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アルマとフレイラ その2
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ちょうどその時、アルマとフレイラは揃って何かの気配を感じ森の暗闇を注視した。
「アルマ様!」
フレイラは前方を注視したまま後のアルマに話しかると、右手を斜めに突き出し剣を現出させ臨戦態勢をとる。
「ああ!気づいておる!何かうじゃうじゃ近づいて来ておるな…」
「大百足の配下ですね。」
やがて辺りから無数の何かが地を這う音が響き森は再び騒がしくなる。音は四方八方あらゆる方向から近づき段々と大きくなり森の暗闇の中に仄かに赤く光る点が現れたかと思うとそれはあっという間に数を増やし無数の赤い光となって二人を取り囲む。
フレイラが見まわすと、憎悪を振りまきながらうごめきじりじりと包囲の輪を縮めるそれらは無数の百足の大群だと見て取れた。森の主の大百足よりはるかに小さいとはいえ体長三メートルはあろうかという巨大さで、しかもそれらが地面を覆うほど群れを成しそのおぞましさは尋常ではなかった。
「うわっ…予はちょっとこういうのは苦手じゃ…」
アルマが苦虫を噛み潰したような顔を見せる。
「ここは私がけじめを付けますからアルマ様は避難して下さい。」
フレイラの呼びかけにアルマは答えることなく無言で目を閉じると背中からシャツを突き破ってコウモリのような翼が広がり、それを大きく羽ばたかせるとフワリと上空に浮かび上がった。フレイラはチラリとその様子を確認すると大きく深呼吸し百足の群れをキッと睨んだ。彼女からは大気を震わすかと思える程の激しい気配が周りに振りまかれる。それはいわゆる殺気と呼ばれるような圧力で、百足達が恐れをなして引いてくれればと思って放ったフレイラだったが、怒り狂う彼らはまったく引く気配を見せずむしろ火に油を注ぐ結果となってしまう。
一匹が先陣を切って飛びかかると間髪を入れず周りの百足達が一斉に襲いかかる。ところが百足はフレイラの数メートル手前で次々と切り刻まれ地に落ち、その間フレイラは、はた目で見ればただ剣を構えて突っ立っているだけのように見えた。彼女の剣撃はそれほど速く百足は一撃入れるどころか返り血を浴びせることすら出来ずに倒されムクロとなっていった。それでも百足達は攻撃を止めずフレイラめがけ次々と突進する。
その様子をアルマは上空から見守っていた。眼下に広がる黒い森の木々の中、フレイラを取り囲むように灯る無数の赤い小さな光ーーー百足の目の輝きはみるみる減っていき、すべてが消え去るまでそれほど時はかからなかった。
森が静寂を取り戻し辺りに気配が無いのを見定めるとフレイラは剣を霧散させ警戒を解いた。うず高く積み上がった死体の山に囲まれ立ちつくすフレイラが見下ろすと血の海と化し真っ赤に染まった地面にゆらゆらと映る自分の姿が見えた。
「貧乏くじを引かせてしまったのぉ…」
アルマは音も無くフワリとフレイラの背中に舞い降り、首に手を回しておんぶされるような恰好で抱きつく。
「いえ、問題ありません。」
「其方は予の身の回りの世話だけしとれば良いのじゃ。荒事にかかわらせるためにその姿で召喚しとる訳ではないぞ。」
「申し訳ございません。でも…んん!むっ!」
フレイラが異を唱えようとするとアルマは両手で口を押さえ言葉をさえぎる。
「分かった!分かった!ほんに其方は頭が固いのぉ…」
「申し訳…ございません…」
フレイラは口を押さえる手を引き剥がすと言葉を繰り返した。
「終わったことじゃ。もう良い。」
「はい…それよりアルマ様?いつまでおぶさってるつもりですか?重いんですけど…」
やっと人心地ついたフレイラが背中に張り付いたままのアルマに言うと
「今日はもう疲れた!歩きとうない!このまま屋敷までおぶって行け!」
と、腕と足をギュッと絡ませしがみついた。
「まったくしょうがないですね…」
フレイラはため息をひとつつくとゆっくりと歩きだしたが、すぐに立ち止まった。
「何じゃ?」
