のじゃロリ吸血鬼さんはチューチューしたい3

かま猫

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剣の舞 その3

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 刹那、刀がきらめいたかと思うと老人は弾けるように駆けフレイラを強襲する。
「ええええいっ!」
 気合いとともに振り降ろされた刀をフレイラが剣で受け、甲高い金属音が響く。
「くっ!」
 老人のものとは思えないその重い一撃にフレイラは思わず声を漏らす。すかさず返す刀で放たれる二の太刀も早く鋭く、かわすのが精一杯。フレイラも刀を構えた老人の様子からそれなりの使い手である事を感じとってはいたが息つく暇もなく繰り出される斬撃は達人のそれで手加減してどうにかなる相手ではなかった。
「ほれほれ!打ってこんかい!受けてるだけではつまらんぞい!」
 老人が煽り立ててくるが、怪我をさせる訳にはいかないので安易に斬り込めない。二の足を踏んでいると徐々に追い詰められていく。
「あっ!」
 それはほんの一瞬の出来事だった。わずかに反応が遅れた隙を突かれフレイラは剣を跳ね上げられ、胸元に切っ先を突きつけられてしまう。
「お嬢ちゃんの実力はそんなものかね?」
 ため息をつく老人の姿にフレイラは言葉に詰まる。
「おじいちゃん!それくらいにしといてもらえませんか?」
 出し抜けに仙一郎の声がしてフレイラはぎょっとする。気づけば彼が老人のすぐそばまで近づいて話しかけていたからだ。
「仙一郎様!」
「おや、彼氏君はこんな刀を振り回すような気狂いが怖くないのかね?」
「怖いですよ、今も立っているのがやっとなくらい。でもおじいちゃんは人殺しって訳じゃないでしょ?無暗に斬りつけてくるとも思えないので。」
「ほぉ、お嬢ちゃんよりは思慮分別があるようじゃの。」
「仙一郎様!危険です!離れて下さい!」
 フレイラが仙一郎に向かって必死に叫ぶ姿を見て老人は
「ふむ…」
 と思いめぐらすような仕草をみせる。すると突然、持っていた刀を振り上げ仙一郎めがけて振り降ろす。ところが刃は彼に届くことなく鋭い金属音を立てる。
「貴様っ!何をする!」
 仙一郎を素早くかばい振り降ろされた刀を受けたフレイラが鬼の様な形相で老人を睨みつける。
「やる気になってくれたかの?」
「仙一郎様に刃を向けたこと、後悔させてやるっ!」
 フレイラは叫ぶと老人に襲いかかる。
「止めっ…」
 仙一郎の声も届かず、完全に我を失って老人の頭めがけて剣を振り降ろすがあっさり避けられ床に突き刺さる。すかさず薙ぎ払うもこれも空を切る。
「このっ!」
 苛立ってさらに激しく攻撃をくわえるが老人は右に左にかわし受け流し、魔獣とも互角に渡り合うフレイラの剣が一撃も当たらない。
「少しはましになったようじゃの!」
 飄々とした表情で太刀を打ち合う老人。
「フレイラ!フレイラっ!」
 仙一郎は止めようと叫ぶが彼女の攻撃はさらに激しさを増し、このままでは大惨事になりかねない危うさを感じさせた。右手の指輪に目を落とすが一瞬躊躇してしまう。顔を上げれば、激しい打ち合いはなおも続いており一刻の猶予も許されない状況に仙一郎は唇を噛みしめると意を決し、指輪を見つめるて心の中で念を送る。
 突然、剣を振り上げていたフレイラの動きがピタリと止まる。剣が消え去り、両手をダランと下げ放心したように立ちつくす。その姿に仙一郎は胸がズキンと痛むのを感じた。その様子を見た老人はやれやれと言った表情で刀を下ろした。
「ここまでかのぉ…まったく期待外れじゃったよ…」
 フレイラは黙ったまま口惜しそうに老人の言葉を聞いていた。駆け寄って来た仙一郎が隣にいるのも気づかないようだった。
「見たところお嬢ちゃんは人間ではあるまい?」
「どうしてそれを!」
 見透かされフレイラは目を丸くする。
「ワシも無駄に長生きしとるもんでの。お嬢ちゃんは…例えるなら洋剣の付喪神みたいなもんじゃろ?それも飛び切りの名剣。」
「だったら何だと言うのです。私は主を守るための剣です。仙一郎様の御命令で剣を収めましたが、まだ危害を加えようと思っているなら躊躇しませんよ。」
「やれやれ…もう少し賢いと思っとったんじゃが買い被りすぎたか。相手の力量も意図も感じ取れずに剣を振り回すだけでは、そこいらの鈍刀と変わらんぞ。そんな太刀筋に迷いが見えるようじゃ儂みたいな老いぼれも倒せんぞ。」
 フレイラは反論出来ずに黙り込む。
「そんなお嬢ちゃんにちょっとだけ助言じゃ!自分が何が出来るのかではなく、何をしたいかを考えなさい。そうすればきっと…」
「先生。もう満足しましたか?」
 言葉をさえぎって先ほどの秘書の女性が背後から声をかける。
「ああ!すまんのぉ、だいぶ派手に遊んでしもうたわい。」
「本当に勘弁して下さいよ先生。色々と根回しする私の身にもなって下さい!」
 派手に壊れた展示室を見回すと、仙一郎らに深々と頭を下げ
「申し訳ございません。お二方ともお怪我はございませんか?」
「ワシが怪我させる訳なかろう。」
「先生は黙っていて下さい!本当もう…」
 老人を一喝すると女性は仙一郎とフレイラに何度も何度も頭を下げ続けた。
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