今度こそ生き延びます!私を殺した旦那様、覚悟してください

由友ひろ

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第九話婚約者(仮)

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 ルチアがプラタニアに来てから一週間、毎朝の食事のみノイアーと共に取っていたが、それ以外は完全な自由時間となっていた。

「今日こそは頑張って起きてるわ!」

 この一週間、ノイアーと話したのは「おはよう」と「行ってらっしゃい」の挨拶だけだ。ルチアとしては、これからノイアーに殺されない為にも、友好関係くらいは築いておきたいところなのだが、いかんせんノイアーは忙し過ぎた。
 それと、ゴールドフロント国王の婚約許可書はもらってきているが、いまだに婚約誓約書を取り交わしてはいないので、現在のルチアの立ち位置はエムナール家の居候である。ルチア的には、早くノイアーと婚約、結婚まで進みたいところだ。生き延びる為にも、切に願っていた。

「お嬢様、その言葉、三回目です」

 アンはルチアの髪の毛に香油を垂らし、丹念にブラッシングしながら呆れたように言う。

「だってしょうがないじゃない。お腹いっぱいになると眠くなるんですもの」
「まったく、お嬢様の胃は底なしですね」

 今日も沢山美味しいお夕飯をありがとうございます!と、ルチアは料理長のサントスに頭が上がらない。

「あら、底はあるわよ。限りなく深いだけで」
「羨ましいです。食べても贅肉にならないんですから」

 ルチアは鏡越しに、そんなの私の方が羨ましいわよ……と、アンの女性らしい体形を盗み見る。自分も、アンくらい胸が豊かならば、ノイアーももう少し早く帰宅しようと頑張るんじゃないかと思った。
 ルチアは知らないことだが、以前のノイアーは屋敷に帰ってくる方が稀で、帰れない時は軍の宿舎に寝泊まりしていた。セバスチャンなどに言わせれば、毎日どんなに遅くても帰ってくるってだけで、ルチア様効果絶大なのであった。 

「私のは体質よね。家族みんな痩せの大食いですもの。さあ、アンは先に休んでいてちょうだい。私はノイアーが帰るまで頑張って起きていますから。その為に、今日の夕飯はデザート少なめにしたんですもの」
「お嬢様、くれぐれもソファーで寝落ちは止めてくださいね。お待ちになるなら、念の為ベッドに入って」
「ベッドに入ったら寝ちゃうじゃないの」
「大丈夫です。お嬢様はベッドじゃなくても、眠くなったらどこでも寝てしまう特技をお持ちですから、どこにいても寝る時は寝ますから。それなら、あらかじめベッドにいた方がいいですよ」
「なるほど……」

 アンに丸め込まれる形で、ベッドに入らされる。

「明かりはつけておいてね」
「承知しました」

 アンが部屋から出て行った後、ルチアは本を読みながら時間をつぶした。日にちを越えて少したったくらいの時、廊下を歩く音がしてルチアはベッドから飛び降りた。

(帰ってきた!)

 一応、寝巻きではなく部屋着(この辺の線引きは微妙だよね。私が部屋着だって思っているだけだから。夏だし薄着なのよ)を着ていたから、そのまま部屋のドアを開けた。
 主の部屋のドアノブに手をかけたノイアーが、ルチアの顔を見て動きを止めた。

「お帰りなさい、お疲れさま」
「あ……あ、ただいま」
「少し、話をしたいんですけど」

 ノイアーは数秒の時間差の後に、自分の私室のドアを開けてルチアに道を譲った。ルチアは悩むことなくノイアーの部屋に入ると、キョロキョロ辺りを見て、ソファーを見つけるとそこに座った。

「シャワーを浴びてきていいか。すぐに戻る」

 ノイアーは、ルチアの返事も持たずに足早に奥の部屋に入って行った。水の流れる音がし、わずか数分でガウン姿で肩にタオルをかけたノイアーが戻って来た。黒髪からは水滴が落ち、それをタオルで拭う仕草は男の色気に溢れていた。