「あの…アルマ様?あとでその者たちを埋葬して墓を建ててやってもよろしいでしょうか?」
フレイラは転がる死体に目をやると、おずおずと聞いた。
「好きにせい!」
「ありがとうございます。」
アルマの不愛想な返事に答えるとフレイラは再び歩き始め、二人は帰途についたのだった。
「アルマ様!」
フレイラは前方を注視したまま後のアルマに話しかると、右手を斜めに突き出し剣を現出させ臨戦態勢をとる。
「ああ!気づいておる!何かうじゃうじゃ近づいて来ておるな…」
「大百足の配下ですね。」
やがて辺りから無数の何かが地を這う音が響き森は再び騒がしくなる。音は四方八方あらゆる方向から近づき段々と大きくなり森の暗闇の中に仄かに赤く光る点が現れたかと思うとそれはあっという間に数を増やし無数の赤い光となって二人を取り囲む。
フレイラが見まわすと、憎悪を振りまきながらうごめきじりじりと包囲の輪を縮めるそれらは無数の百足の大群だと見て取れた。森の主の大百足よりはるかに小さいとはいえ体長三メートルはあろうかという巨大さで、しかもそれらが地面を覆うほど群れを成しそのおぞましさは尋常ではなかった。
「うわっ…予はちょっとこういうのは苦手じゃ…」
アルマが苦虫を噛み潰したような顔を見せる。
「ここは私がけじめを付けますからアルマ様は避難して下さい。」
フレイラの呼びかけにアルマは答えることなく無言で目を閉じると背中からシャツを突き破ってコウモリのような翼が広がり、それを大きく羽ばたかせるとフワリと上空に浮かび上がった。フレイラはチラリとその様子を確認すると大きく深呼吸し百足の群れをキッと睨んだ。彼女からは大気を震わすかと思える程の激しい気配が周りに振りまかれる。それはいわゆる殺気と呼ばれるような圧力で、百足達が恐れをなして引いてくれればと思って放ったフレイラだったが、怒り狂う彼らはまったく引く気配を見せずむしろ火に油を注ぐ結果となってしまう。
一匹が先陣を切って飛びかかると間髪を入れず周りの百足達が一斉に襲いかかる。ところが百足はフレイラの数メートル手前で次々と切り刻まれ地に落ち、その間フレイラは、はた目で見ればただ剣を構えて突っ立っているだけのように見えた。彼女の剣撃はそれほど速く百足は一撃入れるどころか返り血を浴びせることすら出来ずに倒されムクロとなっていった。それでも百足達は攻撃を止めずフレイラめがけ次々と突進する。
その様子をアルマは上空から見守っていた。眼下に広がる黒い森の木々の中、フレイラを取り囲むように灯る無数の赤い小さな光ーーー百足の目の輝きはみるみる減っていき、すべてが消え去るまでそれほど時はかからなかった。
森が静寂を取り戻し辺りに気配が無いのを見定めるとフレイラは剣を霧散させ警戒を解いた。うず高く積み上がった死体の山に囲まれ立ちつくすフレイラが見下ろすと血の海と化し真っ赤に染まった地面にゆらゆらと映る自分の姿が見えた。
「貧乏くじを引かせてしまったのぉ…」
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「いえ、問題ありません。」
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「申し訳ございません。でも…んん!むっ!」
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「はい…それよりアルマ様?いつまでおぶさってるつもりですか?重いんですけど…」
やっと人心地ついたフレイラが背中に張り付いたままのアルマに言うと
「今日はもう疲れた!歩きとうない!このまま屋敷までおぶって行け!」
と、腕と足をギュッと絡ませしがみついた。
「まったくしょうがないですね…」
フレイラはため息をひとつつくとゆっくりと歩きだしたが、すぐに立ち止まった。
「何じゃ?」
「あの…アルマ様?あとでその者たちを埋葬して墓を建ててやってもよろしいでしょうか?」
フレイラは転がる死体に目をやると、おずおずと聞いた。
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