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第三章 誰もいない世界から流行りますか?
第二話 忙しくしてます。
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三万年ぶりに会う神様に、『集合的無意識』の温泉から引き上げられました。玉子だったら茹で過ぎですよ~!
ふやけてドロッドロになった自分の姿を想像してました。ほら、だって三万年ぶりでしょう?
『ふむ。そうか。なるほど……』
「?」
『見てごらん』
ふわっと目の前に、特大の鏡が現れました。
「あ、二度目のカノンと同じ姿!」
私の容姿は、毛先だけがクルクル巻毛の柔らかな金髪が足先まで伸びた美女。神殿に入った頃のカナン皇女の姿でした。
深い藍色に金粉が散ったラピスラズリの瞳は、薄っすらと光を帯びています。
小さな顔に、左右対称で絶妙に整った顔に懐かしさを覚えます。薄桃色の膝丈ワンピースを着ただけですが、妙に神々しくて自分も神様になったみたいに見えます。
隣に立つ神様は、シンプルなシャツとスラックスに白衣を着た銀縁眼鏡の美丈夫です。学者肌の人にしては、背が高い無駄にガタイのいい体格です。
なんだよ! 三万年も放置しやがって、イケメン滅びろ!
神様は、私の黒い思考を感じ取ったらしいです。ニッコリ微笑んで、私の頭を両手の拳骨で挟んでグリグリしました。
「ギャア! いた、いたた、痛い!」
『こんなのでも、貴重な存在だなんて詐欺だな……はぁ』
「痛い! 痛い! ごめんなさい!」
『心のこもっていない謝罪は受けつけない!』
「痛ぁ! イケメンなんかあ~! 滅べ! ぎゃああ!」
神様は拳骨グリグリで、すっかり疲れ果てた私を置いて何処かにいきました。私は、またヒマになったのです。
さっきまでマッタリしていた場所をぼんやり眺めていると、光の温泉……じゃなくて『集合的無意識』の表面に泡の塊が出てきました。
ぽこん!
泡が割れたその弾みで、小さな水滴が数個浮かんで、フワフワと立ち昇っていきます。キラキラ光ってとてもきれいです。
ぽこん!
また泡の塊が出て来ましたが、今度は割れません。そのうち、すうっと消えてしまいました。
ぽこん!
次に出て来た泡の塊も、割れずに消えまいました。さっきのキラキラを、もう一度見たかったのに残念です。
ぽこん!
…………ぺしっ!
また泡が出て来たので、今度は泡を手のひらで思いきり叩いて割ってみました。近づいてみたら、意外と巨大で硬かったからです。
キラキラの光の粒が大量に発生して、浮かんでいきます。
ぽこん!
ぺしっ!
キラキラ。
ぽこん! ぽこん!
ぺしっ! ぺしっ!
キラキラ。キラキラ。
ぽこん!
ぺしっ!
キラキラ。
『何をしている?』
ぽこん!
「今、忙しいの!」
ぺしっ!
キラキラ。
『遊んでいるのか?』
ぽこん!
ぺしっ!
キラキラ。
「遊んでる様に見えるの?」
ぽこん、ぽこん、ぽこん!
ぺしっ、ぺしっ、ぺしっ!
キラキラ。キラキラ。キラキラ。
『見える』
「うん。見えるよね。楽しいかも。でも、コレ何かな?」
『…………』
ぽこん!
ペシッ!
キラキラ。
「あ、ずるい」
『いいだろ?』
「うーん。まあ、いいけど」
ぽこぽこぽこぽこっん!
ペシペシペシペシッツ!
キラキラキラキラキラキラキラキラ。
『なかなか面白いな』
「面白いよね」
『はははっ』
「あははは」
ぽこん!
ペシッ!
キラキラ。
「ところで、このキラキラって何かな?」
『おそらく、新しく生まれた魂だ』
「は、えっ? ええええ~!」
ペシッ!
キラキラ。
「そんな乱暴に叩き割って出すなんて大丈夫? ダメじゃないの?」
『大丈夫だろう。ダメじゃない……だろ?』
白衣の銀縁眼鏡のイケメン神様は、ニッと口の端を吊り上げるだけの、胡散臭い笑顔です。
「『集合的無意識』は、魂の生まれる場所なんですか?」
『全ては繋がっている。だから、ここから魂が生まれても、違う場所で生まれても、魂は魂だ。この場所は、繋がりを意味している場所だが、魂が生まれたからといって、別におかしな事じゃない』
「何その禅問答は?」
『ゼン? 何だそれは?』
「つまり、何かの受売りだけど、全にして個、個にして全なり……みたいな感じ?」
『それも一つの解。かもしれないな……』
ふやけてドロッドロになった自分の姿を想像してました。ほら、だって三万年ぶりでしょう?
