のじゃロリ吸血鬼さんはチューチューしたい3

かま猫

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後宴

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 三日間行われる芸術祭の一日目が終わろうとしていた。山奥にある美大は学バスが終わると完全に陸の孤島と化すため期間中は校内に留まる生徒が多数いた。模擬店の居酒屋で一晩中飲み明かす者。部室で仮眠をとる者。
 深夜だというのに騒がしい校内で仙一郎らはオカルト研究会の部室で彼らの飲み会の席にいた。正確には軽沢に強引に参加させられたのだが、席は今日起こった怪奇現象の話でもちきりだった。
「模擬店の倒壊は突風のせいって話だけど、中にはデカい犬見たいなのが飛んでたって言うヤツもいるみたいだぜ。]」
 身を乗り出し興奮気味に語る軽沢に仙一郎はビール片手に愛想笑いを浮かべる。
「きっとソレは魔獣が狂戦士と戦っていたンデスネ!」
「それな!」
 仙一郎の隣に座るリザの冗談とも本気ともつかない言葉に軽沢は嬉々として相槌をうつ。
「展示の方も突然、停電するわ、ラップ現象はおこるわで大変だったんだから!ね?」
 呉睦が隣ににじり寄って話にくわわり仙一郎に同意を求めてくる。
「はは…うん!まあ…」
 彼は言葉をにごすとビールの入った紙コップに口をつけ、対面に座るフレイラにチラリと目をやった。オカ研部員と普通に飲み会を楽しんでいるように見えたが、やはりどこかその表情には陰りを感じさせた。
「ところで呉睦さん!やっぱり明日のミス芸祭には参加してくれないの?」
 軽沢が呉睦に話をふると彼女は口をとがらせた。
「前にも言ったじゃないですか!イヤですよ!私は目立ちたくないんです!それにどうせ水着審査が目当てなんでしょ?」
「それな!それだけ立派な胸、あまねく世界に知らしめないで何の意味があるというのか!」
「ひっ!どーい!それセクハラですよ!セクハラ!」
 だいぶ酔いが回っているのか軽沢の無遠慮な発言に呉睦は仙一郎の後ろに隠れるようにして抗議の声を上げる。
「でも、早見君が見たいって言うんなら参加してみてもイイんだけどな…」
 仙一郎の首に手を回し胸を背中にを押しつけ抱き付くと耳元で悪戯っ子っぽくささやく呉睦からは酒の匂いがぷーんと立ち込める。
「ちょっ!呉睦さん酔ってるでしょ?離れて下さいよ!」
 仙一郎は慌てて彼女を引き剥がそうともがくが、もがけばもがくほど彼女はひしとくっつき胸の柔らかい感触が仙一郎の背中に襲いかかる。
「仙一郎は明日、ワタシとデェートの先約があるのデ駄目デース!」 
 口をへの字に曲げてリザが仙一郎の腕に手を回し引っ張ると、呉睦が抵抗する。
「じゃあ私も早見君とデートするぅ!」
「ダメデース!ワタシがデーートするんデース!」
「私がデ―――トするの!」
「デ――――トするのはワタシデース!」
「デ―――――トするのっ!」
「デ――――――トするデスッ!」
 結局リザも酔っているのか呉睦に対抗して意味の分からない口喧嘩を始める。二人に引っ張られ揉みくちゃにされ仙一郎は、たまったものではない。
「ははは!両手に花だな早見!」
 酔っ払いの軽沢はその様子を見てけたけたと笑い転げる。辟易した仙一郎は口喧嘩する二人の隙をついて席を立つと外の空気を吸いにこっそりと部室を出た。

 部室棟の外廊下は中庭に面した回廊状になっておりオカ研の部室はその二階にあり、薄暗い通路に流れる夜の空気はどこか熱気を帯び、かすかに学園祭を楽しむ人々の騒ぐ音が聞こえた。
 ふと見ると暗がりに人影が立っていることに気づいた仙一郎は少しぎょっとするが、すぐにそれがフレイラだと気づいて大きくため息をついた。彼女は仙一郎に気づいていないようで手すりに手をついて中庭をぼんやりと見つめていた。
「フレイラも外の空気を吸いに?」
「仙一郎様!」
 話しかけられて気づいたのかフレイラは驚いたような顔で彼を見ると突然深く頭を下げる。
「魔獣の件では大変失礼致しました!明日は壊した模擬店の修理をお手伝いに行って参りたいと思いますので…」
「うん、それが良いと思うよ。警固の方は気にしなくて良いから。」
「怒りに我を忘れて戦ってしまうとは、とんだ失態です。本当に申し訳ございませんでした。」
「イヤそれは前にも言ったけどもう終わったことだからもうイイからさ。」
「あまつさえ、主である仙一郎様に乱暴な振る舞いをしてしまうなど守り刀にあるまじき行為。如何なる懲罰も覚悟しておりますのでお申し付け下さい。」
 神妙な面持ちでひたすら謝るフレイラの姿を見て仙一郎は生真面目な彼女らしいと言えば彼女らしと思ったが、常に張りつめて気の休まる様子のない姿を見せる彼女が心配でもあり、もう少し肩の力を抜いてもらいたいとも感じた。
 がっくりと肩を落とし意気消沈した表情で見つめる彼女に、何か罰を与えないと納得しそうにないと思った仙一郎は少し考え込んでから
「それじゃあ…」
 と言いかけた時、部室のドアが勢いよく開いてリザと呉睦が顔を出し一斉にまくし立てる。
「なに二人でイチャついてるんデスカ?中で一緒に飲むデース!」
「早見君はみんなの共有財産なんだから独り占めはダメだよ!ほら!こっち来て飲も!飲も!」
 こちらの二人は肩の力を抜きすぎである。
仙一郎はやれやれといった表情で酔っ払い二人に目をやった。
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