異世界転生の理由。

七瀬美織

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第三章 誰もいない世界から流行りますか?

第一話 暇してます。

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 ヒマだ。

 何も出来ない。

 何もする事がない。

 いっそ、発狂でも出来れば楽かも……。

 ……いえ、嘘です。

 一応、転生しました。

 この世界に、人類はいません。

 そもそも、物質世界がありせん。

 まだ、作りかけの段階で問題だらけなの為に、このままだと先に進められない世界なのだそうです。何がどう問題なのかはわかりません。

 しかし、『集合的無意識』はあります。

 『集合的無意識』の定義は、ぼんやりな私の頭脳では、理解しきれていませんが、存在しています。というか、これがこの世界の『集合的無意識』にあたるものだと、神様に説明されたので、そうだと思う事にしました。

 そして、この世界での私の役割は、特にありません。逆に、この世界は私の為にあるといえます。

 この世界は、わたしが『集団的無意識』に与える影響と仕組みを解明して、新しい世界を作る時の参考にする『実験場』にしているのだそうです。

 精神体に転生(?)した私は『集団的無意識』で、何もする事なくヒマしてます。

 実は、こうしてヒマだとグチってますが、この心境に至るまで、少々時間がかかりました。

 転生して、まず嘆き悲しみました。

 二度も自分の人生を強制終了されて、平然としていられる程、図太くも薄情でもありません。

 実験好きな神様が、呆れるほどずっと泣いてました。

 最初の転生は、地球の神様との取引でみんなが幸せになるのならばと、無理矢理自分を納得させました。

 二度目の転生は、女神様のため、自分の理想のために目標を立てて、ひたすら努力しました。

 ……ジュンイチロウ様。彼との未来を夢見てました。

 王様稼業なんか碌なもんじゃないと、お互い思っていました。直接会えるのは、年に数回でしたし、当たり障りのない内容の手紙の遣り取りしか出来ませんでした。そんな中でも親交を深めて、信頼度の高い関係になれたと思います。きっとお互いを支え合える良い夫婦になれそうだと思っていました。

 一年後の婚儀を、とても楽しみにしていました。彼に、淡いながら恋をしていたのだと気付きました。

 強制終了。

 大好きな女神様の土下座姿に、蹴りを入れたいくらいには頭にきました。

 強制終了。

 それが、自分の異能が原因だったとしても、辛く悲しかった事に変わりありません。

 強制終了。

 考える事が無くなり、ぼんやりと温泉にでも浸かるように、この『集合的無意識』の中に漂います。

 馴染む~。

 和む~。

 癒やされる~。

 何故か、私は『集合的無意識』が自分の全てを満たすモノであるかの様に感じるのです。

 何故なのか、わかりません。

 そもそも、『集合的無意識』が何かという基本的な事すら知りません。理解していませんから、考えたって無駄です。

 最初の世界で夢の中で見た、まるで銀河系のような光の粒の様に感じたモノが、あの世界の『集合的無意識』だった様です。

 二度目の世界では、『集合的無意識』を見た覚えはありません。

 三度目のこの世界の『集合的無意識』は、まるで温泉。

 光の一粒一粒が、サラサラと私の周囲を流れています。光のお風呂に入ってると、そう表現するのが一番ぴったりとはまります。

 あたたかくてサラサラしている。ゆったりとしていて、ダラダラしている。

 この中に、融けて消えてしまいたい。

 …………融けないです。

 私と『集合的無意識』を隔絶するモノは、何でしょう?

 私の意識?

 私の魂の形?

 私の本質……は、魂の形って表現に含まれるのかしら?

 つまり、知らない。理解できない。……仕方ない。

 現状を受け入れるしかない。

 この世界を管理する神様は、ここで自由にしてて。一万年くらいしたら様子を見に来るからと言い残して去って行きました。

 いっ、い~ち~ま~んね~ん?!!!

 という、私の絶叫をあっさり無視して……。

 悲しいとか寂しいとか苦しいとか、いっぱい泣いた気もします。恋しい気持ちは、何重にも封印をして、心の奥底の金庫の中に収納済みです。

 今は、すっかり慣れてしまいました。

 不思議です。精神世界に精神体で存在すると、一日のサイクルのリズムとなる、空腹も睡眠も必要ないので時間の経過を気にしません。相手がいないからか、性欲が湧くなんて事もありえません。三大欲求は、肉体有りきの話です。

 では、感情はどうかといえば、フラットです。狂ったりしてません。多分。

 初めは、色々な感情が嵐の様に心を乱していました。多分。

 時間の経過を、客観視出来ませんが、もうそろそろ、一万年くらい経っていそうです。多分。

 こんな感じに考えている時点で、狂っているのかもしれませんね。

 シミジミ。

 ああ、何もかも遠いのに、私は私のままならば、それは絶望と呼べるのかもしれないです。

 シミジミ。

 白い光に包まれながら、ヒマだから回想したり、妄想したり、つくづくヒマだ。

 シミジミ。

『君、久しぶりだね。一万年のつもりが三万年くらい経ったけど、あまり変わらないね』

 さんまんねん? 酷っ! 放置するにも程があります!

『うん。ごめん。でも、いい感じになったね。これなら大丈夫かな?』

 …………何がですか?









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