『ふむ。そうか。なるほど……』
「?」
『見てごらん』
ふわっと目の前に、特大の鏡が現れました。
「あ、二度目のカノンと同じ姿!」
私の容姿は、毛先だけがクルクル巻毛の柔らかな金髪が足先まで伸びた美女。神殿に入った頃のカナン皇女の姿でした。
深い藍色に金粉が散ったラピスラズリの瞳は、薄っすらと光を帯びています。
小さな顔に、左右対称で絶妙に整った顔に懐かしさを覚えます。薄桃色の膝丈ワンピースを着ただけですが、妙に神々しくて自分も神様になったみたいに見えます。
隣に立つ神様は、シンプルなシャツとスラックスに白衣を着た銀縁眼鏡の美丈夫です。学者肌の人にしては、背が高い無駄にガタイのいい体格です。
なんだよ! 三万年も放置しやがって、イケメン滅びろ!
神様は、私の黒い思考を感じ取ったらしいです。ニッコリ微笑んで、私の頭を両手の拳骨で挟んでグリグリしました。
「ギャア! いた、いたた、痛い!」
『こんなのでも、貴重な存在だなんて詐欺だな……はぁ』
「痛い! 痛い! ごめんなさい!」
『心のこもっていない謝罪は受けつけない!』
「痛ぁ! イケメンなんかあ~! 滅べ! ぎゃああ!」
神様は拳骨グリグリで、すっかり疲れ果てた私を置いて何処かにいきました。私は、またヒマになったのです。
さっきまでマッタリしていた場所をぼんやり眺めていると、光の温泉……じゃなくて『集合的無意識』の表面に泡の塊が出てきました。
ぽこん!
泡が割れたその弾みで、小さな水滴が数個浮かんで、フワフワと立ち昇っていきます。キラキラ光ってとてもきれいです。
ぽこん!
また泡の塊が出て来ましたが、今度は割れません。そのうち、すうっと消えてしまいました。
ぽこん!
次に出て来た泡の塊も、割れずに消えまいました。さっきのキラキラを、もう一度見たかったのに残念です。
ぽこん!
…………ぺしっ!
また泡が出て来たので、今度は泡を手のひらで思いきり叩いて割ってみました。近づいてみたら、意外と巨大で硬かったからです。
キラキラの光の粒が大量に発生して、浮かんでいきます。
ぽこん!
ぺしっ!
キラキラ。
ぽこん! ぽこん!
ぺしっ! ぺしっ!
キラキラ。キラキラ。
ぽこん!
ぺしっ!
キラキラ。
『何をしている?』
ぽこん!
「今、忙しいの!」
ぺしっ!
キラキラ。
『遊んでいるのか?』
ぽこん!
ぺしっ!
キラキラ。
「遊んでる様に見えるの?」
ぽこん、ぽこん、ぽこん!
ぺしっ、ぺしっ、ぺしっ!
キラキラ。キラキラ。キラキラ。
『見える』
「うん。見えるよね。楽しいかも。でも、コレ何かな?」
『…………』
ぽこん!
ペシッ!
キラキラ。
「あ、ずるい」
『いいだろ?』
「うーん。まあ、いいけど」
ぽこぽこぽこぽこっん!
ペシペシペシペシッツ!
キラキラキラキラキラキラキラキラ。
『なかなか面白いな』
「面白いよね」
『はははっ』
「あははは」
ぽこん!
ペシッ!
キラキラ。
「ところで、このキラキラって何かな?」
『おそらく、新しく生まれた魂だ』
「は、えっ? ええええ~!」
ペシッ!
キラキラ。
「そんな乱暴に叩き割って出すなんて大丈夫? ダメじゃないの?」
『大丈夫だろう。ダメじゃない……だろ?』
白衣の銀縁眼鏡のイケメン神様は、ニッと口の端を吊り上げるだけの、胡散臭い笑顔です。
「『集合的無意識』は、魂の生まれる場所なんですか?」
『全ては繋がっている。だから、ここから魂が生まれても、違う場所で生まれても、魂は魂だ。この場所は、繋がりを意味している場所だが、魂が生まれたからといって、別におかしな事じゃない』
「何その禅問答は?」
『ゼン? 何だそれは?』
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『それも一つの解。かもしれないな……』
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