるべく、流行りの物ではなく、『普通』だったり『標準』なものを選んでいくのだ。地味だけど堅実でなかなか悪くないと思った。

 すると、『普通女子』が流行り出した。

 私は、時流に乗って適度にモテた。だけど、私はモテ期の恩恵を受けることが出来なかった。何故なら、私の恋愛は長続きしないからだ。

 私がおつきあいした彼氏は、みんな急にモテるようになっていく。彼氏の顔や性格、ありとあらゆるプロフィールが流行りにハマってモテるのだ。

 まさか、『私の好きな物は流行る』が、『私の好きな人はモテる』になるなんて考えてもみなかった。

 サッカー部員の彼氏は、サッカーブームに乗ってモテた。私より可愛い女の子に告白されて、あっさり別れを告げられた。
 タイプの違う天文学部の彼氏は、流星群ブームでモテた。お互いにもっと違う出会いがあるはずだと言われて別れた。

 まあ、百歩譲って、中学生の恋愛なんて、こんな感じでも不思議じゃない。

 高校生にもなれば、もう少し深く相手を好きになる。もっと、お互いを思いやる気持ちだって生まれてくるものだ。

 しかし、私が好きになって告白して、つきあった彼氏が、急にモテだして、浮気したり、心変わりしたので別れるというパターンを繰り返したのだった。

 相手から告白してきても同じだった。私が彼を好きになっていけばいくほど、彼氏のありとあらゆるプロフィールは、モテ男の条件になっていくのだ。

 だったら、誰も見向きもしない、最低最悪の男を選んでつきあってみればいいのかもしれない。
 でも、無理。私が好きな理想の彼氏は、顔も性格もプロフィールだって、それなりに世間でモテる条件だからだ。

 それでも、私だけを愛してくれる人がいると信じてみた。しかし、どんなに誠実だった彼氏でも、浮気されて裏切られる。その繰り返し。大学を卒業する頃には、すっかり男性不信になっていた。

 理不尽で笑える……。

 親友は、私が振られ続けるのを隣で見てきた。私の不思議体験を、誰よりも理解してくれた。つまり、親友も男性不信になってしまった。

 中学時代、初めてつきあった彼氏が異常なくらいモテ出してた時に気がつけばよかった。何度も恋をしたが、長続きしない。

 この頃になると、私はきっと生涯独身になりそうだと悟りはじめていた……。

 恋愛事情だけじゃない。『私の好きな物は流行る』は、だんだんエスカレートしていった。

 高校生になると、学校の食堂でお気に入りの自販機のジュースがすぐに売切れてしまう。
 私が好きなコンビニのスイーツは、爆破的人気商品になった。
 私の好きな惣菜パンは、パンランキング一位になって、流行の大賞を取った。
 私の好きになったデザインの車は、売上げが前年より倍になった。
 ホラー映画。お笑い番組。若手俳優。テレビドラマ。スマートフォンの機種。挙げればキリがない。

 ただの、自意識過剰の思い込みなら良かった。世間一般の流行りなら、そんなことないと思えただろう。
 でも、身近な話になればなるほど、確信に変わるのだ。

 『私の好きな物は流行る』のだと……。









しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

王子様への置き手紙

あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯ 小説家になろうにも掲載しています。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...