のじゃロリ吸血鬼さんはチューチューしたい3

かま猫

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夜の終わり その1

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 そして対決の日を迎えた。仙一郎らを乗せた車は対決場所のヘリポートへ向かっていた。すれ違う車もない夜道を走る真っ赤な四輪駆動車。運転席に座るリザが不満を漏らす。
「やっぱり隣の席にナマクラが座ってるのは納得いかないデスネ!」
 出発してからもう何回も浴びせかけられた言葉をフレイラは反応せずに聞き流す。
 さかのぼること一時間前、唯一運転免許を持っているリザが愛車で出迎えに来た時のこと。前回のスポーツカーとはまた違う高級そうな外国製の四輪駆動車に唖然としている暇もなく、仙一郎を助手席に座らせたいリザと後部座席で座りたいアルマとの間で言い争いが始まる。
「仙一郎は助手席デス!これはワタシの車なんですカラ決定権はワタシにありますネ!」
「画学生は予と後部座席に座るのじゃ!」
 両者一歩も譲らず言い争いを続けるが対決に遅れそうになって時間切れ。リザは渋々アルマに従う羽目になったのだ。
「やっぱり、やっぱり隣の席にナマクラが座ってるのは納得いかないデスネ!」
 再び愚痴をこぼすリザを見かねて仙一郎がなだめる。
「帰りは席変わるからさ!機嫌直してよ。」「絶対、絶対デスヨ!」
 リザが声を弾ませて反応するとアルマが横から口をはさむ。
「帰りも譲る気はないぞ!」
「は?ケンカを売ってるのなら買いますヨ!そもそも何で仙一郎の膝の上に座ってるんデスカ?」
 後部座席で何故か仙一郎の膝の上に乗っているアルマをリザは横目で睨みつける。
「どこに座ろうと予の勝手じゃろ!」
「ココで降ろしてやりましょうカ?」
「上等じゃ!一戦交えるか?」
「ヤルって言うんなら受けて立ちますヨ!」
 リザがハンドルを片手に後部座席に乗り出しアルマを睨み突っかかるので車は大きく逸れて反対車線にはみ出す。仙一郎は慌てて叫ぶ。
「危ないって!前見て!前!」
 車は蛇行し車内の仙一郎らは左右に大きく振られる。そんな状態でも二人は言い争いを止めず延々と口喧嘩は続く。
「まったく騒がしい…」
 フレイラがため息をついてぼそりと愚痴をこぼす。その様子はいつも通りで、これから決闘に向かうという緊張感を感じさせなかった。
 仙一郎とフレイラはカラオケの一件以降それまで以上に集中して鍛錬に励んだが、結局のところサードに対抗出来る程度にまでになったかと言えば不確かと言わざるをえなかった。そんな状況もフレイラは気にすることなく落ち着いていた。逆に「主らしい事をさせてくれ」などと偉そうな事を言った仙一郎の方が落ち着かない気分だった。
 そんな彼の様子を察したかのように膝の上のアルマが言う。
「心配することはないよ!」
「勝てるのかな…」
「まあ、なるようになるじゃろ!」
「そんないい加減な…」
「意志あるところに道は開ける。と昔の偉い人も言っておる。お主なら大丈夫じゃよ。」
 そう言うとアルマは彼の頭に手を置いた。
「あ…ありがとう…」
 突然のことに仙一郎ははにかみながらも敵わないなぁと思った。
「チョット!チョット!何いちゃついてるんデスカ!」
 後部座席の二人の様子に一度は収まっていたリザが再びアルマに食ってかかる。
「は?何か問題でも。」
「チョットお前もう降りろ!車!」
「降りないのじゃ!馬鹿者!」
 再燃した言い争いに仙一郎はただただ苦笑いするしかなかった。

 やがて車は細く曲がりくねった山道に入っていく。街灯も無く木々が生い茂って真っ暗な道をヘッドライトの明かりだけを頼りに登っていくと鉄製のゲートのあるちょっと開けた場所に到着する。車を降りると四人は施錠されたゲートの前で立ち止まる。
 外は山の中腹ということもあってか夜の空気がひんやりと頬に刺さり息が白い。目が慣れて来ると月明りだけで十分周りが見渡せた。木々が伐採されぽっかりと夜空が広がるその場所は、高い金網の柵が張り巡らされており
“立入禁止”と書かれた看板が張り付けられていた。金網の奥にそそり立つ城塞のようなコンクリートの壁。ヘリポートはその壁の上にあった。リザがゲートをこじ開け不法侵入を試みている間、仙一郎は隣に立つフレイラに目をやった。
「いよいよだね。力不足かも知れないけど出来る限りサポートするから…」
 自分自身に言い聞かせるようにそう言うとフレイラは微笑み応えた。
「勝ちますよ。絶対。」

 ゲートを入ると緩やかに曲がった坂が続いていた。フレイラを先頭に仙一郎とアルマ、しんがりにリザ。フレイラはしっかりとした足取りで少し早足でのぼっていく。仙一郎は遅れないようピッチを速めようとするがアルマが腕を絡ませ引っ付いているのでうまく歩けない。
「歩きにくいからちょっと離れてくれよぉ…デートじゃないんだから!」
「良いではないか!まあデートみたいなもんじゃ!それに寒いのじゃ!」
 そう言うとさらにピッタリとくっついて来るのでさらに歩きにくくなってしまう。ただ段々と寒くなってきているのは事実だった。それも急激に温度が下がっていた。立体駐車場の時とまったく同じ感じ。サードが近くに居る事をひしひしと感じさせた。
 リザも既に臨戦態勢に入ったようで鋭い視線で周りを警戒し、アルマが仙一郎とベタベタしていても咎めようとしなかった。頂上が近づくにつれ、ひとりデート気分のアルマを除いて皆の緊張感が高まっていく。
 唐突に風が強く吹いたかと思うと視界が開ける。たどり着いたヘリポートは広さ四十メートル四方のコンクリート張り。中央には緊急着陸場を表すHマーク。月明りが照らすその中央、ちょうどヘリコプターが着陸する場所にサードはいた。
 両手をズボンのポケットに突っ込み仁王立ちし、目深に被った帽子の影からは金色の瞳だけがギラギラ光ってこちらを見据えていた。その凄まじい威圧感に仙一郎は思わず足がすくむ。
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