「悪いな、部屋には酒しかないんだ。水で良ければ、テーブルの水さしのを飲んでくれ」
「ありがとう」

 ノイアーは、立ったままグラスにブランデーを注ぎ口をつけた。

「座らないんですか?」
「いいのか?」
「あなたの部屋ですもの」

 ルチアがソファーをポンポンと叩くと、ノイアーはなるべく距離を置くように腰掛けた。

「で、話ってなんだ」
「特に話って……そうだ。私達の婚約って、いつ成立するのかなって。ほら、手続きとかしないじゃないですか?」
「手続きは煩雑で、すぐにはできないんだ。それに、一度婚約してしまうと、破棄するにはまた両国の王族の許可も必要で、より七面倒くさいことになる」
「えっ!?私、婚約する前から婚約破棄されるの決定ですか!」

 ルチアが目を丸くしてノイアーの袖をつかむと、ノイアーはルチアの手をそっと外させてガウンの襟を正した。

「そうじゃない。おまえがどういう経緯で、……たとえば誰かに脅されるなりして俺に婚約の打診をしたのかなどはわからないが、俺みたいな無骨で戦闘するしか脳のない男など、すぐに嫌気がさすかもしれない。それに、年齢も離れている。これから先、婚約を後悔することがあるかもしれないだろ。主にルチアがだ」
「私?ない、ないです、絶対に後悔なんかしないわ。それに、この婚約は私の意思ですもん。誰に脅された訳でもないです」

 ここで婚約を撤回され、国に返されたら死へとまた逆戻りだ。ルチアは必死になってノイアーにすがりついた。それこそ、ガウンがはだけてしまうほどに。

「ちょっ……待っ……」

 仰け反るノイアーに、乗りかかるような形になってしまい、しかもガウンが上半身はだけて傷だらけだがたくましい胸筋があらわになる。

「あ……ら?」

 記憶にあるナヨナヨしたアレキサンダーの裸とは全然違うその上半身に、ルチアは思わず見入ってしまう。そして手のひらをペタリとその筋肉に当てた。

(何これ!?固くない!程よく弾力があって、でも脂肪のブヨブヨでもなくて、なんて触り心地がいいの!)

 ルチアは、手のひらで押してみたり、指で突付いてみたり、これがノイアーの裸の胸だということを忘れて筋肉の弾力を堪能する。

 最初は、まさかこれがハニートラップか!?と表情を強張らせたノイアーであったが、ルチアの触り方が全くいやらしくなく、しかもその瞳に浮かぶ興味津々な色合いに、子供が道端でダンゴムシを捕まえて、ツンツン突付いているのと同じ種類の興味心かと、緊張が解けると共にソファーに背中を投げ出して脱力した。

「ねえ、筋肉って固いのではないの?」

 ルチアは、さっきまでの会話のことはすっかり頭から抜け、衝撃的なノイアーの筋肉に夢中になってしまう。

「力を入れればな。固くなる」
「ちょっと見てみたい。やってみてください」
「……はぁ」 

 ノイアーはルチアを押し戻して座らせると、胸筋にグッと力を入れて見せた。

「きゃー!動いた!しかも固い」

 なんの躊躇もなくノイアーの胸を拳で押し、ルチアはパッと顔を輝かせる。

「……もういいか?」
「あ、うん。ごめんなさい、寒かったですよね」

 真夏とはいえ、夜は冷える。しかも、ノイアーはシャワーを浴びたばかりで濡れているから、身体を冷やしてしまったかもしれないと、ルチアは慌ててノイアーにガウンをきちんと着せ、紐もしっかりと結びなおした。

 ノイアーはされるがままでいたが、ガウンの着崩れを直されると、その大きな手で顔を覆い、ため息をついた。

「あ、ごめんなさい。もしかして嫌でした?そうよね、不躾に触りすぎたわ。つい興味がわくと、見境なくなってしまって。アンにいつも叱られるのよ。興味があるからって、ホイホイ手を出したらいけないって。手を噛みちぎられてからじゃ遅いんですよって」

