のじゃロリ吸血鬼さんはチューチューしたい3

かま猫

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剣の舞 その4

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 二人は騒動の後、一度気を落ち着かせるため博物館の屋上庭園ー半円形の芝生が広がる広場ーのベンチに座って休んでいた。買って来た缶コーヒーに口をつけ隣をチラリと見るとフレイラはうつむいて何か考え込むように黙っていた。
 老人は、かなりの有力者であったようで展示室での一件は何事も無かったかのようにおさまった。仙一郎からすれば、いきなり刀を振り回して襲いかかられた訳で文句のひとつを言っても良いところではあったが、誘いに乗って戦ってしまったフレイラと御せなかった自分自身にも非があると思っていたので、おあいこという形で手を打つこととなった。
「フレイラ!さっきはゴメン!無理矢理止めるような命令して。」
「え?そんな事、気にしないで下さい!全然問題ありませんから!」
 仙一郎の言葉にフレイラは驚いたように目を丸くして応えた。
「私が頭に血が上って暴れてしまったのがいけないんですし…」
「それでもを守ろうとした結果でもあるしもう少し注意を払うべきだったと思う。」
「いえ、私が神経質になってたのがいけないんです。本当に仙一郎様には迷惑ばかりかけて…」
「いや迷惑だなんて思ってないよ。フレイラには、いつも助けられてるし何より…」
 仙一郎は言いよどむと缶コーヒーをひと口飲み、ぼそりと言った。
「一緒にいて楽しいから。」
「そう…ですか…」
 フレイラは、軽く微笑むと再びうつむいて考え込むように黙ってしまった。その様子に仙一郎も気まずくなって口をつぐむ。秋の高い空の下、心地よい風がさわさわと二人の頬を撫でる。
「仙一郎様。」
 すると突然、フレイラは顔を上げ彼の眼を見つめた。
「今までどうしても言えずにいたんですが…正直にお話します。サードは、かつて私の主だったんです。」
 仙一郎はその可能性も予測していたので驚きはしなかった。その様子を見て彼女も続けた。
「剣である私はアルマ様に出会うまでに色々な人の手を渡ってきました。時の権力者であったり剣の達人や大富豪。一度も剣を抜くことの無かった善人に、人を殺すことを何とも思わない悪人…。その中でも奴は…サードは最悪です。」
 彼女は膝の上の握りこぶしをギュッと握りしめ険しい表情を見せる。
「奴は根っからの殺人狂です。人を殺すことを血を見ることを何よりも喜びとする最悪の魔物です。そんな奴が主だった頃は最悪でした。女子供も関係なく罪もない人たちを毎日毎日、日課のように意味もなく斬り殺し、その数は数千人にもおよびました…」
 そこまで言うと彼女はゆっくり立ち上がり庭園の端の手すりに手を置き遠くの街並みを眺めながら再びゆっくりと話し始めた。
「あの頃のことは今でもはっきり覚えています。剣身を震わせる断末魔の叫び。生温かい肉の感触。立ち上る血の匂い…」
「それはサードってヤツが悪いんであってフレイラに罪は無いよ。」
 仙一郎も思わず立ち上がり声を荒げるが、彼女は振り返ると悲しそうに微笑んだ。
「結局、私は剣に過ぎないんです。持ち主に従うしかないただの人殺しの道具なんです。
仙一郎様が思うようなモノじゃないんですよ。」
「でも、そうやって悲しんだり苦しんだり出来るっていうのは、ただの道具じゃないって証拠じゃないか!はそう思うよ。」
 仙一郎は少し怒ったような表情で彼女の話に反論した。そんな彼の姿ーいまだに普通の人間に接するように自分と接してくれる姿が微笑ましくもあり、過去のことを打ち明けて良かったと思えた。そして、少し気分が軽くなったような気がしていた。
「ありがとうございます。そう思ってくれる仙一郎様のこと、私は好きですよ。」
 フレイラは言ってから「好き」なんて言葉を使ってしまったことに気づいて慌てて言い訳した。
「いや別に男と女としてとか、そう言う意味の好きってことじゃなくてですね。人間としてその…あの…」
 その様子に仙一郎はくすりと笑ってしまう。
「分かってるって。色々話してくれて、こちらこそありがとうだよ。」
「それで…私はこれからも仙一郎様の警固役を務めたいと思っているのですが…この先も色々とご迷惑をおかけしてしまうことは重々承知しておりますがお許し頂けないでしょうか…」
「もちろん!」
 おずおずと彼女はそう訊ねてきたが、はなからそんな気は無かった仙一郎が即答すると、
「ありがとうございます。」
 フレイラは、今までに見せたことのないような穏やかな表情で微笑んだ。
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