のじゃロリ吸血鬼さんはチューチューしたい3

かま猫

文字の大きさ
5 / 36

新しい朝が来た その1

しおりを挟む
 翌朝、仙一郎は鼻孔をくすぐる美味しそうな匂いで目を覚ます。台所からパタパタと動き回る音が聞こえた。彼は隣で自分を抱き枕がわりにしがみついて寝息を立てているアルマを引き剥がしてベッドから起き上がる。
「おはようございます。起こしてしまいましたか?すぐ出来ますから座ってて下さい。」
 台所で調理していたフレイラは仙一郎に気づくと振り返る。結局、彼女は取りあえず同居することになったのだが、アルマに遠慮しているのか男性である仙一郎を警戒したのか頑なに押入れで暮らすと言い張ったので押入れの上段が彼女の部屋となったのである。
「ああ…おはよう…ございます…」
 寝ぼけ眼で言われるままダイニングテーブルに腰掛けるとフレイラはてきぱきと配膳する。トーストした食パンにレタスとハム、ポーチエッグが乗った皿に野菜サラダ、コーヒーといかにも美味しそうな料理が並ぶ。
「ありものですが…どうぞお召し上がりください。」
「わざわざ用意してくれたんですね。ありがとうござます!」
「アルマ様に警固役を承った以上、お食事に毒など入れられたら大変ですから私が安心安全な食材を自ら調理してお出しするのは当然のことです。」
 大真面目に語るので仙一郎は思わず苦笑いした。
「いただきます。」
 フォークで一切れ口にはこぶ。
「ウマっ!」
 思わず声をもらしてしまうほど旨い。その出来はレストランと遜色ないもので仙一郎は夢中で掻っ食らってあっという間に平らげてしまう。後には舐めたように綺麗になった皿だけが残った。
「ごちそうさまでした。」
「おそまつさまです。コーヒーおかわりは?
「あ!お願いします。」
 フレイラは慣れた手つきでコーヒーを入れなおす。
「どうぞ。」
 仙一郎にコーヒーカップを差し出そうと彼女が前かがみになるとその豊満な胸が強調される。スウェット越しに見事な量感を感じさせる膨らみを目の前に彼女がノーブラであることに彼は気づいた。よくよく考えてみればスウェットは代用できたが女性物の下着などあるはずもないので当然だった。彼は目をそらしてカップを受け取るとひとくち喉に流し込んで照れ隠しに話しかける。
「食事、すごく美味しかったです。フレイラさん料理上手なんですね!」
「私は基本的に食事は必要ありませんがアルマ様は食通でいらっしゃいますから。長年身の回りのお世話をしておりました私にとっては当然のたしなみです。」
「へぇ…凄いんですね。」
「もしかして私が剣だからって戦うことしか能の無い戦闘狂かなにかだと思ってました?」
「いや!いや!そんな!別にそんなこと…」
 フレイラがジロリと睨むので、また剣を突きつけられたら大変だと仙一郎は慌てて両手を振って否定する。
「いや本当にしっかりしててフレイラさんが剣だなんてことの方が信じられませんよ。」
「ちょっと手を出して下さいませんか?」
「あ、うん…」
 彼はとりあえず手を差し出すとフレイラはテーブル越しに身を乗り出して手を握った。
「何を?」
 突然のことに仙一郎がうろたえていると甲高い金属音が響き、突然フレイラが目の前かから消え去りずっしりと重い感触を感じ手には剣が握られていた。
「おっと!」
 思わず落としそうになり慌ててしっかり握りなおしたそれは確かに西洋の剣だった。鏡のように反射する綺麗な刀身は鋭い光を放ち、柄の部分には精緻な文様が刻まれていてまさに一流の職人が作り上げた美術工芸品ぜんとしていたので思わず見惚れてしまう。
「いかがですか?」
 脳内に直接フレイラの声が聞こえるので彼は慌てて剣を落としそうになる。
「ホントに剣なんだ…」
 彼が剣に向かって語りかけると、次の瞬間ふたたび金属音がしたかと思うと目の前に手を握ったままのフレイラの姿があった。
「いかがです?お分かりいただけましたか?」
「え?ええ…フレイラさん、凄く美しかった…」
「な!な!な!何を言ってるんですか!」
 フレイラは顔を真っ赤にして飛びのいた。
「違う!違う!剣が、剣が美しくて素晴らしい物だったって意味で…」
「ははは!そうですよね!そう!そう!」
 仙一郎は慌てて弁明し、それを聞いたフレイラは決まり悪そうに照れ笑いを浮かべテーブルの食器を片づけ始めた。

 今朝は少し早めに家を出なければならなかったので流しで洗い物をするフレイラを横目に大きくひとつため息をついてから支度をはじめる。駅まで路線バスを使ってもよかったが無駄な出費は避けたかったので歩くことにしたのだが彼はあらためて自転車が盗まれたことが思っている以上に気持ちを落ち込ませていることに驚いていた。
 カバンを手にとり出かけようかとすると突然、勢いよく玄関のドアが開く。
「ヨーレッゲル!仙一郎!」
飛び込んできたのはリザだった。カジュアルなジーンズ姿の金髪の女性はキッチンのフレイラを目にすると仙一郎の方に向き直り
「なんですカ?この女ハ!ワタシという者がありながら!やっぱり胸が大きいのがいいデスカ!このケダモノ!スケコマシ!ムッツリスケベ!」
 と怒鳴り声を上げる。
「いや、彼女は…」
「相変わらず騒がしい女ですね。」
 仙一郎が慌てて説明しようとするとフレイラが口を挟む。 
「んん…この感じハ…」
 リザは目を細くして何かを感じ取ろうかとするようにフレイラを睨む。
「ああ!アルマんとこの召使いデスカ!ちょっと見ない間二成長シテ…」
「アルマ様と敵対する貴方とは休戦中なのは聞いてますが、私は貴方のことを完全に信用している訳ではありませんからね。」
「たかが剣ごときに信じてもらう気ハありませんネ!」
「何だと!」
「何デスカ?」
 二人は睨み合い一触即発の張り詰めた空気が漂う。たまりかねた仙一郎が割って入る。
「と…ところでリザ!朝早くどうしたの?」
「そーでしタ!お迎えに来ましたネ!仙一郎がチャリをパクられたのデ大学まで送るようアルマから連絡がありましたネ!」
「ああ!そうなんだ!ありがとう!そんじゃ出ようか!」
 仙一郎がリザの背中を押してそそくさと外に出ようとすると何故かフレイラもついてくる。
「何?フレイラさん…」
「私は仙一郎様をお守りするのが仕事ですからご一緒します。」
「ちよっとそれは…」
 仙一郎が困った顔をするのでリザがフレイラに突っかかる。
「仙一郎が困っているでショ!ワタシだってあまりベタベタつきまとうと迷惑だからト遠慮してると言うの二!素直にお家で大人しくしてな!この野暮天が!」
「はぁ?カトンボ風情がわめくな!」
「分かった!分かった!分かったからケンカしないで!三人で行こう!三人で!」
「仙一郎がそう言うんでしたラ…」
「はい、かしこまりました。」
 仙一郎はゲッソリとした表情でため息をついた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

処理中です...