 まさにその通りだとノイアーも思う。深夜に男の部屋に入って、しかも(男を)裸に剥いて肌を触るとか、襲ってくださいと言っているようなものだし、そんなつもりはなかったじゃ通用しないだろう。

「おまえの侍女が正しい。ルチアは侍女の言うことを聞くべきだろう」
「ええ?でも気になったら触ってみたくなるでしょ?私も、明らかに毒々しい花とか、噛みつきそうな猛獣とかなら手を出さないくらいの分別はあるのよ」

 唇を尖らせて言うルチアに、ノイアーはため息を一つつくと、今の状況をどう理解させようか悩んだ。

「二人っきりの寝室で、男の素肌に触れるってことが、危険な行為に繋がる恐れがあるってことは、その分別の中には入っていないのか?」
「危険?……あ!」

 ルチアは、そこで自分がやらかしたことを初めて自覚した。確かに、閨に誘っていると勘違いされ、襲われたとしても文句は言えない。それに、まだ婚約が成立してはいなくとも、婚約することを建前にエムナール邸に滞在しているのだから、ノイアーがルチアに手を出したとしても、誰にも責められることじゃないのだ。

「理解できたようで良かった」
「そんなつもりは全然なかったの!本当よ」

 真っ赤になって否定するルチアに、ノイアーも内心ホッとする。

「まあ、ルチアにハニートラップはむいていないだろうから、万が一ゴールドフロントの王に命じられているとしても、実行はしない方がいいだろう」

(え?私って、ハニートラップするつもりでやって来たとか思われていたの?じゃあ、私を部屋に入れたノイアーは……)

「もしかして、ハニートラップされる気満々だったりした?」

 ルチアはない胸を両腕で隠し、ソファーの上で身体を縮こまらせ、ノイアーとのあれやこれやを想像してしまった。そして、容易に想像できて、しかも嫌悪感とか全くない自分に驚き、その事実に全身まで真っ赤になってしまう。

「違う!断じてそうじゃない!」

 大人の男で、雷靂将軍と恐れられているノイアーが、小娘の一言にオロオロしている姿は、あまりにイメージとかけ離れ過ぎて、思わず「可愛い」と感じてしまい……ルチアは自覚した。

(私……この人に好意を持っているわ。え?三回もこの人に殺されたよね?私の頭ってどうなってるの!?)

 三回生き直しても、恋愛なんか一度もしてこなかったルチアは、いきなり芽生えたこの感情に戸惑い、思わず奇声を発した。

「ウッソだあっ!!」
「嘘じゃない!本当に俺はそんなつもりはなかったんだ。いや、ない。現在進行形でない」

 激しい鍛錬をしても涼しい顔をしているノイアーの額に汗が浮かび、必死になって弁明する姿に、ルチアは若干ムッとしてしまう。

(そこまで私と関係持ちたくないかな!?)

「ハニトラなんかしません。考えたこともないから」

 ルチアはムウッと唇を尖らせて、ノイアーの肩をペチペチ叩いた。

「だよな!最初から違うなと思っていたから、変なことを考えずに部屋に入れたんだ。じゃなきゃ、内通者と疑って……いや、疑っていた訳では……」

 ハッとした表情をするノイアーに、ルチアは「お察しです」と肩をすくめる。

「そう思われるだろうなって思っていたから気にしないでいいわ。でも違うから。私は、アレキサンダー殿下との婚約話をなしにしたかっただけ。ゴールドフロントからしたら、情勢が気になるプラタニアに手駒を送れるなら、王太子と婚約させるよりも有益だって思うかなって考えたの」
「なるほど……。では、ゴールドフロントに内通するつもりは?」
「ないわ!なんなら、逆に適当なことを向こうに伝えてもいいくらいだわ。そのかわり、もしゴールドフロントと戦争なんてことになったら、シンドルフ領とうちの家族は見逃して欲しいな……って思うけど」

 さっきまでの慌てた様子は鳴りを潜め、ノイアーの濃紺の瞳はジッとルチアを捕らえた。しかし、ルチアはその威圧感も跳ね除けて怯えずに答えた。

「……一度、うちの第二王子と会って、今話した内容を話してもらうがいいか?」
「もちろん。……それで婚約は?」

 いつノイアーが戦争に戻るかわからないが、彼が一時帰国したタイミングでプラタニアに来たルチアだったから、婚約式とかは後日だとしても、すぐに婚約誓約書は提出するものだと思っていた。それが一週間たっても、王城へ行こうともならなかったので、どうせ第二王子に会うのならば、そのタイミングで誓約書を書いてしまうのはどうか……と思ったのだ。

「正式な婚約は、俺が次に帰国した後になるだろうな。まあ、出征するのはまだ少し先になるんだが」

 ルチアは、ガックリと肩を落とした。

「婚約を急ぎたい理由は?」
「ただのお客様でお屋敷にいるのが心苦しいっていうのもあるけれど、やっぱり一番はアレキサンダーにチャチャを入れられたら嫌だなってこと」
「そこまで嫌なのか」
「すっごい嫌!」

 誰が嫁を盾にするような男の下に嫁ぎたいもんか。

「そんなに嫌なら……、先に婚約……いやしかしな……」

 悩むノイアーを、ルチアは薄紫色の瞳でジッと見上げた。

 この頬の傷は今は痛みはないんだろうか?……そんなことが気になると、さっきノイアーに注意されたのに、やはりまたそれに触りたくなる。
 常に覇気を放っている濃紺の瞳は、夜空のように深い色合いで、怖さを感じるよりも惹きつけられる方が大きくて目が離せないし、高く筋の通った鼻は男らしい強さを感じる。真一文字に引き締まった口元は意思が強そうで、その口から紡がれる声は低く魅力的だった。

 好意を自覚すると、ノイアーの全てが格好良く見えてしょうがない。なんでそんなに令嬢達から怖がられいるかわからないが、ノイアーの顔に傷はあるが、作りだけ見たら男らしく整っているのだ。

「先に、婚約誓約書だけを書いておくのはどうだろう。提出は後になるが、少しは安心できないか?俺が遠征している間、信用のおける人物に預けておく。万が一、ゴールドフロントの王太子が諦めずに何か言ってきたら対応できるように」

 ノイアーはルチアが安心できるように、すぐに婚約できないにしろ、対応策を考えてくれていたようだ。

「それって、婚約者(仮《カッコ仮》)みたいな感じかしら?」
「(仮《カッコ仮》)というのがよくわからないが……。しかし、誓約書を書いたという事実があれば、俺の屋敷にいても不自然ではないだろう。それに俺の屋敷に婚約者として滞在したという事実さえあれば、あっちが勝手に王族に嫁ぐには不適切な相手として、ルチアに再度求婚することもないだろうしな」

(不適切ってなんだろう?)

 ノイアーの説明を理解していないルチアを見て、ノイアーにちょっとした悪戯心が沸き起こった。さっき触られた仕返しと言っても良いかもしれない。

 ノイアーはルチアの上に覆い被さり、ルチアをソファーに押し倒した。

「つまりは、こういうことだ。婚約者同士が同じ屋敷に住んでいたら、男女の関係があると思われて当たり前だ」

 至近距離にノイアーの顔があり、その瞳にルチアの顔が映っているのが見える。ルチアはそれに見惚れてしまった。

(何これ、格好良過ぎ!)

 キャー!と騒ぐでもなく、かと言って恐怖で固まったのでもない、ルチアのポーッとしたその反応に、ノイアーの方が慌ててしまう。そして何より、こんなに至近距離で視線を合わせることができるとは!と感動が込み上げてくる。

 そんな感動を隠すべく咳払いをして起き上がると、ルチアの腕を引いて座り直させた。

「まあ……そういうことだ」

(しどろもどろ感が可愛い!)

 しかし、ゴールドフロントの常識と、プラタニアの常識にズレがあるようだ。

「もしかして、この国の王族の婚姻は処女性が求められたりします?」
「そうだが、おまえの国は違うのか?」 

 ルチアはコクリと頷く。そんな簡単な逃げ道があるのなら、さっさと誰か見繕って一発……。いや、侯爵令嬢としても、うら若い女子としてもその発言はアウトだから、ルチアは考えるだけに留めた。

 そして、前の人生でなぜプラタニアの王女がアレキサンダーに手を出されそうになったくらいで自殺未遂をしたのかを理解した。あれは行為自体は未遂だったようだけれど、目撃した侍女の話から事後だったと噂が広がっていた。彼女は、アレキサンダーにしか嫁ぐ選択肢がなくなり、絶望のあまり死を選んだんだろう。

 これは、同じアレキサンダー被害者として、なんとしても未然に防いであげないといけないと、ルチアは固い決意をした。

「昔はそんな話もあったみたいだけど、今はもっとオープンかも。だから、処女かそうじゃないかはあまり問題にされないんですよね」

 ノイアーは考え込んでしまう。ルチアが内通者じゃないとわかり、実はこの婚約は成立しないのでは?と考えていたのだ。王太子と婚約させられる心配がなくなれば、ノイアーはお役御免、婚約は撤回されるものだと思っていた。
 まだ若いルチアに、婚約破棄の前歴をつけるのも……と、このまま婚約誓約書を書いても、提出しない方向で考えていたのだが……。

「婚姻……するしかないのか?」

するしかないと言うノイアーの言い方に、ルチアは不満気に唇を尖らす。

「ノイアーは、私が婚約者では嫌ですか?女性としての魅力が、……ぶっちゃけ胸が貧相だから駄目なのかな?それとも性格?お淑やかじゃないから?」

 多少子供っぽいのは、あと数年待ってもらえるば多分なんとかなる……と思いたい。胸は、残念ながらそこまでの成長は見込めないだろうが、零ではないから勘弁して欲しい。性格は……頑張って繕えるようにしよう。

 ルチアはそんな思いを込めて、ノイアーを見上げて視線を合わせた。そして、またノイアーの方が先に視線をそらす。

(勝った!じゃなくて、ここは真剣に話すところ!)

 ルチアはノイアーの頬に両手を当て、力任せに自分の方へ向かせた。

「おまえは、俺が怖くはないのか?」
「怖い?何で?もしかして、今すぐ私を斬り殺そうとか考えてたりしてます?」
「まさか!戦場でもないのに、簡単に剣を振るう訳がないだろう」
「なら怖くないわ」

 どれだけ覇気が溢れようが、明確な殺意を向けられるのでなければ、何も問題はない。ルチア自身も、ノイアーに会う前は、彼を見ただけで震えが止まらなくなるんじゃないかとか、そんな相手との結婚なんて耐えられないんじゃないかとチラッと考えたこともあった。
 しかし、ノイアーに会ってみたら、それは杞憂に終わった。自分で考える以上に、図太い性格をしていたようだ。

「……そうか」

 ノイアーは顔を押さえられているのに、怒ることなく今度はしっかりとルチアと視線を合わせてきた。

「おまえがどうのというのじゃないんだ。ともかく、しばらく婚約者(仮)で様子を見よう。お互いに状況がまた変わるかもしれないしな」
「……わかりました。でも、(仮)が早く消えるように頑張りますね」

(だって、私を将来殺すかもしれない人だけど、初めて好きかもって思った人だもん)

「え?」
「私はノイアーがいいんです。だから、覚悟しててくださいね!」

 ルチアは雷靂将軍に宣戦布告してみせた。
 ノイアーの気持ちがまだルチアにないなら、好きって思わせて本物の婚約者になってやろうじゃないの!と、負けず嫌い魂に火がついたのだ。

 ルチアはソファーから飛び降り、「おやすみなさい、また明日」とノイアーの部屋を走って出て行った。覚悟してとか言いながらも、この機会に色仕掛けでもしてみようとは思いもしないルチアであった。


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